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Crazy doll  作者: 大夜
No sister No brother
7/21

Mikusister Keitobrother

「あの……白紙の六冊目のノートにこれまでのことが無かったと思えるくらい良いことで埋めたいから」by景人

   ◆◇◆◇◆hinata◇◆◇◆◇




「未来君はね、現実に起こる悲劇を書いてるんだ……自分でも気付かずにね」


 やっぱり、そうなんだ。


 無意識の内に現実を書く日向くん、突然現れた木場景人、そして助けてくれた刀を持った楠木くん、こんなにも非現実な事が続き、あたしの脳みそ、というか理性が悲鳴を上げる。考えたくない、考えるな……まるで責め立てるように。

 それでも………


「詳しく、教えて……お願い」


 あたしは知りたい、だって…あたしは………多分日向くんのことが……あの初対面で……何故か………になっちゃたから。


 知らないままでいたくない。


「いいよ、教えてあげる、今回の事の顛末と未来君の超能力について、まず僕は未来君が書いた最初の物語の登場人物なんだ、その時に魔法を使える人とかに会って協力してもらいながら、未来君の書く小説の悲劇を回避してるの、この刀も魔法の道具なんだ」


 話が凄い勢いで飛んでいくけど、さっき色々と目の前で見ているから頭が受け付けなくても流す余裕はある。魔法?あってもいいんじゃない?


「次に、日向さんはどこまであの話を読んだの?」


 えっと、どこまでだっけ?


「確か……夢から覚めた辺り……だったと思う」 

 そう答えると楠木くんはしばらく考えてから、その物語の、いや今回起こったことを分かりやすく説明してくれた。


「木場さんは……知らなかったんだ、何もかも………」


 てっきり、ずっとあたしの事を恨んでると思ってた。そして菜子お姉ちゃんがあたしの事だけじゃなくて木場さんのことも気にしてたんだ。今回木場さんがあたしのした事を知ってここに来たのは菜子お姉ちゃんが何も言わなかったらありえなかったんだけど、そのことを恨む気は無い、恨めるはずも無い。

 だって菜子お姉ちゃんはあたしのした事のフォローをしてくれたんだもん。菜子お姉ちゃんもずっとあたしの事を気にしてくれてたから。

 元々木場さんをあたしは遠くからしか見たことがなくて、どんな人か知らなかった、あの人の家にいった時にも一度も会わなかったし、なるべく避けるようにしていた。

 そして遠くに引越して、頭が冷めた後も謝る事ができなくなった。


 いや、こんなの言い訳だ。


 ずっとあの人に言った事を後悔してた、その度に何度も自分を責めて謝ろうとした……なのに出来なかった。


 怖かったから


 きっと相手はあたしを憎み、恨んでいる、謝っても絶対に許してくれない。

 結局は全部あたしが悪かったんだ、自分の家に不満を持ち、いろんな人に迷惑をかけて、菜子お姉ちゃんと離れ離れになる原因をつくって、そして、何にも悪くない人を傷つけて……これはきっと受けるべき罰。


「ありがとう楠木くん、あたし……やらなきゃいけないことがあるの。……だから」


 大きく息を吸って、一度目を瞑る。


 うん、大丈夫!


「あたしを木場さんと二人だけにしてくれないかな?」


 二年越しにやっと謝れる時が来た。




   ◆◇◆◇◆Real keito◇◆◇◆◇




 なんで?


 僕が振り下ろしたナイフは見覚えの無い人形に刺さっていた。さらに人の気配を感じ、振り向くと刀を構えた少年がいる。さっき聞こえた声の正体はこいつなのか?


「何……だ?どうなって……お前は……?」


 そして僕の思考はそこで強引に遮断される。最後に見たのは刀を振りきった少年の姿だった。



 ===============


「ずっと気になってたの、木場君のこと。お父さんがいないのにすっごく明るくて、元気いっぱいで楽しそうで、でも実は心の底でとても悲しんでるんじゃないかなって。だから本当のことが知りたかったの、でも今日ここに私が呼んだのはこの事を伝えてお願いしたかっただけじゃないんだ。本当の理由はね、私はいつも元気で明るい木場君のことが……」


 ===============


 チンッ!



 そんな音で僕は目を覚ました。何か妙な夢を見ていたような気がする。あたりを見回すと

「あ?」

 西燕みくが一人で立っていた。足元には輪になったツタが落ちてる。

「……これも夢か?」

 さっき、気を失う直前に見た少年の姿を探すけど見当たらない。


「夢じゃありません、木場さん」


 目の前の西燕みくが僕に喋りかけてくる。やはり夢なのだろうか?そうでなければ彼女が僕から逃げるはずだ。わざわざ気を失った僕が起きるのを待っているはずが無い。

 なら…いいか、別に夢でこいつを殺してもな。意味が無い。

「そうか………だったらいいか」

 夢の中くらい、こいつと話してみてもいいな。


「まず最初に謝らせてください、本当にごめんなさい」


 西燕みくはその場で深々と頭を下げた。なるほど、そういう夢か。

「謝る相手を間違えてるだろ?俺に謝られても意味が無い」

「いえ、あなたにも謝らないと、だめなんです。あたしはあなたのお母さんだけじゃなくて、あなたにも酷い事を言いました……たくさん……言いました」

 だから何だと言うんだ?結局僕の悪口を母さんに言っただけだろうに。

「それでも母さんに謝るほうが先だろ?」

「確かにその通りです。でもそれでも謝りたかったんです。あなたに」

「どうして?」

「それは、あなたがこんな事をするほどにあたしがあなたを苦しめてしまったから」

 ……なに言ってんだ?意味が分かんないよ。

「あたしは考えてなかったんです、あたしの家族が壊れているのを何かのせいにしたくてあなたのお母さんを責めて、そしてあなたがそれを知った時の苦しみを」

 はぁ?こいつの家族が離婚したのは確実に夫のせいだろう?

「お前の両親が離婚したのは夫の責任だろう?なんで母さんを責めたんだ」

 なにを今さら。


「違うんです、あたしの両親が離婚した原因を作ったのはあたしなんです」


「な…え?」


 どうゆう事だ!?


