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第56話:アイス食べようぜ

「やっと着いたー! きれーな駅だねぇ!」

「うい! みんな楽しそうでござる!」


 きな子姉ちゃんは目をキラキラと輝かせ、両手を広げて走り回りながら言葉を発する。

 あずきもそんなきな子姉ちゃんの言葉に同意し、楽しそうにバンザイしてみせていた。


「よぉしあずき隊員、駅前探索じゃ! がったぁい!」

「ふぉっ!? た、高いでござる!」


 きな子姉ちゃんは歯を見せて笑いながらあずきを肩車して、そのまま駅前のおみやげ屋さんへ突撃していく。

 そんなきな子姉ちゃんとあずきの背中を見送った刹那姉ちゃんは、片手で頭を抱えながら小さく息を落とした。


「着いて早々おみやげ買いにいってどうするのよ……はぁ」

「あ、あはは。まあおみやげ屋さんって楽しいし、気持ちはわかるけどね」


 僕はため息を吐く刹那姉ちゃんの隣で、できるだけさりげなくきな子姉ちゃんをフォローする。

 そんな僕の言葉を聞いた刹那姉ちゃんは、胸の下で腕を組みながら返事を返してきた。


「まあ、ね。旅館に行くバスが来るまでにはまだ時間あるし、この辺で自由行動にしましょうか」

「そうだね。色々お店が揃ってるし、いいんじゃないかな」


 僕は刹那姉ちゃんの言葉に同意し、こくこくと頷く。

 刹那姉ちゃんは僕の額に流れる汗をさりげなくハンカチで拭うと、そのままきな子姉ちゃん達を追いかけた。


「私は姉さん達を追いかけるから、あんた達は適当にお店回ってなさい。あっちにアイスのお店あったわよ」

「あー。暑いしアイス食べたいな。教えてくれてありがとう刹那姉ちゃん」


 僕は立ち去っていく刹那姉ちゃんに手を振り、そのまま猛達の方へと体を向ける。

 猛、モブ子さん、桜崎さんの三人は汗だくになりながら駅前に立っていた。


「信~。とりあえずアイス屋さん行こうぜ。暑くて溶けちまうよ。ていうかちょっと溶けてない? 俺」

「うんうん、溶けてる溶けてる」

「対応がテキトーだぞ信~。かまってくれよう」

「暑いんだから寄りかからないでよ……でもまあ、アイス屋さんは僕も賛成だな。二人もそれでいいかな?」


 猛の言葉を受けた僕は、女子二人に向かって質問する。

 二人は同時にこくこくと頷きながら、返事を返してきた。


「大丈夫。行こう」

「そうだね。飲み物も売ってるといいな」

「「ねー」」


 モブ子さんと桜崎さんは呼吸を合わせて首を傾げながら、楽しそうに言葉を発する。

 そんな二人の言葉を聞いた僕は、頷きながら返事を返した。


「よっしゃ。じゃあ行こう。すぐ行こう」


 こうして僕らはアイス屋さんに向かって歩みをはじめる。

 アイス屋さんは思ったより近くにあり、アイスという看板を見ただけでちょっと涼しい気分になった。


「おっ、あったあった。信は何味にする? バニラのトリプル?」

「バニラジャンキーかな!? いやでも、結構種類が沢山あるんだね」


 猛に促されて店頭を見ると、沢山の味が用意されていることに驚く。

 いくつかの味を注文もできるみたいだし、なんだか楽しいな。


「桃園さんはどうする? あたしはチョコミント」


 桜崎さんは鼻歌交じりでアイスを選びながら、モブ子さんへと質問する。

 そんな桜崎さんの言葉を受けたモブ子さんは、顎に人差し指を当てながらじーっとショーウィンドウを見つめた。


「私は……うーん、ピーチ味にしようかな」

「あ、それいい! 一口交換しない?」

「いいよ~」


 桜崎さんと桃園さんは楽しそうに会話しているなぁ。確かにチョコミントやピーチも良いよね。

 しかし僕は一目見た時からこの抹茶味が気になってしょうがないんだ。うん、これにしよう。


「信、味どれにするか決まったか? 俺ぁこの“獄炎地獄味”にしようかと思ってるんだが」

「何その殺伐とした味!? 大丈夫!?」

「大丈夫だ。一口交換する?」

「ごめんだよ! 別にいいけどちゃんと食べなよ?」


 こんな時でもチャレンジ精神を忘れないのは凄いけど、この暑さだし妥当な味にしといたほうがいいと思うんだよなぁ。

 まあ、猛だし別にいいか。

 やがて僕らはアイスを注文し、屋台近くのベンチで飲み物を飲みながらアイスを食べる。

 そうしてまったりしているときな子姉ちゃんが「あたしも食べるー!」と叫びながら屋台に突撃し、迷わずにバニラのトリプルを頼んでいた。

 そんなきな子姉ちゃんの楽しそうな笑顔を見ながら、僕は頼んだ抹茶味を一口食べる。


「あー、おいふぃ。……ん? あれって僕達が乗るバスじゃない?」


 駅前にはいつのまにか多くのバスが到着し、沢山の人が集まっている。

 その様子を見た刹那姉ちゃんは、胸の下で腕を組みながら言葉を返した。


「そうね。まあ出発時間はまだ先だけど、先に荷物を預けてもいいんじゃない?」

「そうだね。車内で涼めるかもしれないし、ちょっと早めに行こうか」


 その後僕らはアイスを平らげ、それぞれの荷物を持ってバスに乗車する。

 日の光はますます強く僕らを照りつけ、収まる気配もない。

 しかしアイスによって冷えた体には、それもまた気持ちよく感じられた。

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