3-1.両毛線トリオ
生徒会執行部で書記長を務める二年生のましろ(末柄真白子)は「妹」を前面に出したセルフブランディングが、同じく二年生で広報長のみもざ(熊倉美茂佐)はマーケティングが大好きな意識高い系。更に庶務長・のえこ(針谷乃瑛子)は感動したがりというキャラ濃いめの三人で構成される「両毛線トリオ」。彼女らの凸凹ぶりは生徒会執行部の中でも群を抜いており…。
そして、ボロリナたちが新しいクラスにも馴染んできた頃。
ボロリナ(古谷野莉奈):ねえ、エレナ生徒会入ろうかって前言ってたじゃん?
エレナ(瀬端英令奈):うん。
ボロリナ:なんつーかさ、結構カオスで面白そうな先輩たちだから顔出してみようかと思うんだけど一緒に行かない?
エレナ:いいよー。
その日の放課後。一年二組の教室から生徒会室へと向かうボロリナたち。
ボロリナ:んで、結局下館勢六人全員いるっていう。
ケバリナ(池羽理那):古谷野が抜け駆けしないか見に来ただけ。
オリエ(時野谷織絵):私は生徒会長から直々に呼ばれてたんだな。それが。
アヤメ(坂入あやめ):私も呼ばれたし。
オリエ:さすが経験者。
エレナ:高一でキャリア採用されるとかアヤメ流石じゃん
ボロリナ:それキャリア採用…?
トコ(早瀬都子):内申点稼ぐぞ~
ケバリナ:そこ?
アヤメは中学時代に生徒会長を務めたことがあり、その情報は館三の生徒会執行部にも伝わっていたようだ。…というと、個人情報を勝手にすっぱ抜いたように見えるかもしれないが、この学校では受験時に中学時代に生徒会役員だったものや部活動で部長を務めたものはその旨を執行部に伝えても差し支えないかどうかを確認される。アヤメはその確認で了承していたため、今回晴れて生徒会執行部から“キャリア採用”のお誘いがなされたようだ。
…と、そんな感じの駄弁りをしながら下館勢一行は生徒会室前へ到着したようだ。
ボロリナ:ドア開いてる
ケバリナ:こういうときって開けるの緊張するから助かるよね
―――――生徒会室―――――
チゲ(世取山千景):…ですので、一メートルちょっと短くなってしまいますがこうやって繋ぎなおせば新しくケーブルを買い直さなくてもまた使えるのでオススメなのでデュフフ
書記長(末柄真白子):えー!すごーい!半田ゴテとか使える人かっこいー!
庶務長(針谷乃瑛子):熱そうだから敬遠しちゃうけど、サラッと使いこなせる人って素敵だよねー。
チゲ:そこまで褒められるとなんかキャバクラみたいですなデュフォフォ
ボロリナ:…世取山さん……今の発言は流石にヒくよ…
チゲ:!!!お!おうふ!これはこれは下館の女史の皆様方!お恥ずかしいところを見られてしまいましたぞ…!
書記長:あー!入学式の時うるさかった一団!
ボロリナ:なんかすみません…。
イオノ(伊王野眞):お、時野谷さんたちも来てくれたか。
ゴガミ(五上響):時野谷ってあの財閥企業の?財閥令嬢が来るってそういうことか
オリエ:てへぺろですね
ボロリナ:ほぼ初対面の先輩に向かっててへぺろすんな
入室したボロリナたちの目に飛び込んできたのは生徒会長と風紀長、そして二年生の委員長クラスの生徒会役員たち。と、なぜかクラスメイトのチゲこと世取山千景の姿。彼女は見てくれはぽっちゃり気味の少々野暮ったいメガネをかけたギーク女子、そして口を開けばネットスラングがポロポロ飛び出てくるという、いかにも「デュフフってる」と表現されるような人物である。
ボロリナ:んで、チゲちゃん。何でここに?