「あの家族に嫌気が差したあたしがお父さんの浮気をお母さんに教えたんです」


 なんっだそりゃあ!?だったら何か?こいつは自分で離婚させといてその離婚した事で母さんを責めたってのか?

 ふつふつと心が沸き立つのを全身で感じた、それは目の前の奴に対する怒りだ。ゆっくりと身を起こして身体に力を込める。

 夢?関係無い!!こいつは絶対に許せねぇ。

「さぞかし楽しかったんだろうなぁ、もしかしたら少しでも丸く治めることも出来たかもしれない事をわざわざ大事にしてさらにその事で他人(ひと)を罵るのは」

 視界の隅にナイフの刺さった人形が見える、それは僕と西燕の間に落ちていて、一秒もかけずに拾う事が出来そうだ。


「別に楽しかったからとかじゃなくて、嫌になってたから、あの生活に、認めたくなかったから……」



「訳分かんねぇこと、言ってんじゃねぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」



 僕は叫ぶと同時に右手にナイフを持ち、左手で人形を抑えてナイフを抜く、そして突っ立ったままの西燕に向けて振りかぶった。





『木~場くん、ストォーーーーップ!!』





 ッッッ!?なんで?何で邪魔するんだよっ?相沢さん!!


 相沢さんが脳裏にちらつき、どうしても振り上げた右手が下ろせない。目の前に憎くて仕方のない奴がいるのに。


「本当にごめんなさい、あたしには菜子お姉ちゃんがいたのに、それ以上が欲しくなっちゃったから」


 その言葉がした瞬間、僕の頭の中に、いくつかのif(もしも)がよぎる。

 もしかしたら、彼女の家庭は離婚を望むほどに酷かったのかもしれない。

 もしかしたら、彼女の離婚した後の環境が離婚前より悪かったのかもしれない。

 もしかしたら、彼女はただ……相沢さんと一緒にいたかっただけかもしれない。



「だから、…………なんだっていうんだぁ!!」



 僕は言う事を聞かない右手に再度強く命令する。目の前の奴を刺せ、と。

 そしてナイフは、彼女の胸部に深く刺さる。



 彼女自身の手によって。


 


「……思ってたより……痛くなかっ……た」




 僕の手に彼女の手が添えられていて、そのままナイフを自分の胸に突きたてられる。

「何……してん…だ?」

 分からない、なんで彼女は自分で自分にナイフを?




 もしかしたら、彼女はずっと謝り続けてきたかもしれない。




 ………嘘だ…そんな事は、無い……絶対無い!!




「……やっと……謝れた…………かな?」



 無いはずなのに……なんで彼女は……安心した顔で笑ってるんだ?


 右手には暖かいぬるりとした感触が止め処なく伝わる。このままだと数分以内に確実に失血死する勢いで。


 そしてifが確信に変わる。


 彼女はずっと辛かったんだ。いつまでも冷戦状態の両親、相沢さんとの別れ、自分のした事への罪悪感。この三つを彼女は背負い、耐えながらこの二年間を過ごしてきたんだ。


 心を埋め尽くしていた怒りが急速にこの子を守らないと、という想いに変わった。

 そして今さらながらに気付いた、彼女が自分の血の繋がった妹だということに。


 本当にになんで今さらなんだよ!!


 血はまだ流れ続けていて止まる気配がない。


「クソッ」

 一体どうすれば!?




「あれ?ホントに全然痛くないよ?」




「あ?」


 気の抜けた声がして見てみるとナイフを胸に刺した彼女がきょとんとした顔で自分の胸を見ていた。

 あれ、めちゃくちゃ出血してるよね?なんで平気なの?



「大丈夫なの?」


「うん、なんかぬるぬるして気持ち悪いけど」


 あらためてナイフの刺さった場所を確認すると・・・


「ナニ、これ?」

 間に輸血パックを持った小さな人形があった。

「………楠木くん、どんだけあたしを信用してなかったのかな?」

 彼女は一人納得したように呟き、ナイフを抜いた。

「楠木?だれそれ?」

 なんか僕置いてきぼりにされてる?




「本当に”和解”したんだね、日向さん」




 声のした方を向くとさっきの少年がやはり刀を持って立っていた。



   ◆◇◆◇◆miyako◇◆◇◆◇



「あたしを木場さんと二人だけにしてくれないかな?」


 なんてことを言い出すんだ?この子は。

 彼女の意図が分からない、こんなさっきまでナイフを振りかぶり、自分を殺そうとした相手と二人きりになりたいだなんて、正気とは思えない。

「駄目だよ、危なすぎだって」

 もちろんそんな事させられない。これは物語であっても悲劇なのだから。


「違うの、どうしてもこの人に謝りたいから…たとえさっきまであたしを殺そうとしてた人でも」


 一体なにが彼女をそんな気にさせるのだろうか?こっちとしてはこれで解決、といきたいところなんだけどね。


「日向さん、彼は心の底から君を憎んでるよ、それはもう殺そうとするほどに」


「それでもね、あたしはこの人に言わなきゃいけない事があるんだ。それに殺されないようにしっかり説得してみせるから!だからあたしを信じて」


 どうしたものかな?これから先もし彼女がこの事を引きずって、また後日木場景人に会いに行くことがあったらまた血なまぐさい事になるだろう。だったら僕の目の届く範囲内で行動をして、それで納得してくれればそれでいいんだろうけど。


 面倒臭いなぁ


「分かったよ、ただし、絶対に彼を刺激しちゃ駄目だよ、あといつでも逃げれるようにある程度距離をとってね、それから……絶対に死なないでね」


「うん、約束する。話し合って駄目だったらすぐ逃げるから」


 さて人形でも仕込んでおくか、何が起こるかわかんないし、そういえば僕用の血糊があったな、これを使えば木場景人を混乱させるくらいには使えるだろう。…ええとこの辺の草むらに仕込んで、よしOK!

 さっそく保険を用意する僕だった。



「じゃあ、気をつけて」



 僕は日向さんに色々仕込んだ事が気付かれていない事を確認し東方美人をUJIにおさめた。




 チンッ!




 乾いた音が小さく響く。そして僕と木場景人の間の距離、殺意、意識、ツタ、水気が元に戻る。


 空間が歪んだような感覚が一瞬だけした。辺りを見渡すとさっき妙な女の子と会った交差点だった。

 今頃木場景人は目を覚ましているだろう、ん?何か忘れているような………



 あ!人形とナイフがそのままだった!!

