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あの場所でもう一度君と  作者: ましゅ
第5章 お泊まり会とデート
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第5章21話 環くん、慰める

ちょっと短めかな?

四連休は毎日更新する予定だからそれまでは待っていてくださいな。

お家デートはもう少し続きます。


※追記

前話は環の部屋だったのにいつの間にかリビングになっていたということが判明しました。よって環の部屋に統一しました。大変失礼致しました。

 姫乃はベッドの上に無造作に置いてある僕の枕に顔をうずめて足をバタバタさせていた。非常に画になる光景だけど、状況が状況なので何て声をかけていいのかわからない。


「あの……姫?」

「────っ」

「いや、何を伝えたいのかわかんないです」


 その姿勢で唸られても……

 どうしたらいいのかわからずに姫乃を見たまま固まっていると、姫乃がおもむろに顔を上げて小さく呟いた。


「……環くんが慰めると効くようです」

「そりゃまぁ『慰めろ』って言われたらそうするけど、具体的には何をご所望ですか、お姫様」


 自分でそう言いながら「歯の浮くようなセリフだなぁ」と頬が熱くなる。それでも羞恥に耐えて口にしてみれば、姫乃には効果覿面だったようで、少し元気になったように感じる声で「どうしよっかなぁ」と悩み始めた。


「なんでもいいの?」

「もちろん。あ、僕にできる範囲でだよ」

「うん。えーっと……決めた!」

「ん、言ってみ」


 そう促すと、にこにこと上機嫌になった姫乃は突然僕の上に座って、首に腕を回してきた。姫乃の息遣いが直に伝わってくるほどに密着度がすごい。


「あの?」

「今日はもっとくっつくことにします」

「……左様で」


 含羞むようにそう告げた姫乃に、少しドキッとしてしまった。


△▲△▲△▲△▲△▲


 姫乃から抱きついてもらえるのは彼氏冥利に尽きるし素直に嬉しい。ただ、何というか……この姿勢は非常にまずい。姫乃は僕の太腿にまたがって僕と向き合う姿勢になっている。普段の姫乃とは違い、より大胆になっているというか……。とにかくこのままでは僕の理性が無くなりかねない。

 姫乃の細く柔らかい肢体に腕を回して抱きかかえ、僕の隣に座らせる。姫乃は残念そうな瞳で見上げてきた。


「……嫌だった?」

「いや、そういうわけじゃないよ」

「じゃあ何で?」

「えっと……僕に心の準備をさせてください」


 そう告げると、姫乃は呆気にとられた表情になった──と思ったら、すぐに声を上げて笑いだした。


「あははっ」

「な、何で笑うんだよ……」


 そう尋ねても姫乃は笑うばかりで答えてくれない。それどころか目じりに涙を浮かべる始末。……ちょっと笑いすぎじゃないか?

 少し仕返ししたくなった僕は、笑って無防備になった姫乃の頬を少し引っ張ることにした。ふにふにと柔らかくていつまででも触っていられそうだ。


「わ、ごめんなひゃ()い」

「何で笑ってたのかなー?」


 名残惜しかったけれど、手を離してもう一度尋ねると、姫乃は諦めたようにこう答えた。


「んぅ……環くんが可愛いなーって」

「可愛い?」

「うん。何かいつもは余裕綽々って感じなのに、いざとなるとへたれる所とか」

「うぐっ……」

「あ、ごめん! 別に貶してるわけじゃなくて、そんな環くんも可愛いなぁって思ったの」


 姫乃は慌ててそうフォローしてくれたけれど、 “可愛い” とか “へたれ” とか目の前で聞かされると……さすがに男として自信なくすなぁ。

 まぁ、それはそれとして……。


「姫、誰が余裕だって?」

「へ? わっ……」


 姫乃を抱き寄せると、何も言わないでも僕の意図を察したようで、耳をそっと僕の胸に押し付けた。

 最初は興味津々と言った表情だったけれど、すぐにへにゃ、と破顔した。


「ドキドキしてる」

「姫といる時はいつもドキドキしてるよ」

「……そうなの?」

「うん」


 素直にそう答えると、姫乃は嬉しそうに「ふーん」と何度も頷いたあと、何を思ったか、おもむろに僕の右手を取って自分の胸へと誘った。

 下着の少し硬い感触の下から、姫乃の本来の柔らかさが伝わってきた。……柔らかい、じゃなくて!


「ちょ、姫!?」

「私も同じだね」


 そう言われて、姫乃の鼓動が伝わってきたことに気づく。 “ドキドキ” 、というよりは “とくん、とくん” と控えめな拍動は、それだけで僕を落ち着かせてくれた。

 だけど、すぐに現実に引き戻される。


「……んっ」


 微かな姫乃の嬌声が耳朶を打った。少し遅れて右手に無意識に力を入れてしまっていたことを理解し、急激に顔が熱くなる。

 慌てて手を離して謝罪する。


「ご、ごめんっ!」


 ところが、いくら待とうが許しの言葉も、ましてや罵倒の言葉すら返ってこなかった。やはり怒っているんだろうか。

 おそるおそる顔を上げると、ぼーっとした表情の姫乃と目が合った。気のせいだろうか、その瞳はぼんやりとどこか遠くを見ているようだったし、頬も赤く染まっている。


「……姫?」


 もしかしたら取り返しのつかない過ちを犯してしまったのかもしれない。そんな不安に苛まれながら震える声で姫乃を呼ぶと、全く思いもしなかった言葉が返ってきた。


「環くんなら嫌じゃない」

「…………え?」


 何を言われたのか理解が追いつかずに硬直していると、姫乃はもう一度、今度はゆっくりと口を開いた。


「環くんなら、いいよ」


 …………………………え?

「次回へ続く(ドンッ)」

いいところで次回へ繋ぐやつ、やってみたかったんですよね。いいところかどうかはまぁ読者の皆さん次第なんですが、個人的にはやれて良かったです。

それどころか書きながら「え、いいの!?」なんて思ったりもしましたね。作者なのに。


というか、タイトルと中身にズレが生じてる気が……ま、まぁ大丈夫ですよね。環くん、最初はちゃんと慰めてましたし!

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