表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あの場所でもう一度君と  作者: ましゅ
1章 出会いの1学期
24/144

第1章24話 夏休み(海)①

 朝、天気は快晴。まさに外出日和。

 そんな中僕たちは海に来ていた。白い砂浜──とまではいかないけどそこそこはしゃぎやすそうな砂浜に大悟が持ってきたパラソルを建てて拠点とする。既に日が照りつけていたから、パラソルがあるのはありがたかった。

 早速パラソルの下に座っていると、大悟が笑いながらこちらにやって来た。


「環ィ、そんなとこで腐ってないでこっちで遊ぼうぜ」

「太陽の下に出たくない」

「いや、何の為にここ来たんだよ」


 呆れながらそう言う大悟、それに加え横には伊織も立っていた。

 その2人が目を合わせたかと思うと、急に僕の両腕を掴み引きずってきた。


「ちょ!?」

「お前はこうでもしねぇと動かねぇだろうが」


 2人を引き離す程の力が僕にあるわけでもなく、結局されるがままになって砂浜を引きずられていく。そんな僕を見て、姫乃たちが笑っていた。


「やっと来たか。大悟、伊織ありがとね」

「いいってことよ」


 太陽の眩しさに目を細める僕をよそに、亜美が大悟たちにお礼を言っていた。どうやら亜美の差し金だったようだ。

 ずっとその場にいても暑いだけだから、しぶしぶと海水に浸かる。海水浴に来たのなんて何時ぶりだろうか。久々の感覚に戸惑いながら少し泳いでみる。泳ぎは鈍ってはいなかったみたいだ。

 そんな風に1人でひたすら泳いでいる僕を見て、瑞希が一言。


「環くん、泳げたんだ」


△▲△▲△▲△▲△▲


 暫く泳いで砂浜に戻り一休み。

 亜美たちに言われて仕方なく作ってきた昼食を広げる。おにぎりと唐揚げ、卵焼きといういかにもピクニックの弁当というようなメニューに、皆目を輝かせていた。


 昼食を済ませて何をするか皆で話し合う。その結果、男女ペアのビーチバレー総当たり大会を開催することが決定してしまった。お腹がいっぱいで動ける気がしないのは僕だけなんだろうか。

 ペア割りは僕と姫乃、大悟と亜美、伊織と瑞希。作為的に見えるかもしれないけれど、厳正なるくじの結果だ。それなのに、伊織に睨まれたのは……まぁ、何と言うか予想通りだった。


「よっしゃー!やるぞー!」


 そんな亜美のテンションにノリノリになる皆(僕を除く)。何故か設置されているビーチバレー用と思しきネット付近に陣取り、海の家からビーチボールを借りてゲームスタート。

 最初のゲームは僕・姫乃 VS 大悟・亜美。


「亜美、ルールは?」

「うーん……10点先取!」

「じゃあ、よーい……スタート!」


 そんな適当なルールを亜美が決めて、伊織の審判でゲームが始まった。

 初めは互角だと思っていたけれど、それは大きな間違いだった。さすがはバスケ部エースというべきか、180cmを超える長身の大悟のサーブ、そしてアタックはとても強烈だった。だが決してこちらも負けているわけではなく、姫乃が普段の立ち振る舞いからは想像できないほどの反応を見せてボールを返している。

 しかし僕はというと、ボールに触るので手一杯でどこに返したかなんて見ている余裕はなかった。

 そうやって余計なことを考えていたせいだろう、目の前にやって来た大悟のアタックに反応することができなかった。


「環くん!」

「…………っ!?」


 顔面に走る衝撃。

 意識を手放す寸前に聞こえたのは、「環くん?」という心配そうな姫乃の声と、彼女以外の全員の大爆笑だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