 


 急いでまた東方美人の柄に手をかける。


「待って」


 その動作は突然現れたユウキの小さな手によって止められる。


「何で邪魔するの!?」


 ユウキは真剣な顔をして呟く。


「今は二人だけにさせといて、何かあったら私が人形でサポートするから」


 妙に落ち着いたユウキの言葉で僕は思わず頷いてしまう。


「分かった、でも今からまた走って向かう、それはいいよね?」


 僕の言葉にユウキはコクリと頷いた。

 そして全力で走り出す、二人がいる山道に。



  ~~~~~~~~~~~~



「あっぶねぇぇぇ、吃驚することしでかしてくれるな、日向さんは」


 振り下ろされなかったナイフを日向さんは自分から胸に突きたてようとしていた。それを何とか仕込んでおいた人形をナイフと胸の間に割り込ませた。あと少しでも彼女の胸が豊かであったら………間に合わなかっただろう。日向さんの胸囲が一般女子中学生より少しだけ(重要)小さかったことが彼女の命を救った。


「スケベ」


 ユウキの声が脳裏に響く。


「うっせぇ」


 別によこしまな気持ちがあった訳じゃないけど、なんかすごく恥ずかしい。

 なんて余裕のある場面でもないか。


 改めて二人を観察していると、どうやら木場景人が日向さんを介抱しているようだ。


「すっげぇ荒療法だなユウキ、これを狙っていたのか?」


「いや、あの子が何か考えがあってあんな提案したんだろうとは思っていたけど、まさか自分を刺すとは思わなかった」


「ということは………日向さんはやっぱり、死ぬ気だったってことか」


 なにが二人きりにして、だ。

 もう、隠れている必要はないだろう。




「本当に”和解”したんだね、日向さん」



 

 和解の部分を強調して言った。

 もちろん嫌味だ。

 なにがあたしを信じて、だよ。


「楠木君、サイテー、嘘つき、覗き魔!!」


 何故かえらい言われようだった。納得いかねぇ。


「黙れ、嘘つき、死にたがり、ぺったんこ!!」


 負けじと言い返す、日向は僕の罵詈雑言に対し顔を顔をひきつらせてプルプルと震える。

 にしても不気味だ、左胸の辺りが真っ赤にそまって彼女も水に濡れていたせいか顔が青い、安っぽいホラー映画のお化けみたいだ。



「ぺ、ぺったんこじゃないもん!!」



「否定するのそこかよ」


 なんか疲れた、もうやだこの人。


「えっと、あ?なんだ………」


 そして一人、この現状にまったくいていけないついていけない木場景人がそこにいた。その顔にはさっきまでの怒りはまるで残っていない、あるのは八割の混乱と二割の安心感といったところだろう。


「ねぇ木場さん、まだ西燕みくを殺したいと思う?」


 混乱している彼に僕は容赦ない言葉を浴びせた。今、悩むようならまだ危ない。

 だけど、そう問われた彼の顔はどこか晴れ晴れとしていた。



「いや、こいつも十分苦しんでたんだ。謝られた以上、僕は彼女を傷つけようとは思わないよ、それに……そんなことしたら相沢さんに嫌われるし」



「……あなたは、あたしを許してくれるの?」



 日向さんが沈んだ顔をして不安げに聞く。確かにこれは彼女が死ぬ事を決意したことだ。うやむやにはしたくないのだろう。


「許すとか許さないとか、僕にはよく分かんないよ、でもさ、もういいんだ母さんは辛い思いをしたけど今でも生きてるから、あの……白紙の六冊目のノートにこれまでのことが無かったと思えるくらい良いことで埋めたいから、僕が誰かを傷つけたりしてまた母さんを悲しませたくないんだ」


 木場景人はそう言ってにっこり笑った。

 これがきっと彼の本当の素顔なんだと思わせる、自然で気持ちいい笑顔だった。


「…ありがとう、ございます……」



 あ、泣いちゃった………。


 日向さんはその場に泣き崩れてしまい木場景人は慌ててオロオロしていた。



「これで解決…だな」


 夜中の山道での一つの悲劇は無事、未完に終わった。


   ◆◇◆◇◆hinata◇◆◇◆◇




「あれ、ここで左じゃなかったっけ?」

「右だよ」

「いや、絶対左だって」

「黙れ、方向音痴」

「はい……」



 朝日がまぶしい中あたしは何故か楠木と登校していた。



 昨日の夜、楠木があたしそっくりの一分の一人形を持ってきたときは本当に驚いた。

 だってあたしの横に立てたら全く区別がつかないくらいクオリティが高くて、しかも動いてしゃべったから。

 楠木は『最近の人形は動くし喋るんだ』って言ってたけどそんな作り物のレベルじゃなかった。

 どうやら楠木君はその人形をあたしの家に送り、誤魔化してくれたみたいだけど、それって……どれだけハイスペックな人形なら人間の代わりになるのかな?よくお母さんやお父さんもあたしじゃないと気付かないものだ。

 おかげであたしは昨日両親に夜、木場さんと会った事は気付かれず、今日も普通に登校できてるんだけど……


「眠いよ~」


 昨日ようやく寝れたのは二時を過ぎたくらいで、それに朝はシャワーを浴びるため六時起きで四時間くらいしか寝れてない。


「仕方ないね、今日は平日だし」


 隣を歩く楠木はあたしとは対照的にすっきりとした顔をしていて欠伸一つしない。

「楠木は眠くないの~?」

「別に一晩夜明かしした程度じゃ眠くはならないよ」

 タフだなぁ

「それにしても何で今日はあたしの家に来たの?変に勘違いされるじゃん」

「………学校の場所、もう覚えたの?転校生が転校二日目で学校に来なくなったらクラスの皆はどう思うでしょう?」

「う……」

 ストレートにまだ場所が分からない学校まで案内するって言えばいいじゃん。

「安心してくれればいい、僕は日向さんに微塵も下心なんてないから」

「……あっそう……」

 眉間辺りにしわが出来ないよう頑張って笑顔を作る。なんて嫌味な奴なの……

「次は真っ直ぐだぞ?」

「分かってるよ!!」

 あぁ、はたから見たらどんな二人組みに見えるのかな?

 確実に仲のいいカップルは有り得ないだろうけど、変な噂たちそうだなぁ。


「グッッモーーニンッ、ハニィィィィィィィィィィィィィ!!ん?何故そんな転校生と仲睦まじく登校してるんだい?もしかして……つ……付きあァァァァァァァァァァァァァァ!!」


 あれ?今なんか見苦しい人が急に登場して急に飛んで行ったよ?


「楠木、今のひ「誰かいたの?」とって………」


 聞こうとしたら言い切る前に彼の存在を否定されました。

 本当に残念な人なんだね、えーと……名前…なんだっけ?


「ま、いっか」


 どうでもいいし!

 なんて考えていると前の交差点から制服姿の女子生徒が現れた。


「いつの間に仲よくなったの?あなた達」


 …赤碕さんだ…、昨日のメールのやりとりで嘘をつかれたことを思い出す。