チゲ:伊王野先輩が叩っ切っちゃったシールド、わざとじゃないのに負担させられるの可哀想だなあって思って…。出過ぎた真似かもしれませんけども。
イオノ:いや。嬉しいよ。世取山さん、ありがとうね。
そして…そこにもう一人来客が。
アマネ(船橋亘):あらあら。下館市民の皆さん六人全員で仲のよろしいこと。
ボロリナ:あ、問題児。
アマネ:首席をイメージダウンさせて相対的に自分の評価を上げる姑息な作戦をはじめたのね古谷野スチーマーさん
ボロリナ:どういう意味だ
チゲ:お、茨城なんだけど市外局番は栃木で生活圏は埼玉と都内な群馬も射程範囲内の街に住んでる千葉っぽい名前の人…!
アマネ:お呼びかしら群馬県足利市さん。
チゲ:おうふ
オリエ:船橋さんも呼ばれてるってのはホントだったのか
アマネ:ええ。財閥令嬢様もお呼ばれだったのね。
オリエ:副市長令嬢殿も。
イオノ:さて、呼んだ人は全員来たみたいだね。
ゴガミ:つーわけだし、おっぱじめっか。
イオノ:みんな、ちょっと円卓に集まってもらっていい?
役員一同:はーい
広報長(熊倉美茂佐):眞先輩、あの件新入生たちに話しちゃっていいんですか?
イオノ:話していいも何も、この話をするために呼んだからね。
広報長:杞憂に終わればいいんですけどねー…。
ゴガミ:熊倉。もう裏は取れてんだ。諦めろ。
広報長:はーい…。
そんなやり取りを傍目に、ボロリナたち下館勢は生徒会室奥の「円卓」へと通される。と、既に円卓にいた二年生二人がボロリナへと話しかける。
会計長(雨海愛優子):この学校みんーなキャラ濃いでしょ。
ボロリナ:正直ヒくレベルで濃いですね
部連長(野堀朝陽):フツーの学校だったら出る杭として叩かれちゃうような個性もそのまんま伸びてくからこんな感じでカオスな雰囲気はずっと続いてくと思うよ
会計長:特にあの両毛線トリオ
ケバリナ:両毛線?群馬に行くあの両毛線ですか?
部連長:そう。三人とも両毛線沿線出身だからそのまんま両毛線トリオ。
書記長:はーい!
広報長:情報を制する者は世界を制す。つまり、人を致して人に致されず。栃木市出身、生徒会広報長、熊倉美茂佐。よろしく。
書記長:生徒会書記長で小山出身、末柄真白子!愛され妹目指してまーす!ましろって呼んでねー!
庶務長:今度一緒に泣ける映画観に行こ。岩舟出身、庶務長の針谷乃瑛子です。
ましろ/みもざ/のえこ:三人合わせてー…両毛線トリオ!
ボロリナ:(呼んでないのに自己紹介はじまった)
ケバリナ:(それでヤス●カプロデュースの三人的なプロモーションも始まった)
アマネ:(たぶん本家の●脇さん→樫●さん→●本さんみたいに熊倉先輩→末柄先輩→針谷先輩で順番決まってそうね)
オリエ:(今どきアニメでもここまでの妹押し売り系のキャラなんてほとんど見かけない気が)
アヤメ:(学級委員長に立候補するから生徒会執行部入会は辞退するそっ閉じ作戦で行こう)
トコ:すーっごいキャラ濃いですねー!
エレナ:トコ!心の声出ちゃってるから!
ましろ:んで、みんなのうらにいる二人があゆとあさひ!
会計長:筑波の豊里町出身、雨海愛優子です。
部連長:その隣の北条出身、野堀です。
ボロリナ:あさひ先輩って漢字だとどう書くんですか?九日を組み立てた旭ですか?
あさひ:ううん。朝昼夜の朝に太陽の陽。ちなみにフルネームは野堀朝陽。
ボロリナ:朝日が昇るって縁起いいですね。
あさひ:諸星さんちに生まれた子に光り物関係の字を使って名づけたりするようなノリだよね。
オリエ:歴代ずーっと木の名前で名づけしてる家を知ってます。
あさひ:そうそう!そういうノリ!
本線からいささか脱線しているような気もするが、下館は両毛線沿線にあらず。それも致し方ないことなのかもしれない。