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あの場所でもう一度君と  作者: ましゅ
第5章 お泊まり会とデート
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第5章23話 一方その頃①

予告通り本日二度目の更新でございます。

ここから数話にわたり大悟視点のお話となりますので、環×姫乃を楽しみにしている方は暫くお待ちください。

付き合い始めて訪れた初の週末。初々しいカップルはどのように過ごすのか、そこも含めてお楽しみくださいな。

 午前10時。文化祭準備で削られていた体力を全回復するかのような12時間睡眠から目覚めると、スマホにたくさんのメッセージが届いていた。送り主は全て亜美だ。一体何があったんだろうか。


『(8時12分)大悟、起きてる?』

『(8時20分)起きたら返信ちょーだい』

『(8時41分)ちょっと寝すぎじゃない?』

『(9時01分)起きろー』

『(9時19分)大悟ってばー』

『(9時37分)おーきーろー!』


 付き合う前なら “鬱陶しい” の一言で片付けていたんだろうが、今となってはこの鬼メッセでさえも嬉しいと思ってしまう。我ながら、亜美に惚れすぎだな。

 と、そんなことを考えているとちょうど亜美から新しいメッセージが送られてきた。


『やっと起きたか ねぼすけ』

『疲れてたからしゃーねーだろ で、何の用だ?』

『んー、今からそっち行っていい?』

『別にいいけど……何で?』


 そう返したその瞬間、自室の扉(引き戸)が大きな音を立てて開かれた。


「どわっ!?」

「あはは、大悟驚きすぎだよ」


 いや、そりゃ驚くだろう。『そっちに行ってもいいか』とメッセージを送ってきた相手が数秒後に目の前にいるんだから。ワープ能力でもない限り、そんな事有り得るはずがないんだから──と考えてからはたと気づく。


「なぁ、亜美」

「んー?」

「お前いつからここにいた?」

「えっとねー……8時半くらいかな」

「早すぎじゃね!?」


 そう。既読がつかないのは単に俺がスマホを触っていないからかもしれない。それにも関わらず『寝すぎじゃない?』とか『起きろー』とか言うメッセージを送ってきたことにどうしても疑問を抱かずにはいられなかった。しかしその疑問も、亜美が初めから家にいたと考えれば説明がつく。まぁ、8時半からいたのにはさすがに驚いたが。


「俺にだってプライバシーってもんがあるんだが」

「そんなん昔一緒にお風呂に入った時点でないも同然じゃん?」

「いつの話だ! つーか思い出さないようにしてたのに……」

「………………」

「何だよ」

「いや、普通反応が逆だよなーって」


 それはお前が男勝りすぎるだけだ。そう言いかけたその時、扉の向こうから呆れたような言葉がかけられた。


「まぁ、ウチの息子は女々しすぎるからねぇ」

「いたのかよ」


 声をかけてきたのは藤崎(ふじさき)凪沙(なぎさ)──俺の母親だ。亜美を家に招き入れた犯人は十中八九この人だろう。


「母親に向かってその言い方はないでしょう。ごめんね亜美ちゃん、こんな息子で」

「凪沙さんは悪くないですよー」

「そう言ってくれるのは亜美ちゃんだけだよ」


 そして母親と亜美は無駄に仲がいい。それこそ同年代の友達のように振る舞うんだから、俺としては母親の若作りを嘆くしかない。


「大悟、アンタ変なこと考えてるでしょ」

「別に。つーか早く出てけよ」

「そうね。2人の時間は私だって邪魔したくないし」


 そう言うと母さんは「買い物行ってくるわ。朝ご飯は適当に食べてね」と言って漸く部屋から出ていった。


「マジで何しに来たんだ。てか亜美、付き合い始めたこと言ったんだな」

「そりゃあいつかはバレるからね」

「まぁそうだけど。んじゃ亜美も一旦出てってくれよ」

「何で?」

「いや、今から着替えるんだけど」


 亜美がどう思ってるか知らないが、一応男にだって羞恥心ってもんはある。さすがに付き合いたての彼女の前で着替えるなんてそんな勇気はない──んだが、その理屈も亜美には通じない。


「別にいいじゃん男の裸くらい。減るもんじゃないし」

「裸っつーな。ちゃんと下着は着てるし履いてる」

「じゃあ尚更気にしなくてもいいよね?」

「うぐっ…………わーったよ」


 昔から妙にサバサバしてるんだよな、コイツ。まぁ、それもひっくるめて好きになったんだからしょうがないか。

 諦めた俺は、落ち着かない空気の中で部屋着に着替えた。


△▲△▲△▲△▲△▲


「んで? 本当に何しに来たんだよ」

「んーっと、これ!」


 亜美はそう言ってメッセージアプリのスクリーンショットを見せてきた。これは……亜美と麻田の会話か。

 差し出されたスマホを手に取って確認すると、こんなやり取りが交わされていた。


『ねーねー亜美』

『どしたー?』

『龍馬とデートしてたら電車で偶然あの2人と会ったんだけどw』

『あの2人?』

『柏木と姫乃だよ』

『マジかぁ…… てか紗夜もデート中なんだね』


 なるほど、環たちも仲良くやってるようで何よりだ。まさかこれを見せに来ただけか?


「……ふーん」

「いや、それだけ!?」

「逆にこれ以上何言えばいいんだよ」

「これ見て何も気づかないの!?」


 んなこと言われても……龍馬×紗夜(付き合いたて)(人のことは言えないが)も環×姫乃(バカップル)もデートしてるんだなぁ、としか。

 ……ん? 待てよ?


「まさか、お前もデートしたいとか?」

「そのまさかだよ! てか気づくの遅いよ!」


 そう叫んで俺の胸をポカポカと叩いてくる亜美。何つーか……可愛いな、オイ。

 とまぁそれは置いておいて、デートか……。


「どっか行きたいとかあんの?」

「別にそれはない」

「おい」

「だって大悟疲れてるって言ってたし、私も実際のところ疲れてるし」

「お、おう……」


 コレだよコレ。普段はサバサバした性格で何でも強引に決定するくせに、たまに見せるこの気遣い。これで落ちない男とかいねえだろ。もしいたらそいつは男じゃねえ……って言うのはさすがに過言か。


「んじゃあどうするよ」

「だからさ、お家デートとか……どう?」

「お家デート!?」


 さすがに初めてでお家デートはまずくないか!?

 あ、違うわ。1回環たちとダブルデートしてるわ。

 それによく考えたらコイツ普段から俺の部屋に来てたわけだし……付き合うまでと何も変わらないのでは?


「ん、んー……まぁいいんじゃね?」

「やった! 大悟ならそう言うと思って、いっぱいお菓子買ってきたんだ」


 いや、それはデートとはまた別じゃないのか? 喉から出かけたそのツッコミを何とか飲み込んで、俺と亜美のデートは唐突に始まった。

幼なじみカップルも捨てがたいよね。

というか、世の中ホントいろんなラブコメで溢れてるわけですよ。『幼なじみ系』『嫌いから始まる系』『三角関係もの』『義兄妹(姉弟)もの』etc.

それらを生み出した偉大な人物に感謝をしつつこれからもラブコメを書いていきますので、応援よろしくお願いします。

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