「昨日さ、赤碕さんが未来君の居場所聞いたよね、その後図書室いったら未来君がいなくて、そしたら日向さんがいてね、嘘じゃないけど間違ったこと教えちゃったから今日お詫びに学校まで案内してるんだ。昨日赤碕さんとこの山まで行ったって言ってたから」


 すると隣の楠木がすらすらと言い訳をする、なかなか嘘をつき慣れてるっぽい。

 …って、え?赤碕さんは昨日あたしの質問に楠木から聞いた事をそのまま伝えただけだった?

 という事は嘘つきは楠木(こいつ)か!……あれ、かなりショック受けたんだけどなぁ。

 と複雑なことを考えていると、


「あっそう、確かに日向(ひなた)は方向音痴だからね」


 ……今現在もショックを受けるあたしだった。 

 この二人はあたしに対して言いたい放題だった。


「にしても…似合わない組み合わせね」


 あたしも心からそう思いますよ。


「僕もそう思うよ」


 楠木は愛想笑いで流した。なんていうか、友達いなさそうだよね。楠木って……


 チリン♪


 あれ?


「赤碕さん、その鈴どうしたの?昨日は付けてなかったみたいだけど…」


 赤碕さんの学生カバンに赤くて五百円玉サイズの鈴が付いていた。

 すると赤崎さんは何故か顔を曇らせてその鈴を手の平で包む。


「お守りみたいな物よ、ほら、来年になったら三年で受験だから、合格出来るようにって」


 中二の七月なのにもうそんな事考えてるんだぁ、立派だなぁ赤碕さんって。


「綺麗な鈴だね、でもお守りって言うより魔除けみたい」


 横でボソッと楠木が何か言ってたけどあたしの耳には入ってこなかった。


「さぁ、あまり喋ってると遅刻するわ、二日連続遅刻なんて絶対嫌だから」


 ……言外に責められてる気がする、……うん、気のせい気のせい!!

「そうだね、なら僕は先に行くよ、三人一緒だと変な噂になるだろうし」


 そういうと楠木はスタスタと先に行ってしまう。


「あ、ちょっと待って!」


 ……あれ?なんであたしは楠木を呼び止めてるの?


「何、日向さん?」


 …どうしよう、どうしよう、何でか呼び止めちゃったけど言う事ないよぉ。


「あの、ええとー」


 何か言おうとしても言葉が出てこないよ~


「5,4,3……」


 そしたら楠木は無常にもカウントを始めた。そんなことするくらいならさっさと行けばいいのに。ええい、ムカつく!とりあえずなんか言っちゃえ!!


「今週の土曜日は暇なの?暇ならこの町を案内してくれない?」


 え?あたしなんて言った?


「随分と大胆ね、都会の人って進んでるー」


 赤碕さんは口元を引きつかせながら棒読みで言った。


「ええと、別にいいけど…」


 肝心の楠木は困ったように頷いた。


 ってこれ……完璧にデートの約束じゃない!!

 



 その後どうやって学校に着いたか覚えていない。

 ただ赤碕さんが二度とあたしと登校したくないと物凄く疲れた顔で言われてしまった。





   ◆◇◆◇◆doll house◇◆◇◆◇


「今回もなんとかなった…か、急いで日向未来の人形作ったから疲れた~」

 今回は都が動き出したのが遅かったからあのイレギュラーがなかったら間に合ってなかったんだろうな~。


「お疲れ様、結城ちゃん♪」

「サラッとネタばれしないでよかがりん」


 それじゃユウキが名字だってばれちゃうじゃない、せっかく何人騙せるか試してるのに。


「ゴメンゴメン、ところでさ、そのずっと抱えてる人形は何なの?」


 かがりはユウキの持っている黒髪で男の子の形をした人形を指差した。


「これは……捨てたと思ってたんだけどね……今回偶然見つけた大切だったモノ、かな?」


「大切だったモノ…ねぇ、今は違うの?」


「今は……これよりもっと大切なモノがあるから……」


「それって、都ちゃんのこと?」


 かがりの言葉にユウキはやんわりと頷き、肯定した。


「うん、でも……捨ててごめんね……これからはまた大事にするから、もう…捨てたりしないから」


 ユウキの呟きでその人形は微かに笑ったように見えた。




   ◆◇◆◇◆keito◇◆◇◆◇




「いってきまーす」


 僕はまだ山道に行ったっせいで泥がつきまくっているスニーカーに足を突っ込み家を出る。

 昨日は大変だった。どうやったかは知らないけどみくの方はあの楠木って奴の仕業でみくの両親にはみくに僕が会った事自体知られて無いらしいんだけど、僕の方は全然何のフォローもなく、家出扱いになっていてお母さんが一晩中探していた。そしてまったくもって本末転倒なことをしていたと改めて思い知らされた。

 今日の始発で家に帰ってきた僕の前に真っ赤な目をして立っていた母さんに引っ叩かれた時は安心感と後悔で涙が出た。母さんは今、部屋で寝ている。身体的な疲れと精神的な疲れが一緒にどっと押し寄せてきてしまったからだ。僕は今日も学校を休もうとしたけど母さんが許してくれず、一限目が終わりかけているような時間になってしまっていたが、登校することになった。

 唯一これまでと変わったのは……


「ケータイ買えって言われてもなぁ」


 昨日の夜に終電が終わっていてさらに、あの駅には公衆電話がなく母さんに電話できなくて、いざという時のために無いと不便だと母さんが言い張り、結局とうとうこの僕もケータイを持つことになった。



 いつもの通学路を一人でてくてく歩いていく、いつもならこの辺りで善之助がニュッとあらわれるんだけど……


「呼ばれて飛び出て、……」


 今は二限目が始まってるからいるはずも無く……あれ?


「なにしてんの?」


 目の前に善之助が両手を広げて立っていた。


「ノリ悪いなぁお前、ていうか、なにしてんの?はこっちの台詞だっつーの」


 そう言うと善之助は不機嫌そうな顔で僕をジットリと睨む。とてもさっきまでアホなポーズをしていたとは思えない。


「昨日、お前が無断欠席して今日も学校に来ないから心配してお前ん家に行こうとしてたんだよ」


「え?」


「そうなんだよ、一限目の途中で起きて一言目が『景人は!?』だったからな」


「うっせぇ、一々やってねぇこと捏造すんじゃねぇよ」


 善之助の反対方向から聞きなれた声が聞こえる。ってまさか…


「よ!何してたんだ?この非行少年」


 振り返ると案の定悠我が立っていた。


「二人共………」


 なんだろう、胸がすごく熱いや


「気にすんなって」


「また次があるさ」


「え?何のこと?」


 次ってなにが?



「「振られたんだろ?」」



 ………………


 心の中の温かい何かが急速に冷えるのを感じた。

 ……でも


「ありがとな、善之助!悠我!!」


 この二人は最高の親友だ。



