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最弱スキル《記録》しか持たない俺、気づけば世界最強の英雄になっていた  作者:
王国再建編

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第72話 再建会議

 王都グレイザの中央広場。

 焼け焦げた石畳の上に、簡素な布が広げられていた。

 その上に並ぶのは、拾い集めた机と椅子。

 ――そこが、新たな「王国再建会議」の始まりの場所だった。

「……思ってたより、寂しいな」

 リクトが苦笑しながら辺りを見渡す。

 広場に集まったのはわずか十数人。ほとんどが民や元兵士、そして瓦礫から救出された技術者たちだった。

 アレンはその中心に立ち、深呼吸をひとつした。

 焼け落ちた城を背にしても、彼の目はまっすぐ前を見据えている。

「――今日から、俺たちはこの国をもう一度建て直す。

 名前は『再建会議』。この国の未来を決める場所にする」

 ざわめきが広がった。

 それぞれの顔には不安、絶望、そしてほんの少しの希望が浮かんでいる。

「……でも、資金も人も足りないぞ」

 そう言ったのは、まだ若い鍛冶師の少女だった。

 アレンは頷き、懐から一枚の古い紙を取り出した。

「これは、【記録】に残っていた《旧王国財務台帳》。

 ここにはまだ“動かせる金”と“隠し倉庫”の位置が記されている。

 まずはそれを回収する」

 人々の目が少しだけ輝いた。

 記録の力――失われた知識を呼び戻す唯一の希望だった。

「それに、俺たちには技術者がいる。建築、農業、治水……。

 それぞれの知識をつなぎ合わせれば、必ず再生できる」

「……けど、敵がまた攻めてきたら?」

 リクトが低い声で問う。

 アレンは答えた。

「そのための防衛組織を作る。

 名を――《灰鷹団アッシュホーク》」

 その名を口にした瞬間、空気が変わった。

 戦で散った仲間たちの魂を受け継ぐような響き。

 静かな決意が、広場を包み込む。

「灰鷹団の団長は……お前に任せる、リクト」

「……俺が?」

「ああ。お前ほど信頼できる者はいない」

 リクトは一瞬驚いたが、やがて笑った。

「了解だ。任された以上、誰ひとり死なせねぇ」

 アレンはさらに言葉を続ける。

「再建には、三つの柱が必要だ。

 一つ目は“防衛”――リクトの灰鷹団。

 二つ目は“復興”――街を再び動かす建築と生活の整備。

 三つ目は“信頼”――民の心を再び一つにすることだ」

 沈黙のあと、誰かが小さく呟いた。

「……信頼、か。簡単じゃねぇな」

 アレンは微笑んだ。

「簡単じゃない。だからこそ、俺たちがやる。

 裏切りと破壊の時代を終わらせるためにな」

 風が吹き抜け、焦げた旗がひらめいた。

 その旗を、アレンは拾い上げて掲げた。

 焦げ跡の残る紋章――だが、まだ消えていなかった。

「この国は、まだ生きている。

 この記録が証明している」

 その声は、かつての王国の鐘のように響いた。

 人々は静かにうなずき、次第に拍手が広がっていく。

 それは、再建の第一歩だった。

「――始めよう。王国再建計画を」

 アレンの宣言に、リクトが笑いながら拳を上げた。

「よっしゃ、まずは飯と寝床の確保からだな!」

「うむ、それも大事だ」

 笑いが起きた。

 瓦礫の中に、初めて「笑い声」が戻った。

 アレンはその音を記録しながら、心の中で誓う。

(今度こそ――この手で、未来を守り抜く)

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