表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

天邪鬼とチョコレート

作者: オブリビア





ちょっと恋愛ものが書きたくなっただけなんだ!





応援の声があったら続き書くかも.......?




 





今日、晴れ。







暖かくて、眩しくて、








嫌い。






うるさいの、嫌い。





喋るの、嫌い。





騒いでる女子高校生、嫌い。





カッコつける男子高校生、嫌い。




偉そうに上から見下す先生、嫌い。




噛み付く犬、嫌い。





睨む猫、嫌い。





みんな、嫌い。





全部、嫌い。







......でも、好きな物もある。






屋上。




今日はちょっとだけ暑いから、ちょっとした物陰に隠れるようにねてた。




でも、熟睡はできなくて




ちょっと微睡(まどろ)んでるだけ。




本当はものすごく眠たい筈なのに、身体は微睡むところまでしか許してくれない。




だから、僕の二つの目の下には小さな隈がある。







眠たい、




でも、眠れない。




そんな感じで夢と現実の間をフラフラ、



ユラユラ、




クルクル______




不意に頬に冷たい何かが押し当てられて、一気に現実へと引き戻される。




もう、何で邪魔するんだよ。




今日こそ寝れると思ったのに。







そう、文句を言おうと焦点を相手に合わせる。




「.......あったか~。」









______あぁ、『チョコレート』か。




学園で一番イケメン!、と言うわけでも無く、普通の顔立ちなのに女子から人気のある彼。




「お前って、本当に子ども体温だなぁ...」




そう言って彼はその冷たい手を僕の頬から離す。




うるさいなぁ、人は眠たくなると体温が上がるんだから仕方ないよ。




そう思ったけど、喋るのが面倒くさいから無視する。




「確か今日、百瀬さん朝からいないよな?昼とか_____食べてる訳ないよなぁ.....」




百瀬さんは僕の「保護者」だ。




何も持って来ていない僕を見ると、彼は自らのコンビニ袋をこちらに差し出す。



「何か食べたい物あったらやるよ。無かったら下のカフェテリア行って来るし。」




あぁ、何て甘ったるいんだろう。




吐き気がするほど甘過ぎて、優しい「チョコレート」。







重い左手をどうにか動かし、コンビニ袋の中を漁る。




そして、たまたま掴める位置にあった「シナモンロール」を取り出す。




「本当、甘いもん好きだな」




甘いもの、好き。




彼の笑った口から、白い八重歯が見えた。




鋭くて、犬みたいな。




取り合えず、パンの袋を開けよう。




そう思い、袋の端を摘まんで引っ張るが、開かない。




袋、嫌い。




「......開けてやろっか?」




こちらに向けられた彼の三白眼。




鋭くて、まるで猫みたいな。







彼から差し出された手に、引っ張ってちょっとよれよれになったパンの袋を乗せる。




パリッ、っと袋が裂ける音が聞こえた。





「ほい。」




開いたパンの袋を差し出され、やっぱり重い左手でそれを受け取り、口まで持っていく。




甘かった。





彼も何も言わず隣で袋を開け、パンにかじり付いた。




静寂。




でも、決して居心地の悪い張り詰めた感じでは無い。




喋らなくても不安にならない静かさ。



この静かさ、好き。









丁度、シナモンロールの二分の一に到達した時だった。




すぐ隣で「あーこのカレーパン失敗したわー」とか言いながら、5個目の袋に手を掛けている彼が見えた。




自分が小食で食べるのが遅いのは自覚している。




でも、いくらなんでも彼は食べるのが早すぎるし、そんな量が何処に入って行くのかも謎だと思う。





「........よく食べれるね。」




何時も喋らないせいで掠れてる上に小さな声。




一瞬、彼は少し驚いた顔になったが、聞き返すことも無く笑って言った。




「やっと、喋ったな。」




........何だよ、それ。




何となく顔が熱くなってるのが分かった。




「そりゃあ...食べなきゃ部活の時もたねぇし....むしろ、俺は全然食べないお前が何時か倒れるんじゃないか心配だよ。」




何それ。




すっごく面白い冗談だね。




やっと空になったパンの袋を彼に投げつけ、立ち上がる。




「午後、授業出るのか?」




後ろから声を掛けられる。




今は体調も良いし、どうせ次は数学だから出よっかな。




小さく頷いて見せれば彼も立ち上がる。




「そっか.....あんま無理するなよ?」





分かってるよ。




「周りに.....迷惑掛かるし......」




「ちげぇよ、俺はお前が心配なんだ。」




真っ直ぐに胸に貫通するチョコレートでベタベタな言葉。





僕はそんな君が____







【天邪鬼とチョコレート】

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