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あの場所でもう一度君と  作者: ましゅ
1章 出会いの1学期
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第1章9話 環の恋愛観

テスト期間中ですが更新することにしました。

「あれ、環くん映画あんまりだった?」


映画を見終えた僕たちは、映画館内の施設で休憩していた。

ぼーっとしていた僕を見て姫乃がそう言ってきた。


「いや、映画は面白かったよ。誘ってくれてありがとう」

「そっか、良かった」

「ただ──」

「ん?」

「ああいった感じの恋愛は僕には無理なんだろうな」


今日観た映画は、ヒロインに一目惚れした主人公が色々な行動を起こすタイプのもの。

ヒロインは主人公にとって、いわゆる「高嶺の花」という存在で、主人公は側に立っても恥ずかしくないように自分に磨きをかけていく。

その甲斐あって、交際が始まって……という展開だったけれど、僕には「一目惚れ」という感覚が理解できない。


今日の映画の感想を正直に伝えると、姫乃は純粋な疑問を抱いたようで、僕に尋ねてきた。


「じゃあ環くんはどんな恋愛がいいの?」

「え?」

「『一目惚れが無理』ってことはこんな恋愛がいいなっていうのはあるんでしょ?」


言われてみれば自分の恋愛観を見つめ直すことはなかった。

ちょうどいいタイミングだし、ちょっと考えてみようかな。


「うーん、どうなんだろう。一目惚れって結局外見で判断してるみたいな感じじゃん?」

「それはあるかも」

「僕的にはちゃんと内面をしっかり見て判断したいかな」

「なるほど〜」


人の外見だけで判断して痛い目に遭った、という話はよく聞く。

それを反面教師にしているからこそ、それだけはしたくないと思う基準になっている。

この考え方は正しいのか、そう悩むこともあるけど、今のところはこの考え方のまま生きていくつもりだ。


「環くんは真面目なんだねぇ」

「そういう姫乃はどうなの?」


僕のことだけ話すのは不公平だ。

そう思ってノリで聞いてみたんだけど、姫乃はあっさりと答えてくれた。


「私?うーん、一目惚れはありだと思うな。でもその後が大事でしょ。一目惚れしたからこそ、その人の内面をよく知っていかなきゃ」

「そういう考え方もあるんだ」

「まぁ人それぞれだしねぇ」


本当にその通りだと思った。

結局恋愛観は人それぞれで、恋に正解なんていうものはないんだろう。

一般論かもしれないけれど、改めてそれを実感して、映画の余韻に浸りながら映画館をあとにした。


△▲△▲△▲△▲△▲


夕方、時刻は午後5時20分。

映画館をあとにした僕たちは、マンションの最寄り駅まで戻ってきた。


「姫乃、今日はありがとう。久しぶりに楽しい休日だった」

「良かった、ちゃんとお礼はできてたみたいだね」

「じゃあまた、学校で」

「って言っても同じ建物に帰るんだけどね」

「確かに」


そんな他愛もない話をしながらマンションへ向かう。

と、半分くらいまでやって来た時に突然姫乃が叫んだ。


「ヤバっ、食材の買い出し忘れた!」

「え、何もないの?」

「うん。でも……今からスーパーに戻るのもなぁ」


僕たちが住んでいるマンションから1番近いスーパーでも、駅の方まで行かなければならない。駅からマンションへ向かっている僕たちからすると、今から戻るのは確かに面倒臭い。

今からは暗くなっていく時間だろうし、姫乃1人で行かせるのも気が引ける。

そう思って、1つの提案をした。


「夕飯くらいなら僕ん家で食べてく?」

「いいの!?」

「うん、今日は楽しかったし、お礼だと思ってもらえれば」

「むー……お礼したかったのは私なんだけどな……。でもお言葉には甘えさせていただきます!」


そんなこんなで、僕たちの1日はまだ終わりそうにない。

皆さんの恋愛観も気になります。

よければ教えて頂けませんか?

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