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最弱スキル《記録》しか持たない俺、気づけば世界最強の英雄になっていた  作者:
仲間集め編

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第17話 影の処刑人

盗賊団の討伐を終えて二日後。

 俺たちは街に戻り、ギルドで報酬を受け取った。

「金貨三十枚か。これでしばらくは食いっぱぐれないな」

 ガイルが袋の中身を見て満足げに笑う。

「でも依頼は終わったのに、なんだか落ち着かないわね……」

 リィナが眉をひそめた。

 俺も同感だった。戦いの最中、常に誰かに監視されているような感覚があったのだ。

 その夜。

 街の外れを歩いていた時、不意に背後から冷たい声が響いた。

「アレン・クロード……お前に死を告げに来た」

 振り返ると、闇の中から一人の男が現れた。

 全身黒装束で、顔の下半分を覆う仮面。手には漆黒の短剣。

「蛇の牙……か?」

 俺が警戒を強めると、男は無言で頷いた。

「俺の名はカラム。影の処刑人と呼ばれている」

 その瞬間、カラムの姿が掻き消えた。

「どこだ!?」

 ガイルが剣を構えた時には、もうカラムは俺の背後にいた。

 鋭い短剣が背中を狙う――だが俺は【記録】の予測で辛うじて身を捻った。

 短剣が頬をかすめ、冷たい血が流れる。

「速い……!」

 リィナが魔法を放とうとするが、カラムは影のように動き、標的を次々と変えて攻撃を仕掛ける。

 フィンの矢が飛ぶが、カラムは体を紙一重で捻って避けた。

「俺の矢が当たらない……だと?」

 フィンが歯を食いしばる。

「奴は影に潜む……まるで実体がないみたいだ」

 ガイルが剣を振るうが、カラムは影の中に消えて別の場所に現れる。

「アレン・クロード。お前だけを狙う。他の者は邪魔だ」

 冷たい声が響くたびに、俺の背筋を氷の手がなぞるような感覚がした。

「くそ……【記録】で軌道を読んでも、影の移動までは予測できない!」

 俺は歯を食いしばった。

「リィナ、光魔法は使えないのか!?」

「できるけど詠唱に時間がかかるわ!」

「じゃあ俺が時間を稼ぐ!」

 ガイルがカラムの動きを封じるために真正面から突っ込むが、刃が空を切るだけだ。

 その時だった。

 遠くから澄んだ鐘の音が響き、街道の方から白い法衣を着た僧侶のような人物が駆けてきた。

 彼女の手には銀色の杖。

「光よ、闇を祓え――!」

 強烈な閃光が夜空を裂き、あたりを昼のように照らし出す。

「ぐっ……!」

 カラムが影から弾き出され、初めて動きを止めた。

 フィンの矢がその隙を逃さず放たれ、カラムの肩をかすめる。

「……なるほど。今日はこれまでだ」

 カラムは影の中に溶けるように消え、完全に姿を消した。

「逃がしたか……」

 ガイルが剣を下ろす。

 白い法衣の人物が俺たちに近づいてきた。

 長い金髪、穏やかな瞳。だがその中に強い意志が宿っている。

「私は聖堂騎士リゼル。蛇の牙を追ってここまで来た。あなたたちがアレン・クロードね?」

「ああ。助けてくれて感謝する」

「礼はいいわ。あの組織は放っておけば国全体が危ない。私も力を貸す」

 彼女の声は澄んでいたが、その奥に決意の炎が揺れていた。

 こうして俺たちは、新たな仲間――聖堂騎士リゼルを得た。

 だが同時に、蛇の牙が本気で動き出したことを悟る。

 次の戦いは、これまでとは比べ物にならない。

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