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最弱スキル《記録》しか持たない俺、気づけば世界最強の英雄になっていた  作者:
仲間集め編

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第27話 決戦・迷宮下層――幻影と真実

瓦礫の中から立ち上がると、そこは迷宮の下層だった。

 天井の裂け目からわずかに差し込む月明かりが、無数の魔法陣に照らされて薄く光る。

 廃都の地下にこんな広大な空間があるとは――いや、これはヴァルドが魔法で生み出した戦場かもしれない。

 周囲にはいくつもの回廊と扉が連なり、どれもが同じに見える。

 だが一歩踏み込めば、そこは幻影と罠の迷宮。地形すら信用できない場所だ。

「……迷宮ごと、俺たちを殺す気か」

 ガイルが大剣を肩に担ぎ、険しい表情を見せる。

「でも、ここで退いたら仲間集めどころじゃなくなるわ」

 リィナが炎を灯し、先を見据える。

 その光に照らされ、魔法陣が怪しく輝いた。

「歓迎しよう、アレン。こここそが俺の本拠地――“幻影回廊”だ」

 ヴァルドの声が、石壁を伝って響き渡った。

 次の瞬間、迷宮全体がうねりを上げる。

 石壁が伸び、床が崩れ、幻影の軍勢が四方から現れた。

 鎧をまとった兵士、異形の魔物、巨大な蛇――

 どれが本物でどれが幻影か、一目では判別できない。

「フィン! 後方から狙撃! リィナは広範囲攻撃を!」

 俺は即座に指示を飛ばす。

 フィンが矢をつがえ、次々と幻影を撃ち抜く。

 リィナが火球を放ち、偽物を一掃していく。

 だが――

「ははは、偽物をいくら壊しても無駄だ。疲れるのはお前たちだけだぞ」

 ヴァルドの声が嘲笑うように響く。

「アレン、敵の魔力の流れを読めるか?」

 ソラが近づき、声を潜めた。

「やってみる」

 俺は【記録】を発動し、戦場全体を俯瞰する。

 魔力の濃度、流れ、発生源――

 ――見えた。

「中央の柱だ。あそこが幻影魔法の核になってる!」

 迷宮中央に立つ黒い柱。そこから無数の幻影が生まれている。

「なら壊せばいいんだな!」

 ガイルが大剣を構え、一直線に駆け出した。

 だが床が崩れ、炎の罠が彼を阻む。

 そこへ異形の幻影が群がり、ガイルの進路を塞いだ。

「くそっ!」

 ガイルが剣を振るい、敵をなぎ払うが、数が多すぎる。

「リィナ! 援護を!」

「了解!」

 リィナの詠唱が響き、火炎が迷宮を照らす。

 炎の壁が幻影を焼き払い、ガイルの道を開いた。

 その隙にフィンの矢が黒い柱を撃ち抜く。

 だが――

「甘いな」

 ヴァルドが現れ、手を振ると柱が再生した。

「核を壊しても無駄か……!」

 俺は奥歯を噛みしめた。

「アレン、あれは幻影と罠が融合した魔導装置だ。核を壊すだけじゃ駄目。魔法の根源を断ち切らなきゃ」

 ソラが冷静に告げる。

「根源……なら場所は?」

 ソラが迷宮の奥を指差した。

 そこには巨大な魔法陣が輝き、ヴァルドの魔力が渦巻いていた。

「あれが本命ってわけか」

 俺は仲間たちを見渡し、頷いた。

「全員で突っ込む。ここで奴を倒すぞ!」

 突撃が始まった。

 ガイルが先陣を切り、敵の幻影を次々と叩き潰す。

 フィンの矢が援護し、リィナの炎が道を開く。

 リゼルが後方から回復魔法を飛ばし、ソラが幻影で敵の目を惑わせる。

 連携が一つになり、迷宮を切り裂いていく。

「面白い! なら本気を出してやろう!」

 ヴァルドの声が響き、巨大な幻影竜が姿を現した。

「うわっ、でけえ……!」

 フィンが思わず声を上げる。

 竜の咆哮が迷宮を揺るがし、炎の奔流が迫った。

 リィナの結界がそれを防ぐが、衝撃で石壁が崩れ落ちる。

「俺が引きつける! アレン、根源を断て!」

 ガイルが叫び、竜に突っ込んでいく。

 剣と炎がぶつかり、火花が散る。

 俺は【記録】を最大限に発動し、魔法陣の構造を読み取った。

 複雑に絡み合う術式、無数の魔力回路――だが弱点は一つだけだ。

「ここだッ!」

 俺は剣に魔力を集中し、術式の核を一撃で切り裂いた。

 魔法陣が砕け、光が弾け飛ぶ。

 幻影竜が霧散し、迷宮全体が崩れ始めた。

「まさか……俺の迷宮が……!」

 ヴァルドが初めて動揺の色を見せた。

「これで終わりだ、ヴァルド!」

 俺たち全員が一斉に突撃する。

 ガイルの剣がヴァルドの防御を砕き、フィンの矢が肩を貫く。

 リィナの炎が奴を包み、ソラの幻影が視界を奪う。

 そして俺の一撃が、ヴァルドの胸を貫いた。

「クッ……面白い……! なら……本拠地で待っているぞ……アレン……」

 ヴァルドの身体が霧となり、迷宮の奥へと消えていった。

 倒したわけではない。奴はまだ生きている。

 だが迷宮は崩壊し、俺たちはようやく地上へと戻ることができた。

「逃げられたな……」

 ガイルが悔しげに剣を下ろす。

「でも、奴の本拠地の場所はわかった。次こそ終わらせる」

 俺は拳を握りしめた。

 月明かりの下、崩れた廃都を背にして、次なる戦いが始まろうとしていた――。

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