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第71話:その言葉は

「本当にすごい、星空だね。まるで自分が宇宙の中に浮いているみたいだ」

「……ん」


 星空観賞の会場で僕と桜崎さんは芝生の上で横になり、一緒に広大な星空を見つめている。

 視界いっぱいに広がる星の海。その淡い光を見つめているだけで、体がふわっと浮き上がるような浮遊感を感じる。

 世界にはまるで僕たち二人しかいなくなってしまったように静かで。でも、怖くはない。

 生まれて初めて感じるその感覚に身を委ねていると、控えめな声が隣から微かに聞こえてきた。


「星を観てると、ね。今の自分の状況とか、そんなの小さいことなんだって思える。だから好きなんだ」

「自分の、状況?」


 僕は桜崎さんの言葉の意味がわからず、思わず隣に寝ている桜崎さんの方へと顔を向ける。

 真っ暗な会場で桜崎さんの顔を見ることはできなかったけど、その表情はなんだか切なそうに思えた。


「あっ……なに言ってんだろ、あたし。ごめん! 忘れて時雨君!」

「???」


 慌てて自身の言葉を取り下げる桜崎さんの様子に疑問符を浮かべる僕。

 しかし何故かそれ以上聞くことができなくて、僕たちはずっと無言のまま星空を見上げていた。






 その後星空観賞の時間も終わり、会場に再び灯りが灯る。

 それと同時に、きな子姉ちゃん達と合流することができた。結局みんなどこ行ってたんだろ。


「ヘイヘイ信ちゅわぁん。桜崎ちゃんと二人っきりで何してたんだい?」


 きな子姉ちゃんはニヤニヤとした表情を浮かべながら、肘で僕をつついてくる。

 僕は頭に疑問符を浮かべながら、淡々と返事を返した。


「いや。別に何もないよ?」

「そんなこと言ってー。信ちゃんの信ちゃんが満天になっちゃったんじゃないの?」

「突然の下ネタ!? しかも意味がわからない!」

「ま、いいじゃねーか。星綺麗だったよなぁ」


 猛はぽんぽんと僕の肩を叩きながら、楽しそうな笑顔を浮かべる。

 そんな猛の言葉を受けた僕は、微笑みながら頷いた。


「そうだね。あれは地元じゃちょっと見られないかも」

「きれーだったでござる!」


 僕の言葉に呼応するように飛び跳ね、元気な感想を届けるあずき。

 僕はそんなあずきの頭を軽く撫でると、大量の人でごった返しているロープウェー乗り場に視線を移してゲンナリした。

 まあ、星空観賞の時間が皆同じなんだから当然こうなるよなぁ。


「さて、問題はあの人混みをどう突破するかだね」

「あ、あはは。突破はちょっと、無理かも」


 モブ子さんは困ったように笑いながらあずきを抱え、大粒の汗を流す。

 僕らは人混みに屈してしばらく広場で時間を潰すと、結局最後の便で山の麓に降りることになっていた。

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