Princess duel4
なんと竹の中には…何もありませんでした。
しかし竹の根元にその光を放つモノをお爺さんは見つけました。
それは小さな小さな女の子だったのです。
大きさはお椀にすっぽりと収まってしまう程で光を放っていなければ絶対に見つけられなかったでしょう。
お爺さんはその女の子を両手で包むように拾い上げて家に帰りました。
家に着いたお爺さんは先に家に着いてパーソナルコンピュータでインターネット通販をしていたお婆さんに拾ってきた女の子を見せました。
するとお婆さんはたいそう驚き、口から入れ歯がポロっととれる程でした。
「あなた……その子はいったい!?」
驚くのも無理は無いでしょう。その女の子は人形というにはあまりにも生き生きとしていて作り物には見えず、だからといえ人の大きさとしてありえない者ですから。
「この子は…」
お爺さんは山で見たとおりの事をお婆さんに話して、この子を育てたいという事を伝えました。理由はお爺さんがその女の子を見つけたことに運命を感じたからです。
お婆さんは最初こそ戸惑いましたが、どうやら子供を育てることには賛成してくれ、積極的にその子の面倒を見ました。
その子はまだ物心がついていなく、赤子同然で泣いてばかりでした。しかしお婆さんは上手にあやし、その子はすぐに泣き止み笑いました。
そのようにその子を育て始め三日ほどが過ぎた頃、お爺さんとお婆さんは大事なことに気付きました。
その子には名前が無かったのです。
名前が無いことにはどう呼んでいいのか分かりません。
二人は悩み、相談してその子に「輝姫」と名づけました。
輝姫はその名前が気に入ったのか嬉しそうに声を上げました。
これからの幸せな日々を表しているかのように。
それは次の日の朝に起こりました。
輝姫が姿を消したのです。
二人は互いに怒鳴りあい、輝姫を探しました。
そして日没まで探しましたが輝姫は見つかりませんでした。
しかしお爺さんは日の沈む中、一人で山を登りました。
そう、あの山菜を取りに行った場所に向かったのです。
辺りは十五夜で明るく幸い足元ははっきりと照らされていました。
しばらく歩いていると少し開けた竹林に着きました。
輝姫を見つけたあの場所です。
果たして、そこに輝姫はいました。
しかしその姿は昨晩までとは見違えるほどに変わってしまっていたのです。
輝姫は大きくなっていました。
それも何十倍も、すなわち…普通の人間の大きさになっていました。お爺さんは最初こそ驚きのあまり動けませんでしたが、輝姫の体のあちこちにすり傷や泥が付いていることに気付き、急いで抱えて山をおりました。家に着いて間もなく輝姫は目を覚まし、お爺さんとお婆さんは喜びました。
しかし目を覚ました輝姫が発した一言により二人は泣き出してしまいました。
「私は…ここにはいれません」
二人は輝姫が喋ったことにまず驚き、そしてなぜここにいれないのか輝姫に問いました。
「私には行かなければならない場所があります、お爺様…私を助けて頂いてありがとうございました。お婆様…この三日間、お世話になりました。」
輝姫はそう呟くと光を放ち、消えてしまいました。
二人は泣きながら輝姫の立っていた場所を見つめ、何時までも輝姫の名前を呼び続けましたとさ