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最弱スキル《記録》しか持たない俺、気づけば世界最強の英雄になっていた  作者:
仲間集め編

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30/87

第30話 仲間の誓い――そして新たなる戦乱へ

ヴァルドの本拠地からの帰還。

 塔を出た瞬間、俺たちの胸に去来したのは、勝利の余韻ではなく――燃え上がる決意だった。

 あのヴァルドは逃げた。

 しかも「次はもっと強力な配下を連れて戻ってくる」と言い残して。

 つまり、戦いはまだ始まったばかりだ。

「助かった……本当に助かった」

 塔の前で、カイル――あの囚われの戦士が深々と頭を下げた。

「俺はこの廃都の守護兵だったが、ヴァルドの魔力に囚われ、操り人形にされていた。お前たちがいなければ、ずっとあのままだっただろう」

 その声には悔しさが滲んでいた。

「カイル、気にするな。俺たちは仲間を助けた。それだけだ」

 俺はそう答えた。だが内心は震えていた。

 ヴァルドの支配はこの廃都だけにとどまらない。

 奴はもっと大きな計画を進めている――そんな嫌な予感がしていた。

 町に戻った俺たちは、ギルドで報告を済ませると、一度宿屋に集まった。

 テーブルを囲んだのは俺、ガイル、リィナ、フィン、ソラ、そして新たに加わったカイルだ。

「さて、これからどうする?」

 ガイルが腕を組んで問う。

「ヴァルドの次の動きが気になるな。あいつ、ただの盗賊団の頭じゃない」

 フィンが矢を手にしながら言う。

「私も同感です」ソラが頷く。「奴の魔力は異常です。あの迷宮の構造も、明らかに人為的なものだった。きっと背後に何かがいる」

 背後――その言葉に、場の空気が一段と重くなる。

「一つ、話しておきたいことがある」

 カイルが低い声で切り出した。

「俺が知る限り、この廃都は昔、王国の最前線基地だった。ヴァルドはそこに隠されていた“古代兵器”を探している」

「古代兵器……?」

 リィナが息を呑んだ。

「もしそれが奴の手に渡れば、この大陸が戦乱に包まれることになる。だから俺は……お前たちと共に戦いたい」

 カイルの瞳には強い決意が宿っていた。

「アレン」

 リィナが俺を見る。「どうするの? 彼を仲間にする?」

「もちろんだ」俺は即答した。「俺たちはまだ弱い。でも、奴を倒すには力が必要だ。カイル、お前の力を貸してくれ」

 カイルは少しだけ笑みを浮かべ、頷いた。

「任せろ。剣の腕には自信がある。これからはお前たちと共に戦おう」

 こうして、俺たちのパーティは新たな仲間を迎え、正式に六人となった。

 だが、その夜。

 俺は宿屋の屋上で一人、夜空を見上げていた。

 胸の奥に残っているのは、勝利の安堵よりも不安の方が大きい。

「アレン」

 背後から声をかけてきたのはソラだった。

「眠れないのですか?」

「……ああ。ヴァルドが古代兵器を手に入れたらどうなるのか、考えてた」

 ソラは静かに月を見上げた。

「きっと、大きな戦乱が始まります。王国だけでなく、帝国や他の国々も巻き込んで」

 戦乱――その言葉が胸に重く響いた。

「でもアレン、あなたには仲間がいる」

 ソラの声は穏やかだった。

「リィナも、ガイルも、フィンも、カイルも。そして私も。あなたが記録し、導く限り、私たちはきっと負けません」

 その言葉に少しだけ肩の力が抜けた。

「……ありがとう、ソラ」

 彼女は微笑んだ。「礼を言うのは、勝ってからにしましょう」

 翌朝。

 俺たちはギルドからの新たな依頼を受けた。

 ヴァルドが北方の遺跡に向かったとの情報が入り、そこに古代兵器の手がかりがあるらしい。

 そして、それを阻止できるのは俺たちだけだと告げられた。

「行こう」俺は剣を握りしめた。「ここからが本当の戦いだ」

 仲間たちが頷く。

 宿を出るとき、リィナが小声で言った。

「アレン、次はきっと簡単にはいかないわよ」

「ああ。だからこそ準備がいる」

 俺は【記録】のスキルを発動し、これまでの戦いをすべて整理した。

 戦術、魔力の流れ、仲間の動き――そのすべてを次に生かすために。

 最弱のスキルと笑われた力が、今や俺たちの最大の武器になろうとしていた。

 町を出る直前、カイルが俺の肩を叩いた。

「アレン。俺は昔、この遺跡の一部を見たことがある。そこには……とんでもない兵器が眠っていた」

「とんでもない兵器?」

「“竜王兵”だ。千年前、大陸を滅ぼしかけたと言われる伝説の兵器だ」

 その名に、俺たちは息を呑んだ。

「もしヴァルドがそれを手に入れれば……」

 フィンが言いかけ、首を振った。

 想像するだけで恐ろしい。

「だから止める」

 俺はきっぱりと言った。「絶対に奴に渡さない」

 仲間たちの目に、同じ決意の炎が宿る。

 こうして俺たちは出発した。

 仲間が増え、目的が明確になり、そして次なる戦いはこれまで以上に過酷になる。

 だが不思議と、胸の奥には確かな自信があった。

 ――もう、俺は一人じゃない。

 

仲間集め編、ここに完結。

 次なる章「戦乱編」が、いよいよ幕を開けようとしていた――。

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