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あの場所でもう一度君と  作者: ましゅ
第5章 お泊まり会とデート
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第5章24話 一方その頃②

引き続き大悟×亜美ルート。

どうぞお楽しみください。

 彼女に見られながら朝食を摂るという、なかなかに緊張するシチュエーションを終えた俺は、亜美と共に自室に戻った。

 自宅デートとはいえデートはデート。情けないことにデートの経験なんて皆無な俺は、亜美(彼女)と2人で何をしたらいいのか皆目見当もつかなかった。


「なぁ、亜美」

「んー?」

「これ、こっからどーすんの?」

「どうするんだろうね」

「……おい」


 どうやら亜美もよくわかっていなかったらしい。まぁ、当然っちゃ当然か。俺も亜美もお互いが初の恋人なんだから。


「ま、ゲームでもするか」

「何かデートっぽくなーい」

「文句があるなら何か意見を出してくれな」

「あはは」


 文句を言いつつも本心から嫌がっているわけではなさそうだし、別に何でもいいんだろう。実際俺だって何をするかに拘りはない。亜美と一緒に過ごせればそれでいい。

 茶化して「何ならバスケでもするか?」と言ってみたが、その提案は「疲れてるんじゃなかったの?」という呆れたような言葉で一蹴された。


△▲△▲△▲△▲△▲


 ゲームを初めて早くも1時間が経過した。


「大悟ざこーい。『ゲームでもするか』ってドヤ顔してたの超ウケる」

「……うるせぇよ」


 俺と亜美がプレイしているのは “色んなゲームのキャラが乱闘する” アレ。ただ、買ったはいいが殆どプレイしてこなかった俺は一方的に亜美にボコされていた。

 いや、まぁ……亜美が楽しそうだからいいんだけど、さすがにここまでからかわれるとイラついてくるな。


「あーもう! やめだやめ!」

「わ、負け逃げだー」

「そーだよ、悪いかよ!」

「ざこざこー」


 く…………この女、ここぞとばかりにマウントをとってきやがる。


「ハイハイ、どーせ俺は雑魚ですよ」

「あはは、拗ねないでよぉ」

「…………」

「ふむ、これはどうすれば機嫌が元に戻るのか確かめるべきかな?」


 無視を決め込んでいると、亜美はわけわからないことを呟いた。と思ったら、突然「おりゃー」という謎の声とともに背中に飛びかかってきた。当然俺はバランスを崩すわけで──


「おわっ!?」

「きゃっ!?」


 ──床に倒れた俺に亜美が被さる姿勢になった。

 この姿勢は、ヤバい。服を着てるとよくわかんねぇけど、こうやって触れ合うと色々な柔らかさが直に伝わってくる。しかも何か柑橘系の香りが俺の鼻をくすぐってくる。そして何より…………


「重いからどけ!」

「うわ、女子に重いとか禁句だよ! 罰として反省するまでどいてあげないから」

「いや、悪いの俺か!?」

「ひゃくぱー大悟が悪いね」


 そう拗ねたように言い放った亜美は、俺の背中に馬乗りになった。あの……普通に重いんだが。


「わかったわかった、俺が悪かったからどいてください」

「えーもう仕方ないなぁ」


 亜美が不承不承といった様子で立ち上がろうとしたその瞬間、またもや何の前触れもなく扉が開いた。間の悪いことに、扉を開けたのはやはり母親。


「お菓子買ってき、た…………大悟、アンタまさかそんな趣味があったの?」

「だからノックしろって何度も言ってるだろうが!」

「亜美ちゃん、大悟の変な趣味に付き合う義理なんてないわよ?」

「あ、や……違うんです凪沙さん! これは私が──ってそういう趣味じゃなくてこれは不慮の事故でっ!」


 事故っつーか完璧に故意だったけどな。とか、そんなに慌ててると逆に怪しいぞ。とか言いたいことは色々あったけれど、とりあえず亜美に一言。


「亜美、とりあえず離れてくれ」

「……はーい」

「んで、母さんはさっさと出てけ」

「冷たいわねぇ……あ、亜美ちゃん」

「はい?」

「昼ご飯食べてく?」

「いいんですか? ご馳走になります!」


△▲△▲△▲△▲△▲


 母さんが昼飯の準備をしている間、俺と亜美はまた2人きりになった。で、問題はやっぱり何をするか、だ。


「多分20分くらいあると思うけど、何するよ。あ、飛びかかるのはなしな」

「それは忘れろ。んー……20分なら話してたらすぐじゃない?」

「それもそうか……って話題がねーんだよ」

「じゃあ、しりとりでもしよう。しりと『り』」


 こっちの意見なんか聞くこともなく、唐突にしりとりが始まった。まぁ、暇つぶしにはちょうどいいか。


「り、り……リア充(リアじゅ『う』)

「うー……乳母(う『ば』)

「渋すぎだろ……バカップ『ル』」

「何その答え……あっ!」

「なぁ、これ楽しいか? つーかどうした?」

「午後はバカップルに突撃取材しよう!」


 ホント、何でこんなに咄嗟の思いつきができるかねぇ。にしても、バカップルに突撃取材? 俺が知ってるバカップルって1組しかないんだが……まさか?


「環たちか?」

「そう! 面白そうじゃない?」

「アイツらデート中だろ!? さすがに邪魔するのは気が引けるっつーか……」

「だからいいんじゃん。そこからダブルデートに移行だよ」


 ん、まぁダブルデートならいいのか。

 思考の淵でギリギリ踏みとどまっていた俺のなけなしの理性は、『ダブルデート』という甘美な亜美の提案(悪魔の囁き)に毒されてどこかへ飛んでいってしまった。

次回、お邪魔回始動。

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