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あの場所でもう一度君と  作者: ましゅ
1章 出会いの1学期
16/144

第1章16話 夏休みの予定

短め

ストック残り2話

 7月に入り、クラスにも夏休みムードが漂い始めた。

 期末試験も終わっているし、あとは適当に授業を受けるだけでいいから、確かに楽ではある。

 ただ僕には夏休みというものがそこまで良いものには思えない。

 そもそも暑いのが苦手だというのもあるし、人が多いところに行くのが苦手でもある。

 僕にとって夏はまさに天敵といえるものだから。

 それなのに放課後、今僕の周りでは亜美たちが夏休みどこに行くかで揉めている。

 この空気の中で「僕は行かない」という度胸は僕にはない。

 できれば人が多くないところがいいな、というのが僕の率直な思いだった。

 しかし、その思いも虚しく


「絶対海だって!」

「いや、行くなら山だ」


といった具合に海と山で揉めている。

 もはや僕がどうこうできる次元ではない。

 そんなわけでこの争いの行方を憂いながら傍観していたわけだけど、唐突に姫乃が放った一言で、この争いは簡単に解決してしまった。


「何で『どっちか』って前提なの?せっかくだし両方行けばいいじゃん」


 亜美と大悟はその言葉に顔を見合わせて、どちらからともなくこう言った。


「まぁ、別に山でもいいけどさ」

「ま、海もいいんじゃねえか?」


 そのあからさまな態度に思わず心の中で「ツンデレかよ……」とつっこんでしまったのはここだけの話だ。


「それじゃあ日にち決めよっか」

「まぁ俺は部活がない日ならいつでも」


という感じてトントン拍子に話が進んでいくので、僕が口を挟む隙がない。

 まぁ僕は部活があるわけでもないし、皆が決めた日程に合わせればいいだろうと無責任極まりないことを考えていると、後ろから声がかかった。

 それも男女──もちろん亜美でも大悟でもない。


「それ、俺らも参加していい?」

「いいー?」


 声をかけてきたのは、(ひいらぎ)伊織(いおり)柚原(ゆずはら)瑞季(みずき)

 伊織の方は以前駅で会ったことがあるからわかるけど、柚原とは初めての会話になる。


「伊織と柚原…さん?」

「そっか、環くんとは初めて話すっけ?瑞季でいーよ」

「わかった」


 そんな伊織たちに大悟が尋ねた。


「何、お前らも参加したいの?」

「おう」

「いいよな、皆」

「もちろん!」

「いいよー」

「異論はない」


 何ともあっさりと決まってしまった。

 しかし伊織か……気のせいかもしれないけど、前会った時は睨まれたような気がしたからなぁ。

 今の彼を見る限り、そんな様子は全くなさそうだったけど。

 この後、伊織たちも交えて日程を相談、その結果、7月30日に海に、8月13日に山に行くことが決定した。


 僕の夏休みが忘れられないものになるなんて、この時は思ってすらいなかった。

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