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あの場所でもう一度君と  作者: ましゅ
1章 出会いの1学期
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第1章10話 環と姫乃と夜ご飯

連続投稿です。

キリよく終われたかな?

「お邪魔しまーす」

「…………ただいま」


姫乃の声が先に響いたのは、彼女が僕より先に玄関に入ったから。

家主であるはずの僕より先に入る姫乃の行動に、苦笑してしまう。


「いやー、前も思ったけど相変わらず綺麗な部屋だねぇ。男の子だとは思えないや」

「それ褒めてるの?」

「もちろん」


若干僕が男らしくないという思いが込められた感想を頂いて「おや?」と思ってしまったけど、姫乃に悪気はなさそうだったのでスルーする。


「ここまで綺麗だと逆に荒らしたくなるね」

「や、やめてください」

「あはは、冗談に決まってるじゃん」


冗談とは思えないノリで言われて本気で焦った。

少し姫乃に目を光らせながらキッチンで夕食の準備をする。

今日は何にしようか、そう考えていると姫乃から


「和食が食べたーい」


と言われたので、それに従うことにした。


△▲△▲△▲△▲△▲


約30分して食卓に全ての料理が並ぶ。

主食は玄米ご飯、豚汁、菠薐草(ほうれんそう)のおひたし、塩鮭、そしてとろろ。

疲れていても食べやすいような、そんな献立にした。

ただ、2人分作るのは久しぶりだったので、少し多めになってしまったことは内緒だ。


「……美味しそう」

「美味しいかどうかは食べてからのお楽しみ」

「「いただきます」」


しっかりと手を合わせて食べ始める。

姫乃は真っ先に手をつけたのはおひたしだった。

何気に自信作なので心の中でそっとガッツポーズをしておく。


「…………美味しい!」


目を輝かせて感想を言ってくれる姫乃を見て思わず口元が緩む。


「ありがとう」

「やっぱ環くん女子力高いねぇ」

「さっきも思ったけどそれ褒めてないよね……」

「そんなことないよ、私料理こんな上手くできないから羨ましくなっちゃっただけ」

「そう?……ならいいけど」


釈然としないまま豚汁を飲む。

疲れた体に適度な塩味が染み渡る。

ちょうど同じタイミングで姫乃も豚汁に口を付けていた。


「あー、染み渡るー」

「年寄り臭いよ」

「だってホントなんだもーん」


その言葉に笑ってしまう。

姫乃はなぜ僕が笑っているのか分かっていないようだった。

当たり前だ、僕だってよく理由が分かっていないんだから。

その後は2人とも黙々と食事を続ける。


△▲△▲△▲△▲△▲


作りすぎたと思っていたけれど、気がつけば机の上の皿は全て空になっていた。

姫乃はなかなか大食いなようだ。女性にそれを言うのはやめておいた方がいいことくらい僕にだって分かっているから本人には言わないけど。


「洗い物はやるよ〜」

「ん、いいの?」

「そうでもしなきゃこの恩は返せないよ。って言うか既に返しきれない気が…」

「そ、そっか。じゃあお願いしていい?」

「お任せあれ!」


姫乃がそう言うので、皿洗いは姫乃に頼むことにした。

その間することがなくなったので、食後のコーヒーでも準備することにする。


「姫乃、コーヒーでいい?」

「うん、大丈夫」


その返事を聞いてコーヒーを淹れる。

といってもインスタントコーヒーだけど。

姫乃が皿洗いを終えたタイミングでコーヒーを出す。

僕はブラックでいいんだけど、姫乃はミルクと砂糖が必要だったらしい。


「環くんよくブラックなんて飲めるね」

「そう?美味しいじゃん」

「そこに関しては環くんと気が合いそうにないなぁ」


そんな会話をしながら、夜は更けていった。


△▲△▲△▲△▲△▲


時刻は午後8時20分。


「ん、そろそろ帰るね」

「うん、気をつけて……って言っても1つ上の階に行くだけか」

「あはは、ありがとう」

「じゃあ今度こそ、また学校でね」

「うん!夜ご飯ごちそうさまでした」

「お粗末さまでした」


そう言って姫乃は帰っていった。

今日は色々なことがあったな、そう思うと急にドッと疲れが押し寄せてきた。


「あーこれダメなやつだ……」


1人呟きながら風呂の準備をする。


こうして、僕の濃い1日は終わりを迎えた。

こんな女子現実にいないよな〜

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