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最弱スキル《記録》しか持たない俺、気づけば世界最強の英雄になっていた  作者:
裏切りの刃編

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第51話 巻物の秘密

 夜の倉庫に潜む影を追って、レオンは息を殺して身を潜めていた。

 扉の隙間から覗くと、ギルが袋を床に下ろし、中から何本もの巻物を取り出している。

 (軍の印……やはり、正式な文書か……)

 レオンの喉が鳴った。

 もしそれが敵軍に渡るような内容であれば、ギルが裏切り者である証拠になってしまう。

 ギルは巻物の封を切り、しばし黙読した後、小さく吐息を漏らした。

 「……やっぱり、そうか。俺たちはもう――」

 その言葉の続きを聞く前に、背後で足音が響いた。

 「誰だ!」

 ギルが即座に振り返り、剣を抜く。

 倉庫に入ってきたのは、黒い外套に身を包んだ二人組だった。

 顔を覆う仮面の隙間からは冷たい視線だけが覗く。

 「渡してもらおうか。……その巻物を」

 「お前ら……!」

 ギルは歯を食いしばり、巻物を背に庇うように立ちはだかった。

 レオンはその様子を見て、目を疑った。

 敵に協力しているのではなく――むしろ敵から守ろうとしている?

 「ギル……何をしてる?」

 思わず声を漏らすと、仮面の者たちが一斉に振り返った。

 「チッ、見られたか」

 「構うな、殺せ!」

 二人が一気に迫ってくる。

 ギルが咄嗟に剣を振るい、レオンの前に立った。

 「レオン! ここは俺に任せろ!」

 「お前……裏切ってなかったのか……?」

 「当たり前だろ! 俺は仲間を裏切るような真似は絶対にしねぇ!」

 怒鳴り声と共に、ギルの剣が火花を散らした。

 敵は熟練の暗殺者と見え、動きが素早い。ギルは必死に防戦しながらも、隙を突いて一人の仮面を弾き飛ばす。

 「ぐっ……!」

 敵は呻き声を漏らし、すぐに体勢を立て直す。

 レオンも剣を抜き、加勢した。

 (そうか……ギルは俺たちを守ろうとしていたんだ。疑って……すまなかった!)

 二人は息を合わせて剣を振るい、倉庫の中を駆け回る。

 だが暗殺者たちは巧みに影を使い、二人を翻弄する。

 「レオン、右だ!」

 ギルの叫びに反応し、レオンは振り向きざまに一閃。

 刃は敵の仮面をかすめ、半分を切り裂いた。

 露わになった顔は――見覚えのある兵士だった。

 「お前……評議会の兵じゃないか!」

 「……バレたか」

 兵士は低く笑い、仲間と共に煙玉を投げつけた。

 「裏切り者は……お前たちだけじゃないってことだ」

 白煙が立ち込め、次の瞬間、二人の姿は掻き消えた。

 静まり返った倉庫に、煙の残滓だけが漂う。

 ギルは肩で息をしながら剣を収め、レオンに巻物を手渡した。

 「……これを見ろ」

 巻物を受け取ったレオンは、中身に目を通した。

 そこに記されていたのは――カルナの街の防衛計画、兵糧の備蓄量、城壁の弱点。

 どれも極秘中の極秘であり、外に漏れれば国の存亡に関わる情報だった。

 「なぜ、これを……?」

 レオンは息を呑んだ。

 「俺は……城の兵糧庫を管理していたとき、この巻物が不自然に持ち出されてるのを見つけたんだ」

 ギルは悔しげに拳を握る。

 「誰かが内部で裏切ってる。それを突き止めようとして……逆に怪しまれた」

 レオンは言葉を失った。

 ギルは裏切り者どころか、裏切りを追う者だったのだ。

 その時、倉庫の扉が再び軋んだ。

 姿を現したのは――エリスだった。

 「レオン、ギル……ここにいたのね」

 彼女の瞳は鋭く光り、巻物を一瞥すると冷たい笑みを浮かべた。

 「……まさか、あなたたちがそれを掴んでしまうなんて」

 「……エリス?」

 レオンは背筋に冷たいものを感じた。

 「裏切り者は――」

 彼女の唇がゆっくりと動き、倉庫の空気が凍りついた。

 「――私よ」

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