問い掛ける
答えなど無い、あったとしてもーー
この街に来てから、もう早三年。
気が付けばもうこんなにも時間を浪費していた。
ずっと仕事ばかりして、私の事など何もしていない。
けれども今の時代、そんな人間ばかりではないか。
朝から晩まで仕事をして、気が付けば何も無く、ただただ焦る。
このままでは駄目だと。何をしにココへ来たのか。
考えれば考えるほど沼にハマって、ストレスを抱える。
仕事と自分のダブルストレスだ。苦痛なんてもんじゃない。
それでも世間は、「死んだら負けだ。」とか。
「飛び込んで楽になっても、残された人達が迷惑だ。」だとか。
うるせぇよ、と。知った事か、と。
そんな便利な言葉並べて、偽善ぶって。
そんな中途半端な偽善の所為で、苦しむ人がいるのだと。
大体そんな事を軽々しく言えるのは、今私が悩んでいる事など考えずに生きて来た奴らだ。
...あくまで憶測だけども。
現に今こうしている間にも、電車の前に飛び出し、電車が止まり、駅員達がクレーム対応に追われて、早く動けと目に見えるストレスを口にする。
こんなことばかり繰り返しているから、また同じ事が起こる。
起きる。
これは絶対だ。
確定された事象なのだ。
この悪循環を改善しない事には。
「いつになったら、こんな事を悩まなくなるのかな。」
元々誰かがいただろう会議室に向かって、その議題を投げかける。
もちろん、答えなど帰ってこない。
議題は宙に浮いたまま、静かに嘲笑う。
そして議題は、人を馬鹿にする様な口調で答え始める。
「答えなど無い、あったとしてもーー
耳を塞ぐ。
私は知っている、この先の言葉など。
改善は不可能だ。」
耳元で囁く声。
私の声にそっくりな、別の声。
いつも聴こえる、喉の声帯から空気を震わせ発される、私によく似ていて、それでいて少し違うような
声。