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あの場所でもう一度君と  作者: ましゅ
1章 出会いの1学期
20/144

第1章20話 環と姫乃の夏祭り③

記念すべき(?)20話です。

 やってきた亜美たちと一緒に夕食を食べる。何気に伊織と瑞季は僕の料理を食べるのが初なので反応が心配になる。

 でも、そんな不安は杞憂に終わった。


「美味いな……」

「美味しい!何これ!?」

「良かった」

「やっぱりタマッキーの料理美味しいよねー」

「ありがとう」


 大悟が何も言わないと思っていたら、椅子に座って焼きそばを黙々と食べ進めていた。僕の視線に気づいたようで、「相変わらず美味いぞ」と感想を言ってくれた。

 ふと遠くから太鼓の音が聞こえてきた。時間は午後6時半、なるほど、祭りが始まる時間か。


「始まったね」

「まぁ俺は静かな方がいいから環には感謝してる」


 伊織がそう言ってくれた。

 こんな伊織を見ていると、以前のあの視線が嘘にしか思えない。何故伊織は僕を睨んできたんだろう。

 そんなことを思っていると、徐ろに姫乃が口を開いた。


「皆、本当にありがとうね」

「ん?」

「倒れちゃった時、本当にショックでさ……泣きそうだったんだよ。まさか環くんがここまでしてくれるとは思わなくて」

「まぁ、姫乃が楽しみにしてるのは伝わってきたからね」


 そう返した直後、亜美が発した言葉が僕を、いや、僕たちを動揺させた。


「それにしても、本当にタマッキーは姫ちゃんに甘いよね。好きなの?」

「はい?」

「は!?」

「ふぇ!?」


 三者三様の声が上がる。

 最初は何を言われたのかわからなかった。言われたことを理解すると同時に姫乃の方を振り返ると、りんご飴もかくやという勢いで顔を真っ赤にして縮こまっていた。

 いや、それよりももう1つの声だろう。

 声の主は──伊織だった。

 そこで漸くあの時の伊織の視線の意味を理解した。なるほど、伊織は姫乃のことが好きだったんだろう。それなのに、クラスでもそこまで目立っていたわけでもない僕が姫乃と歩いていた。

 そんな状況を目の当たりにすれば、僕を警戒するのも当然だろう。


「あのさ……そうやってすぐ恋愛に結びつけるのはどうかと思うよ?」


 ため息をついてそう言うと伊織が詰め寄ってきた。


「違うんだな?」

「うん、ていうかそこまであからさまな態度取るとバレるんじゃ……」


 伊織にだけ聞こえる大きさの声でそう言うと、伊織も自分が何をしているのか把握したようで、焦ったようにすぐに手を離した。

 それでも亜美だけは気づいてしまっているようだったけれど、それを伊織に言わないのも優しさというものだろう。

 姫乃は気づいていなかったようで、そこに関しては少しだけ伊織に同情してしまった。


△▲△▲△▲△▲△▲


「んー、食った食った……」

「もう何も食べれないや」


 満足そうにお腹を抱える亜美たちを他所に片付けを進める。

 姫乃だけではなく伊織も手伝ってくれた。けれど、伊織の気持ちを知ってしまってからは、申し訳ないけれどカッコつけたいのかな?と思ってしまう。

 そんなこともあって思ったよりも早く片付けが終わった。大悟がコンビニで買ってきてくれた炭酸ジュースを飲みながら一息入れる。


「楽しかったぁ……またやりたいな」


 姫乃がそう感想を漏らした。それを聞いて、僕たちは思わず笑ってしまった。何かおかしいことを言ってしまったのかと不安な表情で首を傾げる姫乃に説明をする。


「あれ、もしかしてもう終わりだと思った?」

「え、違うの?」


 疑問の声を上げる姫乃、僕はそれを見て大悟に合図する。


「夏の夜はここからだろうが」


 大悟がそう言ってコンビニのレジ袋から取り出したのは、大袋に入った手持ち花火だった。


「え、えぇ!?」


 僕たちの夜は、まだ終わらない。

青春らしいこと、書けてるのかな?

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