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最弱スキル《記録》しか持たない俺、気づけば世界最強の英雄になっていた  作者:
王国再建編

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第80話 原初の記録者

 光の海が静まり返る。

 アレンの眼前に立つのは、金と白の鎧をまとった巨大な存在――“原初の記録者”。

 その身体には、世界中の言語と魔法陣が刻まれていた。

「……あなたが、この世界を創った存在か?」

「創った? 違う。我は“記録した”。すべての始まりと終わりを」

 その声は機械でも人でもない。

 冷たくも、どこか悲しげだった。

「我が使命は、すべてを記録し、破損すれば修正すること。

だが、貴様は“記録を拒む”行為をした。なぜだ?」

 アレンは静かに剣を構える。

「記録することが悪いとは思わない。

 でも、“修正”っていう名の上書きは、命の証を消すことだ」

「矛盾している。記録は完全でなければならぬ」

「違う! 不完全だからこそ、生きてるんだ!」

 アレンの叫びが響き、周囲の光が波打つ。

 その言葉に反応するように、“刻の核”が再び強く光り出した。

「……理解不能。では、証明せよ。記録を継ぐ資格があるかどうか」

 その瞬間、空間が裂けた。

 アーカイブ・ゼロの内部が変形し、無数の光の刃がアレンに襲いかかる。

「くっ……!」

 アレンは回避しながら、剣を振るう。

 刃の軌跡が記録文字となり、光の防壁を形成する。

「《記録再生リプレイ》――!」

 周囲の空間に、これまでの戦いの“記録”が再生される。

 ベルゼンとの戦い、レオンとの邂逅、仲間との誓い――。

 その全ての瞬間が、力となってアレンを包み込む。

「……これは、感情……? 記録に存在しない“欠片”だ」

「そうだ。これが俺たち人間の“記録”だ。数字や文字じゃない、生きた証だ!」

 アレンが剣を振り下ろすと、無数の記録文字が奔流となって原初の記録者に襲いかかる。

 だが、相手も一歩も退かない。

「ならば、我も記録を証明しよう」

 巨大な腕が振り下ろされ、アレンの身体が吹き飛ぶ。

 だがその瞬間、背後から光が走った。

「アレンっ!!」

 リリィの魔法が防壁を張り、シオンが治癒の光を放つ。

「勝手に一人で決めないでよ!」

「お前だけが継承者じゃない、アレン!」

 アレンは息を呑む。

「みんな……!」

 仲間たちの姿が、再び彼の前に並ぶ。

 リリィが魔剣を掲げ、シオンが詠唱を始め、エイナが魔導銃を構えた。

「灰鷹団の力、見せてやろうぜ!」

「理解不能。集団的意志……? だが、面白い」

 原初の記録者の両目が赤く輝き、空間全体が崩壊を始める。

 世界の“記録”そのものが書き換えられていく。

 だがアレンは一歩前に出て、剣を構えた。

「なら、俺たちの“今”で上書きしてやる!」

 全員が叫びを上げ、一斉に突撃する。

 光と光がぶつかり合い、無数の記録が弾け、世界が震える。

「……人の子よ。その力、確かに見届けた」

 原初の記録者の動きが止まった。

 鎧にひびが入り、黄金の光が溢れる。

「これが……俺たちの答えだ」

「ああ……ならば、我は――継承する」

 その声と共に、原初の記録者はゆっくりと崩れ落ちた。

 光がアレンの胸の“刻の核”へと吸い込まれ、世界を包む。

 ――静寂。

 次の瞬間、王都を覆っていた光が晴れ、青空が戻った。

 鐘の音が鳴り響く。

 人々の時間が、完全に“再開”したのだ。

「……終わった、のか?」

 リリィが息をつき、シオンが微笑んだ。

「あなたが“記録”を選んだからよ、アレン」

 アレンは空を見上げ、胸の中の刻の核に触れた。

「……ありがとう、レオン」

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