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最弱スキル《記録》しか持たない俺、気づけば世界最強の英雄になっていた  作者:
王国再建編

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第76話 止まった街

 王都は静寂に沈んでいた。

 風も、音も、命の気配すらも止まっている。

 兵士たちの表情は恐怖に染まり、リリィは震える声でアレンに問う。

「まるで……時間そのものが、凍ってしまったみたいです……」

 アレンはゆっくりと歩き出す。

 街の中心――噴水広場の水滴が、空中で止まっていた。

 まるで“絵の中の世界”だ。

(これは……“観測干渉”か。記録そのものが停止してる)

 アレンの目が青く輝く。

 刻印が反応している。

 世界の情報が、欠けている――そう感じた。

「止まった時間の中でも動けるのは、“記録を持つ者”だけ……か」

 その時、静寂の中で――音が響いた。

 カツン、と石畳を踏む靴音。

「久しいな、アレン」

 その声に、アレンの表情がわずかに凍る。

 振り返ると、そこに立っていたのは――レオン。

 かつての仲間。

 裏切りの刃編で消息を絶った、時間魔導の使い手。

「……生きてたのか」

「生きてるとも。だが、お前の知っている俺とは違う」

 レオンの瞳は、かつての温もりを失っていた。

 彼の周囲に漂う魔力は、冷たく、そして不安定。

「この時間停止……お前の仕業か」

「そうだ。だが目的は破壊じゃない。世界を止めることで救うんだ」

「……救う?」

「このまま世界が進めば、いずれ滅びる。

 だから俺は“記録”の流れを止め、世界を“保存”している」

 その言葉に、アレンの拳が震えた。

「……それが、セリアが命を懸けて守った世界を凍らせる理由か?」

 レオンの目が揺れる。

 だがすぐに、その迷いを打ち消すように彼は詠唱を始めた。

「《時裂のクロノ・ゲート》」

 空間が裂ける。

 青白い光がアレンを包み、世界が反転する。

 止まった街が砕け散り、二人は時間の狭間へと引きずり込まれた。

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