  ~~~~~~~~~~~~



 その後三人揃って生活指導部の先生&教頭先生に怒られたことは無かった事にしておこう。

 え?駄目?……やっぱりか……


 一部抜粋


「両手を床につけてケツを上げろ」

 生活指導の先生は竹刀を高く振りかぶった。

 以下割愛




「椅子に座れないほど痛い」

「お前もか……」

「俺は平気だぞ」

「「強がるな、バーカ」」

「イッテェェェェェェェェェ!!」


 開放されてから教室に着いた後こんなやりとりがありました。あとは想像で補ってください。



  ~~~~~~~~~~~~



 一体僕はこの三日間でどれだけ単位を落としたんだろう?

 三限目の授業には間に合い、古典のノートを開いた。先生は笛がどうのとか鬼が何とかとかよく分からない話をしている、どうやら源氏物語は終わっていたらしい。

 全然授業に着いていけてない。


 まずいなぁ、次のテストはどうしよう?


 一般と比べて僕の学力は並み以下だ、授業を一、二回でも休めばテストに大きく影響してしまう。


 とりあえず黒板をしっかり板書しとこ。

 はぁ~……ん?何だこれ?手紙かな

 僕の机の上に手紙折りにされたノートの切れ端が飛んできた。一体誰からだろう?飛んできた方を向いても誰とも目が合わない。

 とりあえず読んでみるか。


『全略』


 略しすぎじゃないかな?内容が一個も書かれてないよ、どんな手抜きだ。

 しかも下敷きを使わない人なのかペンの筆圧でうっすらと文字が浮かんでいる。

 ……まさかね。

 僕は新しいシャー芯を一本取り出してその紙の表面を撫でてみる。するとあら不思議、文字が浮かんできた。随分とややこしい手紙の書き方だな。

 ええと内容は……


『ややこしくて悪かったな…』


 人の心を読むな、あぁこの字は悠我か、まあいい、次


『…おそらくお前は今悩んでいるだろう、相沢に振られた事について…』


 違うよ、期末テストで悩んでるんだよ。


『…だが今は勉学に励め、賢い男はモテるぞ…』


 悠我はいい奴なんだけどなぁ、勘違いが激しいんだよな。


『…以上、健闘を祈る』


 終わりかい!!どうせなら勉強会をしようとか書けよ!!


「そうだな、勉強は大事だよな」


 そうそう、勉強しないと次のテストが……あれ?


「木場、補習、何時がいい?」


 なぜかいつの間にか僕は先生と会話していた。


 何故?



  ~~~~~~~~~~~~



 三限目終了後、古典の先生に呼ばれ、今週の金曜の放課後が空いてるとのことで、補習が決まった。

 あぁ、貴重なバイト時間がぁ。


 ガックリとうな垂れて席に戻り、机にダイブする。


「お前を見てると飽きないな」


 そんなHPレッドゾーンの僕の前に悠我がやって来た。

 なんだかんだでこいつのせいだよな、うんこいつが悪い。

 でも今は喋る気力も無いから無視するしか出来ない。後で覚えとけよ。


「なんだ死んでるのか、つまんねぇの」


 そう言い残しスタスタと自分の席に戻って行った。ふん余裕なのは今のうちだけだ。


「景人、生きてるか?」


 次は善之助か、面倒臭いな。


「なんだ死んでるのか、つまんねぇの」


 悠我と全く同じことを言って自分の席に戻って行った。

 僕はお前らの遊び道具じゃねぇっての。


 そして四限目が始まる。



「ん?」



 次の教科のテキストとノートを出そうと机の中に手を入れると入れた覚えの無い紙切れがあった。

 またか…

 読もうか、無視するかちょっと考えて読んでみた。差出人は誰かな?

 投げやりな気持ちで手紙を開けると…




『昼休みに校舎裏で待ってます、相沢』





 ん?相沢?何か見覚えあるなぁ、というか幻覚かな、どうしてか自分の目が信用できないよ…ってあいさわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?


 何度見てもそこには相沢という文字があった。試しにシャーペンを手の甲に刺してみる。うん、目尻から涙が零れるほど痛い。


 夢じゃない!!


