表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あの場所でもう一度君と  作者: ましゅ
第5章 お泊まり会とデート
114/144

第5章4話 もっといちゃらぶ②

ごめんなさい短めです。

 姫乃の強い希望で4つの味が楽しめるとCMでやっていたピザを頼んだ。注文したピザが来るまでに15分程度かかるということだったので、その間に何かできないかを考えているところだ。15分でできることか……ないな。


「姫、何かしたいことある?」

「んー…………特に」


 そして姫乃が素っ気ない気がする。寝ている姫乃にキスしようとしていたのがバレていたんだろうか。

 でもそんな姫乃も可愛くて、気がつくと僕は姫乃を抱きしめていた。やっぱり、温かい。そして色々と柔らかく、細い。折れてしまいそうで心配になる。


「ひゃっ、ちょっと……環くん!?」

「ダメだった?」

「ズルい。ダメって言えないのわかってるくせに」


 そう言って姫乃は頬を膨らませた。素っ気なさも消えていたのでちょうどいいタイミングだと思う。これ以上からかうのはやめた方がいいだろう。


「ごめんごめん」


 謝りながら頭を優しく撫でると、「んぅ……」という小さな声が吐息と共に漏れた。その声だけでは満足しているのか不満なのかはあまりわからない。それでも嫌がっているわけではないようなので暫く撫で続けていると、あっという間に15分が過ぎていった。

 届いたピザを受け取りに行く時も姫乃は僕の腕にしがみついていた。ピザを届けてくれた店員さんに「ラブラブですね」と言われた時は顔が熱くなってしまった。


△▲△▲△▲△▲△▲


 何故かよくわからないけど、家で作るピザって店で売られているものに比べてモチモチ感が足りないんだよな……ってそういうのはどうでもいいか。とにかく僕たちはあっという間にピザを食べ終えた。異様に伸びるチーズと格闘していた姫乃が可愛かった。本人には言ってないけれど。


「美味しかったぁ」

「ピザもたまにはいいね」

「でも私は環くんのご飯が1番かなぁ」


 食後にソファに座って休憩していると、耳元でそんなことを囁かれた。なんとも嬉しいことを言ってくれるものだ。照れくさくなって姫乃の頬を引っ張ると、「うにゃー」と猫みたいな声が小さな口から聞こえてきた。猫みたいっていうか、実際猫の姿なんだけど(何度目だ)。

 そのままころんと転がってソファに座っている僕の膝に頭を乗せてきた姫乃。膝枕の立場がさっきと逆になった状態だ。


「んぁー」

「その声……眠いの?」

「まさかぁ。さっきまで寝てたじゃん」

「そっか」


 確かに眠そうではない。甘えているだけなんだろうけど……隙だらけだから目のやり場に困るんだよなぁ。今だってパーカーの首もとから微かに胸が覗いている。本人が気づいていないのが厄介なところだ。


「姫、見えてるんだけど」

「んー? あ、見たの?」

「見たんじゃなくて見えてるの」

「見てることに変わりはないじゃん、えっち」


 うぐ…………正論。

 何も言い返せずにいると、姫乃は我慢できないというように吹き出した。


「もうダメ……な、何でそんな顔するの?」

「へ?」

「すごい泣きそうな顔してるよ」


 その言葉と同時にパシャッという軽い音が部屋に響く。カメラのシャッター音だとすぐに気づいたんだけど……いつの間にスマホを取り出したんだ?

 姫乃は撮ったばかりの写真を笑いながら僕に見せてきた。その写真に写った僕は、確かに今にも泣きそうな表情をしていた。


「ほらー」

「えぇ…………」

「でも今のは私が悪かったかな。お見苦しいものをお見せしました」


 ごめんなさい、と謝った姫乃。別に見苦しくなんてなかったんだけど……それを本人に言える猛者はこの世にどれだけ存在しているんだろうか。まぁ少なくとも、僕は無理だな。


△▲△▲△▲△▲△▲


 さて、夕食も食べ終え、時刻は午後8時半。世の先人たちよ、この後どうすればいいのか教えて頂きたい。何せ僕はそのような経験など皆無、内心ドッキドキを通り越してバックバクである。


「姫、どうする?」

「…………え? ん、えっと、んー?」


 訂正、“僕は” ではなく “僕たちは” のようだ。

 姫乃は僕以上にテンパっていた。そのせいか、突然こんなことを口走った。


「……き」

「き?」

「キスでもする?」

「あー…………ふぇ!?」

「ん、あ! 違……わないけど違うの!」


 わかりやすくテンパる姫乃。小刻みに震える手で僕の頬を挟み、唇を重ねてきた。あ、柔らかい。


「…………っ!?」


 予想の斜め上どころか直角真上をいく姫乃の行動に何も考えられなくなった。キス? え、何で? あ、いい匂いがする……ってそうじゃない。姫乃さんまずは落ち着きましょう。というか落ち着かせて下さい、まずは離れて下さい。


「ん、んーっ」

「ぷはっ」

「はぁ、はぁ…………」


 数十分にも思える数秒の後、漸く姫乃が離れてくれた。


「姫、な、何で?」

「ん、とね……あのね…………」


 姫乃はそこで言い淀んでから、顔を湯気が出てきそうなほど真っ赤に染めてこう言った。少し含羞んだようなその表情と相まって、その言葉の破壊力は抜群だった。


「私ね、ぎゅってされるのも好きだけど……キスも好きみたい」

「んなっ…………ズルいぞ」

「えへへ」


 そして姫乃は上目遣いで僕を見て、眩しいくらいの笑顔で言った。


「だから今度は、環くんからして欲しいな」


 いいのか……? というか、できるのか?

次回、環くんは男を見せることができるのか!

お楽しみに!


あ、Twitterで更新報告再開します。

@MSD59510774 でやってます。もしよろしければフォローの方もお待ちしておりますよ〜

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