第45話 「巨鬼との決着」
閃光が戦場を覆い尽くした。
一瞬、誰もが息を呑む。視界を焼くほどの輝きの中心に、ユウマとグラドが対峙していた。
「小僧……貴様、ただの人間ではないな……!」
黒い鎧の隙間から覗く双眸が、怒りと警戒の色を帯びる。
グラドの筋肉が膨張し、斧に禍々しい赤黒いオーラがまとわりついた。圧力が空気を震わせ、周囲の兵たちが思わず後退する。
「俺はただの人間だ。けど――仲間を守る力は、絶対に譲らない!」
ユウマの剣に宿った光は消えることなく、むしろ増していく。
その輝きは、リオナの祈り、アレンの叫び、そして避難民の必死の願いを背負っていた。
グラドが大斧を振り上げた。
「人間ごときが……調子に乗るなあああッ!」
地を裂くほどの一撃が振り下ろされる。
ユウマは足を踏み込み、剣を振り上げて迎え撃った。
「うおおおおッ!」
衝突。
大地が揺れ、轟音が空を裂いた。
火花が弾け飛び、衝撃波が兵士たちを吹き飛ばす。
膝を砕かれそうな重圧。だが、ユウマは退かない。
「俺は……ここで……負けられないんだあああ!」
渾身の力で押し返すと、剣の光が斧の闇を貫いた。
斧の刃が軋み、亀裂が走る。
「馬鹿な……! 我が斧が……!」
グラドの叫びは絶望に近かった。
その隙を逃さず、ユウマは剣を振り抜く。
閃光がグラドの胸甲を貫き、爆ぜた。
「ぐぉおおおおおおおおッ!!」
巨鬼が絶叫し、血を吐きながら後退する。
だが倒れない。
「まだだ……! まだ俺は……負けんッ!」
血に濡れた体を引きずりながら、なおも突進してくるグラド。その執念は怪物そのものだった。
ユウマの足も重い。腕も痺れ、呼吸も荒い。
それでも――仲間の視線が彼を支えていた。
リオナの涙混じりの祈り。アレンの必死の声援。避難民の願い。
ユウマは剣を胸の前に構え、低く呟いた。
「……これで、終わらせる」
駆け出した。
互いの咆哮が戦場を震わせる。
刹那、二つの影が交差した。
沈黙。
次の瞬間、巨体が崩れ落ちる轟音が響いた。
「……ば……馬鹿な……」
グラドの目から光が失われ、巨躯は土煙を巻き上げながら倒れ伏した。
勝利の瞬間だった。
しばしの静寂の後、兵士たちから歓声が上がった。
「勝った……! ユウマが、あの破城鬼を倒したぞ!」
涙ぐむリオナが駆け寄り、傷だらけのユウマに飛び込んだ。
「ユウマ……本当に、無茶するんだから……!」
「ごめん……でも、守れた」
力尽きたように笑みを浮かべ、ユウマは剣を下ろした。
アレンが肩を貸し、仲間たちが囲む。
戦場にはまだ火の粉が舞っていたが、その中で確かに「希望の炎」が灯ったのだった。




