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あの場所でもう一度君と  作者: ましゅ
1章 出会いの1学期
11/144

第1章11話 環と夢とクラスメイト①

学校編、スタートです。

-----------------------------------------------------------


最近は決まって夢を見る。

それはいつも同じ内容で、いつも何かを訴えてくる。


『**ちゃんは僕が守るよ』

『じゃあ私は環くんを守る!』


おそらく話しているのは幼い頃の僕だろう。

それなのに、相手の女の子の名前だけはどうしても思い出すことができない。

誰だろう。何か、とても大切な名前。

あと少しで思い出せる、そんな時に、そこで場面は変わってしまう。


「環くん、環くん!」

「泣かないで、**ちゃん。僕はまた**ちゃんに──」


そしてそこで夢は途切れる。

目を覚まし、ふと頬に触れると涙で濡れている。

そこで漸く自分が泣いていたことに気づく。


あの子は、誰なんだろう…………


-----------------------------------------------------------


今日も夢を見た。

この夢を見始めたのはいつからだろう。

そんなことを考えながら顔を洗い、台所へ。

ぼーっとしながら朝ごはんを作っていたせいで、包丁で指を切ってしまった。


「……っ!」


比較的小さな傷口から、鮮やかな赤色の血の玉が浮かんでくる。

反省しながら傷口を水で洗い流し、絆創膏を探して指に巻く。

この夢のことは、また今度考えればいい。

そう思って料理に集中した。


トースト・スクランブルエッグ・ウインナー・サラダ・ヨーグルトという簡単な朝食を済ませて制服に着替える。

課題が終わっていることと時間割を確認して、スマホをポケットにしまう。

少し早いけど家を出ようとした時、しまったばかりのスマホが鳴った。

姫乃が電話をかけてきたようだ。この時間にかけてきたことを不思議に思いながら電話に出る。


「もしもし?」

『環くん、おはよう!』


朝から耳に響く大きな声で叫ばれ、思わずスマホを耳から遠ざける。


「お、おはよう」

『今日学校一緒に行かない?』


クラス1番の人気者と、クラスで底辺を彷徨う男子。この2人が一緒に登校することが何を引き起こすのか、そんなこと分かりきっているはずだろうに、姫乃はとんでもないことを口にしてきた。それでも、


「ん、いいよ」

『やった』


何を引き起こすのか、分かりきっていながら申し出を受ける僕も、十分姫乃に染められている。そんなことを思うと、思わず笑みがこぼれてしまう。


「ていうか、もう玄関の前にいるんでしょ?」

『あ、バレた?』

「声が聞こえてる」


そう言ってドアを開けると、果たして姫乃がいた。


「じゃあ行こ!」

「うん」


△▲△▲△▲△▲△▲


学校に着くまでの間、様々な(主に好奇の意味が大きいだろう)感情が込められた目で見られ、落ち着かなかった。

姫乃にそんな様子は全く見られなかったので、普段から慣れているんだろうと、改めて姫乃の人気ぶりに感心した。

当の本人は


「何でこんな見られてるの?」


と、自分の魅力にまるで気づいていないようだったけど。


学校に着いて、廊下を歩き(その間もジロジロ見られた)、教室の扉を開ける。

その途端、クラス中の視線が僕たちに集まった。

そんな空気の中でも、姫乃はいつもと同じように


「おっはよー」


と元気に挨拶をしていた。

その時、クラスの女子がこちらに歩いてきた。

僕を睨みながら姫乃に尋ねる。

確か姫乃と仲が良い──杉浦(すぎうら)亜美(あみ)だったはず。


「姫ちゃんおはよう。えっと、隣の子は?」

「亜美ちゃんおはよう!環くんだよ?気づかなかった?」


その答えに、教室中がざわめいた。

窓側の机でただ1人、柊伊織だけが「やっぱりな」という顔でこちらを見ていた。

姫乃に集まっていたはずの視線がこちらに向くのを感じて、早くも帰りたくなってしまった。

テスト週間でも

時間を見つけて更新するようにします。

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