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最弱スキル《記録》しか持たない俺、気づけば世界最強の英雄になっていた  作者:
裏切りの刃編

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第67話

「来い……“記録”の勇者よ。」


低く響くカインの声と共に、倉庫の空気が一瞬で張り詰めた。漆黒の鎧に包まれたその姿は、まるで闇そのものが形を成したかのようだ。周囲の兵士たちが後ずさりし、誰一人として口を開けない。


アレンは剣を握りしめた。

「カイン……! お前の裏切りを、俺が記録し、この国に突きつける!」


「面白い。だが“記録”など所詮は影だ。真の力とは“破壊”だろう?」

カインが片手を掲げると、空気が重く歪んだ。瞬間、漆黒の剣が虚空から形を成し、轟音と共に床を叩き割る。


「う、うそでしょ……あの威力……!」

ミカが怯え、後ずさる。


「下がれ!」

ライエルが盾を構えて前に出る。火花を散らして剣と盾が激突し、衝撃波が倉庫全体を震わせた。


ナリアが矢を放つが、カインは軽く剣を振り払い、矢を弾き落とした。

「小賢しい。」


「まだだ!」

アレンは床を蹴り、一直線にカインへと斬りかかる。剣と剣がぶつかり、耳をつんざく金属音が響いた。衝撃が腕に走るが、アレンは必死に食らいつく。


「お前なんかに……この国は渡さない!」


「ほう、眼だけは死んでいないな……。だが力が足りん!」

カインの剣が横薙ぎに振るわれ、アレンの身体が宙を舞う。背中を打ちつけ、肺から空気が一気に抜けた。


「アレン!」

ナリアの叫びと同時に、ミカが回復魔法を放つ。温かな光がアレンを包み、息が戻った。


アレンは苦しげに立ち上がる。

「……まだ終わっちゃいない。俺には“記録”がある。」


その言葉と同時に、彼の周囲に無数の光が浮かび上がった。それはこれまで戦いで記録してきた“剣技”や“魔法”の断片――仲間たちの力の記録だ。


「これは……!」

ライエルもナリアも目を見開く。


アレンは記録を解き放ち、仲間たちの技を一斉に繰り出す。矢の雨、炎の奔流、雷の斬撃がカインを包み込んだ。


「ほう……! 俺の想像以上だな!」

カインは笑いながらも、剣を振りかざして応戦する。その姿は余裕を崩さぬまま、しかし確かに圧倒的な力を持っていた。


だがアレンの瞳には、決して揺らがぬ決意が宿っていた。


「俺は――仲間と共に、この国を守る!」


闇と光が激突し、倉庫は轟音に包まれた。

決戦の火蓋は、ついに切って落とされた。

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