七・五節 わがまま
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〝魔力〟に〝精霊〟、かぁ……。
未だに飲み込めない様な話だけど、あんな状況を作ったのは私だし、あの堪え難い苦痛を感じれば、嘘では無い事なんて嫌でも理解してしまう。
とても苦しかったし、しんどかった。
自分で魔力がカッコいいとか何とか言っていた癖に、情けないなぁ。こんなにも魔力を宿す、という事が辛いだなんて知らなかったから。つくづく自分の無知を呪いたい。
もう二度とあんな苦しい思いはしたくない。そう思ってはいる。だけども、もしもう少し魔力の暴走が続いていたら――。
――もう少し長く、私の事を抱きしめてくれていたかな。
ずっと前から、シルクの事が好きだった。
彼のその優しい心が、何よりも好きだった。
彼が近くにいるだけで、とても心が落ち着くし、何処か幸せな気分になる。
だからあの時、私の事を助けてくれて、凄く、凄く嬉しかった。激しく鳴っていた心臓の鼓動が彼に伝わらないか心配したけど、彼の優しさや温もりをいつも以上に感じられて、嬉しかった。
自分がわがままな事なんて自覚している。
だけど――。
――今夜はもう少しだけ、側にいてほしかったな。
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