 さぁ大変だ。脳内の僕が総動員で会議を始める。


K1「罠だ!どうせまた悠我辺りの仕業だ」

K2「なにを言う?前回のメールの件を忘れたのか?」

K3「そうだよ、悠我は同じことを二回連続でしないんだよ」

K4「まぁ、ありなんじゃないか」

K1「どうしてお前らはそんな期待できるんだよ!!」

K3「夢を持ってもいいじゃない!」

K2「まずこの筆跡を見てよ、こんな綺麗な字、悠我にかけると思う?」

K4「ま、ありだと思うよ」

K1「もう絶望したくないんだよ、確かに前回は相沢さんだったけど…内容が………」

K2,3「そんな後ろ向きでどうして恋が出来る!!」

K4「結局のところ、ありなんじゃないかな?」

K1~3「てめぇは黙ってろ」

K4「………はい」

K1「とにかく、俺は昼休みに校舎に行く事は反対だ、断固反対、絶対反対」

K2「強情なやつめ、このチキン野郎が!」

K3「お、落ち着けよ…喧嘩しても解決しないって」

K4「…………」

K2「いや、たった一人の反対意見でもあれば行く事は出来ないんだ、向こうからやって来たこのチャンス、逃すわけにはいかない」

K1「へ、やろうってのか?」

K2「上等だ」

K3「落ち着けって……」


K4「オイ、黙って聞いてりゃなんだ?くだらねぇことで言い争いやがって…テメェらは同じ木場景人だろうが、だったら……結論は既に出てるはずだろう?ったく、行くか行かないかなんてどこでつまずいてんだよ」


K1~3「お、お前………」


K1「そうだよな、俺…臆病になっちまってたよ」

K2「俺もなんか無策で向かうとこだった」

K3「僕は…皆が一つになって相沢さんに会いに行けたらいいなと思ってたんだ」


K4「だったら、決まりだな、今からどんな演出をして行くかを相談しよう」


K1~3「賛成!!」




「木場?おい!木場景人!!」


「ふぇ?」


 脳内の会議が一時は白熱したものの何とか丸く収まって安心しているとどうやら先生が僕を呼んでいた。


「何回呼ばせるんだお前は……後で職員室に来い」


 脳内の会議内容がどうやって早く職員室から出れるかに変わった。

 なんでこんなのばっかりなんだろう………




  ~~~~~~~~~~~~




「ぜぇぜぇ……よし、つい…ごほっごほっ…た……」


 あの後職員室に連行された僕は十三分程の説教を受け、何とか自由になれた。その後の本気ダッシュで校舎裏に向かい、待っていたのは……


「また、息切らしてるんだ」


 相沢さんでした。どうやらあの手紙の差出人は相沢さんで間違いなかったようだ…じゃなくて。


「待たせてゴメン!!」


 物凄い勢いで頭を下げる、そりゃあもう脳震盪をおこすぐらいの。


「いや、謝るのは私の方だよ」


 え?


「何で?相沢さんが僕に何したの?」


「いやね、ああもう!!もう一回言わなきゃダメ?」


 相沢さんは突然顔を赤くしする、どうしたんだろう?


「なんか傷つくこと言われたっけ?」


 ショッキングな話なら聞かされたけど、別に傷つくような事は言われた覚えが無いよ。


「だから………って私が言ったから」


 何でそんな小声なの、まるで聞き取れないよ。


「僕は気にしてないよ、だから謝らないで」


 そう言うと相沢さんが泣き出しそうな顔になる。

 あれ?なんかおかしいぞ?どういう流れなんだ、これ。




「気にしてない……んだ、私が告白した事……」




 うっそぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉん!!



「え?嘘…いつ!?いつされたの僕!!??ていうかなんでそんな大事件に気付いてないの?馬鹿なの?死ぬの?」


「お、落ち着いて木場君…え?気付いてない?」


 僕たち二人が落ち着くまでしばらくお待ちください。




  ~~~~~~~~~~~~





「改めてごめんなさい、あんな話と合わせて告白した私が間違ってました」


「いえ、こちらこそそんな重大な話に気付かず本当に申し訳ありません」


 相沢さんはどうやらあの話の後に僕のことを好きだと言っていたらしい、そんな大事な事が頭に入ってこないなんて、あの時の自分を殴ってやりたい。



「あのそれで……返事は…」



 耳まで真っ赤になった相沢さんが囁いた。


 答えはもちろん決まっている。


「相沢さん、僕もあなたの事が………す……」


 や、やばい何かすごく恥ずかしい。

 たったの二文字が口から出てこない…ええい役立たずな口め!

 相沢さんは僕をじっと見つめて言葉を待っている。するとふっと小さく笑う。

「言ってくれないんだ、私は言ったのに?」

 意地悪に口元を歪めて笑う、それはまるで小悪魔のように。

 か、可愛い……

「……きです………」

 そして搾り出された僕の返事は蚊の鳴くような声だった。

「聞こえないよ、木場君」

 やっぱりダメか…ええい、頑張れ!僕!!


「好き……です……相沢さん」


 い、言えた!


「うーん?ま、今回はそれで許してあげる」


 何とか合格点がもらえた、よかった。

 すこし意地悪そうな顔をしていた相沢さんがまた赤くなる、可愛いなぁ。

 

 ……あ、そうだ!!




「相沢さん、急だけどさ、今度の日曜日は時間ある?良かったらさ、ちょっと行きたい所があるんだけど、一緒に行かない?」




 彼女に会いに、さ



第一章 No sister No brother 完

前置きの長い次回予告


ここは在って無いような世界。

ここでは今回登場して今後登場予定の無い人達が集まり、本編では語られなかった事やその人のプロフィールなどを紹介しつつ、作者※ALL NIGHTとトークします。

さぁ記念すべき第1回ALL NIGHTの零れ話に選ばれた登場人物を紹介しましょう。

一人目は、木場Keito!


景「どうも~、景人だからね~」


二人目は、相沢菜子!


菜「こんにちは~、未来ちゃん見てる~?」


テレビじゃないですよー、続いて三人目、掌善之助!


善「バカだバカと呼ばれているが成績はいいんだぜ」


いらない嘘はつかなくていいから、最後に今回一番ALL NIGHTが気にいっている平地悠我!


悠「一章限りのサブキャラだ!覚えておけ!」


いやそのセリフは10周年記念までとっておくべきだな。


?「ここは、何だ?確か職員室で中間テストの採点してたはずなんだが………」


あぁ、貴方を忘れてました。この方こそ今後登場予定の無い都サイドの登場人物、佐倉旋衛さんです。


旋「え゛俺ってもう登場しないの?」


予定では………無いですね♪


旋「そんな、鈴樹と違ってフルネームで登場してムキムキ数学教師という個性まであるのに!」


むさ苦しいじゃん。あと鈴樹くんはまだ名乗ってもらっては困るんです。決して考えてなかった訳ではありません。


旋「パンナコッタ(なんてこった)!」


なんでこんなの登場させちゃったんだろ?


