力を…
「ビジョンを書き換えたのですね」
巫女が、立っていた。
『さっきのビジョンを変えたいと言って』
巫女は、喜与恵に近づいた。
「大丈夫です。力を使いすぎただけです。」
『私と喜与恵は、キス以上は出来ぬのですか?本当に、出来ぬのですか?』
「有里のビジョンを書き換えて、共用する事は構いませんよ。それと、裸で抱き合うつもりでしたか?」
私は、巫女にバレていて下を向いた。
「フフフっ、力のうつしです。」
『力のうつし?』
「150年以上前、真理亜と真理亜の赤子を生き返らせようとした喜与恵は全部の力を使い果たしました。宝珠は、そんな喜与恵に近づきスルスルと身に纏っている着物を脱ぎ捨て、ふんどしだけになりました。喜与恵にも、同じ事をして抱き締めた。」
巫女は、懐かしそうに笑いながら喜与恵の頬を撫でる。
「あの時、喜与恵を生き返らせ、抹消させなかったのは宝珠でした。真理亜と赤子を生き返らす行為は、御法度です。もし、そのまま喜与恵が死んでいたら…。今世には、いませんでした。真理亜と赤子は、喜与恵の力を使っても生き返りませんでした。」
巫女は、泣いている。
「死んだものを、生き返らせようとする行為は、許されません。それでも、喜与恵は宝珠に笑って欲しかった。幸せになって欲しかった。だから、喜与恵はそれを実行したのです。何度、生まれ変わっても喜与恵は宝珠を愛し、またこうやって力を使おうとするのです。」
『では、裸で喜与恵を抱き締めてもいいのですか?』
「構いませんよ。宝珠の力なら、すぐに回復できます。」
巫女は、私を見つめる。
「宝珠、貴方の愛する五木結斗が、鍵になるにはと尋ねてきました。知っていますね?」
『はい、断りました。』
「ですが、五木結斗は覚悟を決めていましたよ。」
『私が、先に封印しますから』
「わかりました。早く終わらせなければ、次の被害者がやってきます。明日のビジョンを見せるのが終わりましたら、封印の話をしましょう。」
『はい、わかりました。』
「では、私は、行きます。喜与恵をよろしくお願いいたします。」
巫女は、深々と頭を下げて出て行った。
私は、喜与恵の頬を撫でる。
『喜与恵、いつの世も私を助ける為に能力を使わなくてよかったのだよ。私一人を愛さなくてもよかったのだよ。喜与恵は、こんなに美しい。すぐに、彼女ができただろう…。化け物にならなければ、いろんな人と恋をしただろう?肌を重ね、子だって授かったかも知れぬのだぞ。』
私は、喜与恵の着物をスルスルと脱がす。
私も、衣服を脱ぐ。
私は、喜与恵を抱き締める。
目をつぶって、恐る恐る有里のビジョンを取り出した。
屈辱のビジョンだった。
「もう、やめてくれ」
『宝珠、お前が俺で果てなかったらやめてやる。』
私が、あいつに言われた賭けに負けた日。
喜与恵、怖い。
私は、喜与恵を抱き締めながら力を込める。
「やめてくれ」
『宝珠、私で果てなかったらもう終わりにします。』
喜与恵……。
喜与恵は、私のに触れる。
私は、必死で口を押さえている。
『宝珠、こんなに喜んでいるのを何故認めないのですか?』
涙が、ボタボタと流れてくる。
現実にも、私は、泣いているのだ。
喜与恵が、ビジョンを書き換えたのだ。
もしかしたら、死んでいたかも知れない。
それでも喜与恵は、私のビジョンを書き換えたのだ。
「ぅっっ」
屈辱だった。
『やっぱり、宝珠の体は嘘がつけませんね。はぁ、はぁ』
「や…んんっ」
知っていた。
あの受け入れた三年のせいで、私はこいつで感じる体になっていた。
最初は、幽体と戯れているだけだと思っていた。
どんどんそれが、変わっていったのを感じた。
それでも、私は有里を受け入れていた。
振り返った有里の美しさに心をときめかせたのだ。
『宝珠、これからも私とするのですよ。これは、命令です。』
私は、泣きながら目を開いた。
喜与恵の美しい寝顔がある。
『喜与恵の命令なら、いくらでも聞いてやるよ』
涙が流れてくる。
『目を覚ましてくれよ。私を抱き締めてくれ。ビジョンではなく、本当に抱き締めてくれ。喜与恵、私はもう喜与恵と真理亜しかいないのだよ。彼女を本当に愛していた。』
さっきのビジョンの私が言った言葉に私は、自分が宮部希海を深く愛していた事を知った。
「宮部さん、ごめんなさい。」
奴に犯され、酔っていた私の戯言。




