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最弱スキル《記録》しか持たない俺、気づけば世界最強の英雄になっていた  作者:
王国再建編

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第79話 アーカイブ・ゼロの目覚め

 大地が唸り、王都が震えた。

 中央広場の地面が裂け、光の柱が天へと突き抜ける。

 まるで世界そのものが、再び“記録”を始めようとしているかのようだった。

「……やばい、魔力の流れが完全に制御不能だ!」

 シオンが叫ぶ。

「アーカイブ・ゼロが、王都全域の時間情報を吸い上げてる! このままだと――!」

「王都が、“記録の渦”に飲まれる……」

 リリィが青ざめた表情で呟く。

 地面に広がる魔法陣は刻一刻と光を強め、建物や人々の姿が淡く揺らぎ始めていた。

「存在そのものが、上書きされていく……」

 アレンは歯を食いしばり、刻印の光をさらに強めた。

 右手に宿る“記録のスキル”が共鳴する。

(レオンの“刻の核”が反応してる……! あれが装置を制御する唯一の鍵か)

「リリィ、エイナ、シオン! 俺が装置の中枢に入る! お前たちは外の魔力流を抑えてくれ!」

「一人で行く気!? アレン、それは――!」

「行かなきゃ、誰も救えない!」

 そう言い残し、アレンは崩れた床へ飛び込んだ。

 ――そこは光の海だった。

 無数の“記録文字”が空中を流れ、過去の映像が浮かび上がる。

 人々の笑顔、戦乱の炎、そしてレオンの姿。

 すべてがこの世界の“記憶”だ。

「これが……世界の記録……」

 足元に浮かぶ無数の文献データがアレンを包み込み、心の中に直接語りかける。

――ようこそ、“原初の記録層”へ。

――貴方は“継承者”ですか?

「継承者……?」

 その声は、人のものではなかった。

 冷たいのに、どこか慈悲深い。

 まるで神の声のようだ。

――この世界は破損しています。

――再記録を開始しますか?

「……それを実行すれば、世界が上書きされるんだな」

――はい。過去の全てを消去し、最初から再構築します。

 アレンは拳を握りしめた。

 脳裏をよぎる仲間の笑顔。レオンの最後の言葉。

 そして、失われた街の人々。

「俺は……そんな結末、望んでない!」

 “刻の核”がアレンの胸元で強く輝いた。

 青白い光が彼の全身を包み、記録層のデータがざわめく。

――記録干渉、確認。

――継承者コード、再定義中。

「レオンの想いを……俺が継ぐ!」

 アレンが叫ぶと同時に、空間全体が揺れた。

 光の海が赤く染まり、装置の中枢から無数の魔導鎖が放たれる。

 外の世界――

 リリィたちは王都の中心でその異変を目にしていた。

「アレンの魔力が……暴走してる!?」

「違う、彼は装置と融合してるの! 記録の制御権を奪いに行ってる!」

 シオンが涙を滲ませながら杖を強く握った。

「お願い、アレン……あなたはまだ帰ってくるんでしょう?」

 その瞬間、空から声が響いた。

「――もちろんだ!」

 アレンの声だった。

 光の柱が一瞬だけ青く染まり、“刻の核”の光が全方位に放たれる。

 記録装置の回路が次々と上書きされ、世界の再構築が中断された。

 装置が発する轟音が止み、代わりに静かな風が吹いた。

「制御……完了だ」

 アレンが光の中から姿を現した。

 だがその表情には安堵よりも、重い覚悟が浮かんでいた。

「アレン……?」

「終わっちゃいない。アーカイブ・ゼロの中には――もう一つの“記録主”がいる」

 その言葉と同時に、地下空間の奥から重々しい声が響いた。

「……人の子よ。なぜ、記録を拒んだ?」

 巨大な影が動く。

 黄金の瞳を持つ、人型の存在。

 まるで神そのものが具現化したようなその姿が、ゆっくりと姿を現した。

「まさか……これが、“原初の記録者”……!?」

 アレンは剣を構え、仲間たちの方を一瞬だけ振り返った。

「ここからが、本当の勝負だ――」

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