景「でも僕達は本当に出番無いんだよね、寂しいなぁ」


善「まだ叫び足りんのか、お前は?」


そういえば突発性絶叫症候群って適当に思いついたまま書いたんだけど後々気になってググったら………


景「え、まさか実在したの?」


クレイジードールがヒットしました☆


悠「それが言いたかっただけか!」


てへらん☆

………ということで正式名称を教えましょう。


菜「どういうこと!?」


突発性絶叫症候群の正式名称は突発性景人症候群といいます。


景「僕限定!?」


悠&善「「納得だな」」


菜「二人共、悪ノリしないでよ……」


旋「突発性……何だ?」


あんたは黙ってろ


旋「もう登場しないのに扱い酷くないか!?」


景「ま、あきらめましょう、オジサン」


旋「俺はまだ三十路だ!」


景「僕は16歳」


善「俺は15だ」


悠「俺も15」


菜「私は16歳です」


18だ(2012年現在)


「「「「「オジサンだよね」」」」」


旋「もぅ、好きに呼べよ………」


悠「話は変わるが俺と未来ちゃんって実は面識あるんだよな」


景「え、そうなの?」


悠「ああ、小学校は景人と学校が分かれただろ?その時の登校班が一緒だったんだ、すっかり忘れてたけど」


菜「私も平地君のことは知ってたよ、一度も同じクラスにならなかったけど」


善「なんだ?悠我は相沢と同じ小学校だったのか?」


景「何でそれを早く言わないのさ!未来と面識があることよりそっちの方が重要だよ」


旋「……………………」


悠「いや、実は相沢と同じ小学校だったことに気付いてなかったんだよ」


菜「何それひどーい!」


景「悠我………舌出せ……」


悠「どうするつもりだ!?」


善「引っこ抜くんじゃねーの?」


旋「……………………」


景「違うよ、ちょっとコンパスで穴あけるだけダカラ☆」


悠「コンパスはそんな使い方しねぇよ!」


菜「突っ込むとこそこなんだ、余裕だね」


善「あぁ、そうだな………ところであんたさ、さっきから何してんの?」


へ、俺?そこにいるやつの両手両足を縛って顔面をガムテープで巻いてるだけだよ。


景「なるほど、どおりで静かだったんだ」


悠「いや、いい仕事してますね!」


菜「そーだねーピクリともしないよ」


善「………皆がそう言うならもう何も言わない」


その後佐倉先生は急激に体調を崩しほすぴたーに行きました。


カルシウム不足かな?


景「イヤだなぁ、教師なんだから自分の体調はしっかり管理してほしいよね!」


悠「でもこれで場違いな人がいなくなったな」


菜「で、何の話してたっけ?」


善「さあ?コンパスの使い方じゃねぇの?」


?「……ここ、ドコ?……お兄ちゃんは?」


景「ん?どうしたのかな?小さい女の子が泣きそうだよ」


はて?こんな子登場してたっけ?

お嬢さん、君の名前はなんだい?


?「え?知らないヒトに名まえ言っちゃダメだって……お兄ちゃんが……」


困ったなぁ、ここは今回登場して今後クレイジードールに登場しない人とALL NIGHTしか入れないはずなのに……ん?迷子……もしかしてこの子、あの子かな?


悠「心当たりあるのか?」


うん、名前は登場してないけどしっかり登場してるよ、日向さんと赤碕さんが小学校まで連れて行った女の子だ。確かに今後登場させる予定はないな。


?「え、おにーさんたちは、ひなたおねーちゃんのおともだち?」


菜「そうだよー、あたしはひなたおねーちゃんのお友達だよ!……すいませんちょっとこの子、近くまで案内してきますね」


→相沢菜子 退室


景「あぁ、相沢さんが行っちゃった」


悠「なんだかんだで登場人物多いよなこの作品、初心者がまとめれる人数は五人までって言葉があるらしいけど、そこらへんどうなのよ?」


それについては自分の未熟さであり、この作品の利点でもあると自負していますとも、そのせいでこうやって次回以降は登場しない人物が出てくるんだけど……。でも未来君が書いたほうのストーリーはしっかり主要キャラを四人に絞っているから彼は自分が初心者であると自覚しているんだろうな。


善「ただ単に景人は友達が少なかっただけなんだけどな」


景「うるせぇ!」


悠「それを言ったら俺達もだろう?善之助」


善「いらんこと言うなよ悠我、確かにそうだけど…」


仲良いねぇ、類は友を呼び、絆を育むって感じか?


善「何だそれ?聞いた事無いな」


今、即興で思いついたことを言っただけさ、ググッたら引っかかるかも知れん。


悠「……にしても話題が無いな、誰かお題でも出してくれよ」


景「照れるなってヘタレのサポーターYU☆U……ゴフッッ!」


悠「そう呼ぶなって言っただろ?」


景「じゃあ何であの時、あんな事言った……いや何でもない……」


善「悠我、何で腕を振り上げてるんだ?」


悠「気にすんな」


景「……お題だったよね……じゃあ本編では流したけど善之助がどこからともなく出してくるあんパンの正体はなんなの?」


善「錬金術だ」


ウソォ!?


悠「作者がメッチャ驚いてるぞ、正直に言え」


善「全く、野暮な連中め……言ってなかったか?家は『手の平ベーカリー』っていうパン屋なんだ」


景「それでそれで?」


善「黙って聞いてろ……それであんパンは釜でいつも焼いているんだが一気に十八個焼けるんだけど、店に出す数は十五個で三個余るんだ、それを昼飯代わりに学校に持ってってるだけだよ」


景「売れるだろうね、あのあんパンおいしかったし」


善「二百五十二円になります」


景「お金取るの?今さら!?」


悠「つまんねぇ~」


だなぁ


景「だったら悠我がお題出せよ!」


悠「そうだな、『たけのこきのこにょっきにょき』ってゲーム知ってるか?」


善「お題じゃねぇ!!……しかも古っっ!」


景「あぁ、懐かしいね、皆でやろうよ!」


そうだな、ルール説明はいるか?


