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花の道しるべ  作者: 輝 静
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迷惑な手紙

 額に氷袋を当てた怜が戻ってくると、優華はすぐさま席を立った。


「怜ちゃん大丈夫?」

「うん」


 怜は私をじっと見つめた後、私の後頭部に氷を当てた。


「冷たっ! 何? 嫌がらせ?」

「花恋もぶつけたから。冷やした方が良いと思って」

「いいよ、もう痛くないし」


 怜の手首を持ち、額に氷を当てさせる。


「くうちんも保健室行ってきた方がいいよ〜。頭の怪我は怖いよ〜」

「いいってば。面倒」

「そう言うと思って〜」


 そう言って悠優は私の後頭部に冷たいものを押し当てた。


「何もう!」

「保冷剤もらってきといたよ〜」


 ヘラヘラとムカつく笑みを浮かべながら悠優は保冷剤を当て続けている。


「自分で当てるから手どけて」

「はーい」


 後日、保冷剤は責任持って悠優に返しに行かせた。


◇◆◇◆◇


 この学校は土足の為下駄箱を使われることはあまりない。

 よって、下駄箱を開けると手紙がびっしり──なんてことはない。

 では、もし意中の相手に手紙を渡したい場合どうするのか。

 もちろん直接渡すというのもあるが、大半は相手が使っている机に放課後などに気づかれないように入れるだろう。

 そのせいでここ最近の私は酷く迷惑している。


「チッ、最悪」


 机の中には手紙がぎっしり詰められ、ノートを入れる隙間すら無い。

 朝から中に敷き詰められた手紙を取り除く作業を強いられてしまう。


「怜、袋持ってない?」

「ゴミ入れるのならあるよ」

「小っちゃ。やっぱいらない」


 入れられた手紙を一旦机の上に全て出し、半分に分ける。

 本当は今すぐゴミ箱に入れたいが、この前捨てた瞬間非モテや裏切り者にごちゃごちゃ文句言われて、捨てたやつ全部戻されたからその選択肢は取れなくなった。

 家で捨てるのもお母さんやお姉にバレた時が面倒だからそれもできない。

 何故顔も知らない奴の自己中な手紙を丁寧に扱わなければならないのか。私が好きなら迷惑かけるなって話だ。


「はぁ……。ワンクッション置くぐらいなら直接言いにきてくれた方が百倍マシだよほんと」


 私は半分を優華の机、もう半分を悠優の机に入れて、自分の机にはロッカーから取ってきた教科書等を入れる。


「花恋、また二人に怒られるよ」

「いいの。文句言われるのは慣れてる。それともあんたが貰ってくれるわけ?」

「私は花恋じゃないよ」

「当たり前でしょ」


 ホームルームが終わると、優華と悠優二人して手紙の束を持って私に文句を言いにきた。


「くうちん、何度も言ってるでしょ〜。手紙をゆーゆの机に入れないでって〜。くうちん宛ての手紙なんだから」

「だめだよ花恋ちゃん、手紙を蔑ろにしちゃ。その人の気持ちを踏み躙る行為同然だよ」

「想いが込もっていれば人に迷惑かけていいわけ? そもそも想いって何? ただ私が美少女だからワンチャン狙っているだけでしょ。そんな奴に私に対しての想いなんてあるわけないじゃん。自分のステータス上げるためのアクセサリーになって下さいってことしか書いてないでしょ。どれでもいい、適当に何枚か取って読んでみなよ。私の内面について書かれている手紙なんて一枚もないよ」


 二人は何も言えなくなり、じっと手紙の束と私の顔を目で往復している。

 私はその二人が持つ手紙の束から一枚ずつ抜き取り、手紙を開ける。


「怜、読んで。口には出さなくていい」

「いいの?」

「いいから早く。読んだら封筒にしまって。見たくないから」


 怜は手紙を静かに読む。

 二枚とも戻された後、優華と悠優の手元に戻した。


「読んだ手紙の中に私の内面についての記載はあった?」

「これから知りたいって書いてあったよ」

「じゃあ、私の容姿についての記載は?」

「……容姿かは分からないけど、一目見た瞬間心が奪われたとか、花恋の事が忘れられないみたいなことは書いてあった」

「そ」


 私は優華と悠優の方を向き、二人の反応を見る。


「ほらね、こいつら全員私の外見しか目当てじゃないんだよ。私の事なんて何も考えていない。そもそも、顔を隠していた時は芋女やらなんやら言っていたくせに、顔晒した瞬間ラブレターとか、欲望に忠実すぎてほんと気持ち悪い。そんな欲の権化、見たくもないからあんたらで処理しといて」

「でも、勇気を振り絞ったものかもしれないし……」

「くうちんの気持ちも分かるけど……。読まなくていいから、せめて受け取ってあげよう。ゆーゆ達の手に渡るのは違うよ」


 二人の回答に無性に腹が立ち、私は乱雑に二人から手紙を奪い取る。


「あんたらなら少しは理解できると期待したい私が馬鹿だったよ」

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