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第61話:きな子の野望

「さて、旅館に荷物も置いたし近くの浜辺に遊びに来たわけだけど……きな子姉ちゃん、ハメを外しすぎないでね」


 僕は心配そうに眉を顰め、きな子姉ちゃんに釘を刺す。

 そんな僕の言葉を聞いたきな子姉ちゃんは、カラカラと笑いながら返事を返した。


「なーに言ってんのさ信ちゅわん! あたしだって大人よ!? 大人の女の余裕ってやつを見せてやるぜ!」

「それはいいけど足にきてるよ姉ちゃん」


 きな子姉ちゃんは爽やかな笑顔でぐっと親指を立てるが、その両足は興奮のせいかガクガクと震えている。

 そんな足を見た僕の指摘を受けたきな子姉ちゃんは、うっと唸りながら返事を返してきた。


「もー信ちゅわん! そんな意地悪言わないでくれよう。あたし絶対大人しくしてるよ」

「そんな引っ付かれても……いや、常識の範囲内で遊んでくれればそれでいいんだよ?」


 飛びついてきたきな子姉ちゃんを抱きとめながら、僕は微笑みつつ言葉を返す。

 そんな僕の言葉を受けたきな子姉ちゃんは、口をωの形にしながら言葉を続けた。


「うー、わかった。じゃあ砂の城とかは作っていい?」


 きな子姉ちゃんは近距離で伺うように僕の顔を見つめ、質問する。

 その言葉にほっと胸を撫で下ろしながら、僕はこくりと頷いて返事を返した。


「ははっ、なんだ。砂の城ならもちろんOKだよ」

「やったー! 原寸大で作るね!」

「それは了承しかねるよ! なんでそこリアリティにこだわっちゃったの!?」

「拙者もがんばるでござる!」

「あずきはのらないで! さすがに二人を止める自信はないから!」


 ふんすと鼻息を吹き出しながら興奮した様子でのってきたあずきに、止めるよう釘を刺す僕。

 そんな僕を見たきな子姉ちゃんは、ふやっと笑いながら言葉を続けた。


「大丈夫だよぉ信ちゃん。和風の城にするから」

「問題はそこじゃないよ!? サイズが問題なの!」

「あ、原寸大では小さいでござるかな」

「大きいでござるよ! でもサイズを考慮してくれたのは嬉しいかな!」


 僕は両手で頭を抱えながら、あずきに向かって言葉を紡ぐ。

 そんな僕の姿を見た刹那姉ちゃんは、小さくため息を落としながら言葉を発した。


「安心しなさい信。もし作りそうになったら私も止めるから」

「うう、ありがとう刹那姉ちゃん。この二人だと本気で作りかねないもんね」


 僕は血の涙を流しながら、刹那姉ちゃんに感謝の言葉を伝える。

 その時猛が頭の後ろで手を組みながら悪戯に笑った。


「いやーでも、城作ったらビーチの視線を独り占めだよなー」

「悪い意味でね!? 猛は城建設に期待するのやめて!」

「うーんでも、さすがに実際はできないんじゃない? いろんな意味で不可能な気がする」


 桜崎さんは会話を聞いていたのか、苦笑いを浮かべながら言葉を紡ぐ。

 そんな桜崎さんの言葉を聞いた僕は、遠い目をしながら返事を返した。


「ははっ。相手はきな子姉ちゃんだからね。用心するに越したことはないよ」

「用心って……きな子さん普段一体何してるの?」

「奇行だよ」

「こらー信ちゃん! たった二文字で人を表現するんじゃない!」


 きな子姉ちゃんは口を3の形にしながら、ぶーぶーと声をぶつけてくる。

 そんなきな子姉ちゃんの言葉を聞いた刹那姉ちゃんは、呆れた様子で言葉を返した。


「まあ文字数の問題じゃないけどね……とにかく、もうすぐ浜辺に着くわよ」

「本当かい!? わぁーい、海だー!」

「言ってるそばから走り出した!? 大人の女の余裕はどうしたのきな子姉ちゃん!」

「母なる海の前ではそんなもんクソだよ信ちゃん!」

「クソ!?」


 あんまりな言い草をするきな子姉ちゃんにショックを受けながら、その背中を走って追いかける。

 こうして僕らは浜辺へと突入し、問答無用のお遊びタイムがスタートするのだった。


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