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【完結済】不思議な桜が繋いだ縁【仮】  作者: 三愛 紫月
三日月宝珠の能力

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引退

「出来ないじゃ困るんですよ。先生。とにかく、台本通りに進めてもらわなくちゃ、困るんだよ」


そう言って、私は台本を投げられた。


もう特集をくんだ。


視聴率を稼いでもらわなくちゃ、スポンサーがついてるんだ。


さんざん、怒鳴られ続けた。


私は、冷静に赤羽さんを見据えながら話した。


「あのね、赤羽さん。私は、台本通りには出来ませんよ。私は、相手にビジョンを見せる。そして、私は相手からコンタクトがないと出来ません。もう、お互い充分すぎるぐらいに稼いだのではありませんか?」


「ふざけんな」


「私は、もう引退します。」


「ふざけんな」


「この件は、誰かを探して下さい」


「ふざけんな」


ドカッ…


私は、殴られた。


けれど、嘘はつけなかった。


30歳で、私はこの仕事を辞めた。


その頃には、親指を除く爪は全て真っ黒だった。


はぁー。


だから、幽霊は嫌いだ。


必要ない時は、やってこない


勝手に、自分が必要だったら現れてビジョンを見せろと言ってくる。


私は、幽霊の下僕(げぼく)だった。


引退から、一週間後、私は、赤羽さんがやっていた特集のTVを見ていた。


『私の気持ちを無視してますよね?三日月先生』


ソファーの隣に座ったのは、笹木葉子だった。


「そちらでも、まだ支配されているのですか?」


『犯人が、亡くなりましたから』


「そうですか」


もう、半年以上も経つ事件なのに彼女についた傷は、生々しかった。


犯人、村藤陽成(むらふじようせい)は逮捕されて三ヶ月後に獄中で死亡した。


彼女が、現れなかったのは囚われていたからだった。


『三日月先生、助けて』


「わかりました」


私は、あの時と違って強くなっていた。


回数を重ねるごとに、痛みや苦しみにも慣れてきたのだ。


私は、笹木葉子の苦痛を取り除いてあげた。


『あぁぁぁ。先生、ありがとう』


そして、私は初めて、自分の体にその傷をうつして消し去る能力を身につけたのだ。


「解放してあげます」


そして、犯人との繋がりの線をちぎった。


『家族に会いたい。会って、お別れを言いたい』


「わかりました」


私は、笹木葉子の依頼を引き受けた。


笹木葉子が消えた後、なんともお粗末なTV番組を見ていた。


多分、この人は女優さんか何かなのだろう…


全く見えてないのが、わかる。


私は、右手を見つめながら、この手で魂と生きてる家族を救っていこうと決めたのだ。


それ程、笹木葉子の件は私の人生を変えた。


まさか、死してなおも犯人との繋がりがあり、断ち切ってあげなければならないとは思わなかった。


『三日月先生』


「小笠原さん、お久しぶりです」


『三日月先生は、立派になりましたね』


「そんな事は、ありません」


『そんな事ありますよ。前より、凄い力に変わった。』


そう言って、彼女は私の右の手を握りしめた。


「褒められて、嬉しいです。何か、ご用ですか?」


『三日月先生、不本意で亡くなった魂を癒してあげて欲しいの』


「どういう意味ですか?」


『会いに来るように伝えるから、三日月先生よろしくね』


そう言って、小笠原さんは笑って消えた。


数日後、私は、笹木葉子さんの依頼を実行した。


笹木葉子さんのご両親は、こないだのTVの霊能者と違う事を言っている。


葉子は、苦痛などもう味わってはいないと言って泣き叫んで、怒鳴り付けた。


私は、ご両親にビジョンを黙って見せた。


滝のように、涙を流していた。


『母さん、父さん、私がそれを持っていってあげるから』


私は、初めてそれを見た。


人間の中にある、汚く醜い感情を彼女が飲み干したのだ。


凄い……


こうやって、生きている人間は立ち直っていくのがわかった。


魂と魂の触れ合い。


これも、私が初めて経験した事だった。


ただ、ビジョンを見せるだけに過ぎなかった行為が、こんな事まで出来るようになったのを素晴らしいと感じていた。


もっと、たくさんの人を救ってあげたいと私は、この日強く思った。


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