天邪鬼とチョコレート
ちょっと恋愛ものが書きたくなっただけなんだ!
応援の声があったら続き書くかも.......?
今日、晴れ。
暖かくて、眩しくて、
嫌い。
うるさいの、嫌い。
喋るの、嫌い。
騒いでる女子高校生、嫌い。
カッコつける男子高校生、嫌い。
偉そうに上から見下す先生、嫌い。
噛み付く犬、嫌い。
睨む猫、嫌い。
みんな、嫌い。
全部、嫌い。
......でも、好きな物もある。
屋上。
今日はちょっとだけ暑いから、ちょっとした物陰に隠れるようにねてた。
でも、熟睡はできなくて
ちょっと微睡んでるだけ。
本当はものすごく眠たい筈なのに、身体は微睡むところまでしか許してくれない。
だから、僕の二つの目の下には小さな隈がある。
眠たい、
でも、眠れない。
そんな感じで夢と現実の間をフラフラ、
ユラユラ、
クルクル______
不意に頬に冷たい何かが押し当てられて、一気に現実へと引き戻される。
もう、何で邪魔するんだよ。
今日こそ寝れると思ったのに。
そう、文句を言おうと焦点を相手に合わせる。
「.......あったか~。」
______あぁ、『チョコレート』か。
学園で一番イケメン!、と言うわけでも無く、普通の顔立ちなのに女子から人気のある彼。
「お前って、本当に子ども体温だなぁ...」
そう言って彼はその冷たい手を僕の頬から離す。
うるさいなぁ、人は眠たくなると体温が上がるんだから仕方ないよ。
そう思ったけど、喋るのが面倒くさいから無視する。
「確か今日、百瀬さん朝からいないよな?昼とか_____食べてる訳ないよなぁ.....」
百瀬さんは僕の「保護者」だ。
何も持って来ていない僕を見ると、彼は自らのコンビニ袋をこちらに差し出す。
「何か食べたい物あったらやるよ。無かったら下のカフェテリア行って来るし。」
あぁ、何て甘ったるいんだろう。
吐き気がするほど甘過ぎて、優しい「チョコレート」。
重い左手をどうにか動かし、コンビニ袋の中を漁る。
そして、たまたま掴める位置にあった「シナモンロール」を取り出す。
「本当、甘いもん好きだな」
甘いもの、好き。
彼の笑った口から、白い八重歯が見えた。
鋭くて、犬みたいな。
取り合えず、パンの袋を開けよう。
そう思い、袋の端を摘まんで引っ張るが、開かない。
袋、嫌い。
「......開けてやろっか?」
こちらに向けられた彼の三白眼。
鋭くて、まるで猫みたいな。
彼から差し出された手に、引っ張ってちょっとよれよれになったパンの袋を乗せる。
パリッ、っと袋が裂ける音が聞こえた。
「ほい。」
開いたパンの袋を差し出され、やっぱり重い左手でそれを受け取り、口まで持っていく。
甘かった。
彼も何も言わず隣で袋を開け、パンにかじり付いた。
静寂。
でも、決して居心地の悪い張り詰めた感じでは無い。
喋らなくても不安にならない静かさ。
この静かさ、好き。
丁度、シナモンロールの二分の一に到達した時だった。
すぐ隣で「あーこのカレーパン失敗したわー」とか言いながら、5個目の袋に手を掛けている彼が見えた。
自分が小食で食べるのが遅いのは自覚している。
でも、いくらなんでも彼は食べるのが早すぎるし、そんな量が何処に入って行くのかも謎だと思う。
「........よく食べれるね。」
何時も喋らないせいで掠れてる上に小さな声。
一瞬、彼は少し驚いた顔になったが、聞き返すことも無く笑って言った。
「やっと、喋ったな。」
........何だよ、それ。
何となく顔が熱くなってるのが分かった。
「そりゃあ...食べなきゃ部活の時もたねぇし....むしろ、俺は全然食べないお前が何時か倒れるんじゃないか心配だよ。」
何それ。
すっごく面白い冗談だね。
やっと空になったパンの袋を彼に投げつけ、立ち上がる。
「午後、授業出るのか?」
後ろから声を掛けられる。
今は体調も良いし、どうせ次は数学だから出よっかな。
小さく頷いて見せれば彼も立ち上がる。
「そっか.....あんま無理するなよ?」
分かってるよ。
「周りに.....迷惑掛かるし......」
「ちげぇよ、俺はお前が心配なんだ。」
真っ直ぐに胸に貫通するチョコレートでベタベタな言葉。
僕はそんな君が____
【天邪鬼とチョコレート】