悠「いるな、どんな読者がいるか分からんからな」


それもそっか、ではルールを説明しよう。まず全員で円を囲み、両手を合わせ『たけのこきのこにょっきにょき』の掛け声の後に『(数字)にょき』という掛け声と共に上に突き出すゲームだ、その時に誰かと掛け声がかぶったり、最後まで残った人が負けである。※実在する『たけの○たけのこにょっきっき』とは関係ありませんがそれをイメージしてもらえれば幸いです。


いくぞー



全『たけのこきのこにょっきにょき……』





全『いちにょき!!』





………全員の負けだった………


景「没、面白くないよ悠我」


悠「お前も乗り気だったじゃん!」


善「まさか全員被るとは……」


景「次、善之助!」


善「俺?そうだな、MASK THE HERO BIKEMANについて………」


却下だ。俺が怒られる。


悠「残念だ、それについては語りたいことが山ほどあるのに………」


景「僕は置いてけぼりになりそうだけど」


善「仕方ねぇなぁ、だったら他にネタねぇぞ」


景「使えない奴め…ちょ……やめ………小指はそっちには曲がらないよ!」


ホントに仲いいな


悠「そっすね」


相沢菜子 入室


菜「ただいまー」


景「あ、おかえりー」


やぁ遅かったね


菜「それがここを出たら何故か山道で………私まで迷っちゃいました」


あぁなるほど、そっちのドアから出たんだね、そこはALL NIGHTが住む世界だからもう行っちゃダメだよ


菜「え?じゃああの子は………」


心配しなくても帰れるよ、その子のお兄ちゃんに任せたんだろう?だったら大丈夫、彼は世界を渡れるから


悠「一体何者なんだよ、そのお兄ちゃんは?」


このクレイジードールの世界とは関係無いから気にしないでね、絶対登場しないからな


よし、また五人揃ったからなんか話そうか?


景「そうだね、どうせだから僕と相沢さんのその後につい…ムグッ」


菜「……言わなくて……いいから……」


悠「顔真っ赤だぞ、相沢」


善「悠我、そんなこと言うなよ」


そうだな、でも興味はある……ってなんで口だけじゃなくて鼻も塞いでるんだ?


景「ムー、ムー!!」


悠「IQ探○?」


善「黙れ、作者の趣味がばれるだろ」


菜「え?、わ…ゴメン木場くん、…大丈夫?」


景「ゲフッ……ゴホッ……(良い匂いだった)」


何故だろう、物凄く木場景人が幸せそうに見える。


悠「そうだな、天国でも見てきたんじゃない?」


善「そのまま逝っちまえばよかったのに」


菜「とにかくっ!!私たちについては質問禁止です!!!」


そうかい、なら追求はしないさ


悠「今の反応で大体想像できるし」


善「だな」


景「…ふぅ、だったらこの前テレビで見たんだけど……」


みんな、何か話題ある?


景「僕が喋ってるじゃん!僕が喋ってるじゃん!!」


オウムはほっとくとして、今回是非やりたい企画があるんだ。


景「今さら!?」


名付けて、『ますます調をおして流行語にしよう!!』だ


景「無視!?酷くない?」


悠「それでその企画はどういったものなんだ?」


善「説明を」


菜「ますます調?ですます調じゃないんですね」


景「皆も?あれ、何で僕一人だけアウェーなの?」


『ます』はどんな語尾につけても便利な言葉だ。だからその利便性をこの場を借りて読者の皆様にお伝えしたいな~という企画だ。


善「具体的には?」


今から皆でご飯を食べよう、その際の会話の全ての語尾に『ます』をつける。


悠「ご飯?そんなものどこに……って危ねぇ!!」


菜「な、何?いきなりちゃぶ台が降ってきたよ!?」


景「………なんで……僕の上に落ちてくるの?」


どうだ、白いご飯に、鮭フレーク、熱いお茶に梅干とたくあんだ。


善「旨そうだな(懐から箸を取り出す)」


悠「そうだな、気にしても意味なさそうだし、いただきますか(胸ポケットから箸を取り出す)」


菜「私もあちこち歩いてきておなか空いていたところです(空中に箸が出現する)」


景「ちょっと待て!!今のは一体どっから出てきたんだよ!?前の二人はまだ分かるけど、今確実に何もない場所から……割愛」


じゃあ皆、参加してくれるのか。


菜&善&悠「「「参加し『ます』」」」


さあ始まるザ『ます』


景「いくでがん……」


黙れ、乱すな


景「はい……」


全員「「「「「いただきます」」」」」


からふとます、おいしいます、食べるます?


善「いらないます」


悠「もらいます」


景「この梅すっぱいます」


菜「そのますの使い方は間違ってると思います」


そんな事気にしないます。


悠「この米おいしいます、どこのお米ます?」


善「俺の舌だと多分北陸産だと思うます」


景「きょ~うは~クリスマs」


善&悠「「黙れます」」


なますがほしいます。ちょっとそこのスーパーに行ってくるます。


菜「スーパーでなますは売ってないと思います」


景「…機関車トー……」


菜「その先は言っちゃいけないと思います」


景「分かったます、もう言わないます」


やっぱりますます調は万能ます。


菜「本当にそう思ってます?」


実は寝不足で相当キテマス


悠「それにしても、何かめんどくさいます。普通に喋っていいます?」


景「そうます、いい加減鬱陶しいます」


善「そう言いつつ、なんだか二人共楽しそうます」


景&悠「「お前もます!!」」


菜「………ますます調がただのKYネタであることが証明されてしまったと思います」


あれ、もうそろそろ寝ようと思ったら今お昼ます


菜「目を逸らさないで欲しいます」


ごめんなさいます、今度はですです調を…………ばたんっきゅ~










あれ、さっきまで昼だったのに、空が暗いや………


あれ、何してたんだっけ?


………変な夢を見てたような………ダメだ、思い出せない。


あ、やべ、一章が終わったから次回予告するんだった。


次回、第二章『Princess duel』遠い彼方のお姫様と童話と蒼い海と山が舞台の物語、果たしてそのお姫様の正体とは?


こうご期待!!

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