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最弱スキル《記録》しか持たない俺、気づけば世界最強の英雄になっていた  作者:
王国再建編

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第75話 継承者の刻印

 夜明け前の王都。

 静寂の中、アレンは屋上に立っていた。

 手のひらには、昨夜セリアが残した光の羽が乗っている。

 それはまるで意志を持つかのように、微かに脈打っていた。

「……お前は、セリアの残した“記録”なんだな」

 アレンがそう呟くと、羽が柔らかく光を放つ。

 その瞬間、光が爆ぜた。

 ――バシュッ!

 強烈な輝きが彼の胸を貫く。

 アレンの体中を、文字のような紋様が走った。

 それは“刻印”だった。

 《継承者の印》

 同時に、頭の中に大量の情報が流れ込んでくる。

 過去の戦争記録、滅びた文明、存在しないはずの未来の映像――。

 まるで世界そのものの記憶が、彼に書き込まれていくようだった。

「っ……ぐ、ぁ……!」

 痛みに膝をつく。

 だが、不思議と恐怖はなかった。

 代わりに、心の奥で“使命”の声が聞こえた。

 ――『記録を継ぎ、終焉を防げ。』

「……そういうことか。

 俺が、“次の観測者”ってわけだな」

 刻印が静かに光を沈めると、アレンは立ち上がった。

 その時、背後から足音が聞こえた。

「アレン様!」

 現れたのはリリィだった。

 彼女の手には、緊急報告の書状が握られている。

「どうした?」

「城下で異常が発生しています! 街の時間が――止まったんです!」

「……時間が、止まった?」

 アレンは眉をひそめる。

「はい。人も水も、まるで凍りついたみたいに……ただ、空だけが動いているんです」

 リリィの声は震えていた。

 アレンは視線を東の空へ向ける。

 太陽が昇りかけたその瞬間――

 空の一部が“ノイズ”のように歪んでいた。

 まるで世界そのものが“記録の欠損”を起こしているかのように。

(まさか……これが、セリアの言っていた“崩壊の始まり”か)

 アレンは深呼吸し、リリィに向き直る。

「リリィ、兵を集めろ。

 時間を止めている原因を突き止める。

 多分、“観測の力”に関係している」

「はいっ!」

 リリィが駆け出す。

 アレンは再び光の羽を見つめた。

 それはもう形を失い、刻印の奥で静かに輝いていた。

 ――その瞬間、彼の視界に“別の世界”が一瞬だけ映る。

 荒れ果てた大地。

 黒い空。

 無数の“影”が何かを崇めるように膝をついている。

 そして、その中央に立つ漆黒のローブの男。

「……“観測者”を名乗る偽物か」

 アレンは低く呟く。

 次の瞬間、刻印が脈動した。

 彼の背後に、淡い光の翼が一瞬だけ浮かぶ。

「世界の記録を壊すつもりなら――俺がそれを上書きしてやる」

 夜明けが訪れる。

 光と闇の境界線に、ひとりの“継承者”が立っていた。

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