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【完結済】不思議な桜が繋いだ縁【仮】  作者: 三愛 紫月
旭川愛梨

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22/199

犯人

「わぁぁぁぁあああああ」


犯人の体を使って、叫んでいた。


実際には、叫んでいなかったけれど…。


体を八つ裂きにされたかと思った。


「愛梨、愛梨ー」


犯人の意識に集中する。


【ずっと抱きたかった。いつだったっけ?愛梨があの日、このハンカチを拾ってくれた日。絶対にこの体を犯すと決めたんだ。身体中に、俺を刻み付けてやる。あんなスマートな彼氏より俺の方がいいだろ?愛梨。感じろよ。愛梨】


旭川愛梨さんは、いつの間にか殴られている。


【愛梨、何で泣くんだよ。俺の方がいいだろ?何度も女を殴ってやったけど、初めてだよ。やりたいと思った女は、愛梨。マジでいい女だ】


気分が悪くなってきた。


ただ、旭川愛梨さんに狙いを定めていたのだけはわかった。


思考に集中するのをやめたら、こいつの快感が流れてくる。


私は、戻りたいのを強く念じた。


.

.

.

.

.


「うわぁあぁぁぁぁ」


「三日月さん、大丈夫ですか?」


「はぁ、はぁ、はぁ、すみません」


三日月さんの口から、血が流れている。


「休憩しましょうか?」


三日月さんは、首を横に振る


「どうして?」


「一度取り出したビジョンは、最後まで見なければ、旭川愛梨さんが一人で死ぬ事になります。」


「そんな、傷だらけなのに」


「構いません」


三日月さんの顔が腫れはじめている。


「もしかして、三日月さんも襲われてるのですか?」


私は、三日月さんの口の中を覗き込んだ。


「お気になさらずに」


この人は、ビジョンを見せ、誰かを体にいれる能力を持ったかわりに、代償で被害者がされた全てを引き受けているのだ。


「それじゃあ、全身が犯人に」


「気にしないで下さい。時間がありません。旭川愛梨の元に行きましょう。最後の言葉を届けなければ、ねっ?」


「はい、三日月さん」


三日月さんは、私の後頭部に手を当てる。


カチ…カチ…カチ…


私は、旭川愛梨さんの横に座る。


犯人は、いなかった。


「誰?」


さっきの痛みを思い出した。


「私が、一ノ瀬倫さんに愛梨さんの気持ちを伝えにいきます。」


「あ…あ…りが…と」


愛梨さんは、ゆっくりと話す。


「倫…を………さよならは……愛してる……」


「はい」


「未来……倫と……」


「はい」


「よ…ろ…し…く」


「はい」


旭川愛梨さんの意識が、薄れていく。


誰かが、愛梨さんを見つけた。


「もう、彼女は運ばれる前からこの肉体に少ししかいませんでした。」


三日月さんが、近づいてきた。


「三日月さん、大丈夫ですか?」


「大丈夫ですよ。魂の私は、無傷です。」


「何回見たのですか?この場面を…。」


「ご家族にビジョンを見せる前に、痛みを取り除く必要がありましたので、100回以上は見ました。」


私は、その言葉に驚いていた。


「戻りましょう。一ノ瀬倫さんに渡す言葉を忘れないうちに」


カチ…カチ…カチ…カチ


.

.

.

.


「お帰りなさい」


顔が、腫れ上がった三日月さんがいた。


「手紙を書きます。」


「はい」


三日月さんは、しんどそうにしながら手紙を持ってきてくれた。


私が、手紙を書いている間、三日月さんは鏡で顔を見ていた。


「終わりました」


「よかったです」


ゆっくりではあるが、三日月さんの腫れがひいていた。


「三日月さんも犯人に襲われてるのですか?」


「合計、13回でしたかね」


「えっ?」


「旭川愛梨が、犯人にされた回数です。」


「そんな出来ませんよ」


「出来なくても、あいつはしてましたよ。」


「そんな…」


「化け物だったんですかね?それとも、旭川愛梨への愛だったのでしょうかね?」


たった一人で、そんなにできるはずはない。


だけど、犯人はした。


その証拠が、三日月さんの体についている。


「不思議ですよね。この体液も血も、私のではないのです。だから、消えていく。ただ、これは、始めてでした」


三日月さんは、シャツのボタンを外した。


獣にでも、引っ掛かれたような痕が浮かんでいる。


「生きてる人間に、はいった代償でしょうか?」


そう言って、三日月さんは笑った。


「では、行きましょう」


腫れが、完全にひいたのを感じた三日月さんは立ち上がった。


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