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花の道しるべ  作者: 輝 静
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面白味のない罰ゲーム

 夕食を食べ終えた後、部屋に来客がやってきた。


「どうしたの紅葉。いじめられた?」

「違うよ。部屋に遊びに来ない? トランプするんだけど、人数多い方が楽しいと思って」

「あの裏切り者に連れてこいって脅されたんだね。可哀想に」

「違うよ。たしかに提案したのは和木さんだけど、誘いに行くって言ったのはウチだよ。いいからおいで」


 普通ならいくら紅葉からのお誘いとはいえ、裏切り者達に付き合わなくてはいけないから迷わずノーと答えるけど、今は修学旅行、行かなくても結局一人にはなれない。

 なら、まだ紅葉と一緒にいた方がいいか。


「分かったよ。スマホ取ってくるから待ってて」

「うん、待ってる」


 スマホを取りに部屋に戻ると、明らかに三人も一緒に行く雰囲気を出している。


「あんたらはお呼びじゃないよ」

「人数は多い方が楽しいからね〜」

「花恋が行くなら行く」

「はい、花恋ちゃんのスマホ。鍵は私が持っておくね」


 棒立ちしている私を放って、三人はもう靴も履いている。


「くうちん早く〜」


 深い溜息を吐き、重い足取りで靴を履く。


「ごめん紅葉、邪魔者が三人もいる」

「大丈夫、ウチ含めて皆喜ぶから」

「だって〜」


 上機嫌な声の悠優に口パクでムカつくと伝えた。


「いらっしゃい! どうぞどうぞ、ぜひ上がってください!」


 嬉しそうに出迎える裏切り者を見て、やはり本命は三人だったよう。


「他は?」

「秋野ちゃん同様他の部屋に誘いに行ってもらったんだけど、多分逆に捕まってるね。というわけで六人だけでやろう」

「何するの?」

「無難にババ抜き罰ゲームありで」


 何さらっと罰ゲーム付け足しているのやら。


「ば、罰ゲームは聞いてないです……」


 そうだそうだ! 言ってやれ紅葉!


「大丈夫大丈夫、心配するようなものじゃないから。一抜けした人は負けた人に何でも質問できる。で、された人は正直に答えるっていう罰ゲーム。修学旅行といえば恋バナ! 恋バナせずして修学旅行は終えられない! でもこのメンバーで真面目に恋バナしてくれそうな人いなさそうだから、罰ゲームという形にしてみました! もちろん、恋バナ以外の質問も全然オッケーだからね」

「そ、それならまあ……」


 一瞬で丸め込まれている。

 紅葉にとっては合法的に三人に話しかけられるチャンスだもんね、そりゃそうだよね。まあ、そもそも非合法とかないんだけど。


「てかこのメンツで恋バナなんてできないでしょ」

「大丈夫、人間好みくらいあるから。はい、座って座って。カード配るよ」


 ベッドに三人ずつ上がり、配られたカードを中央に捨てていく。

 流石は極狭隙間。掛け布団を間に置けば隙間があるとは思えないほど安定する。


「怜、悠優の隣いきなよ」

「花恋の隣が良い」

「私の隣は紅葉だけで十分」

「花恋って割と変な事言うよね。四人並んだらやりにくいじゃん。理解してないわけじゃないでしょ」

「当然のように隣にいるのが疑問」

「今更だよ」


 今更か。一体いつから私はこいつらが付きまとってくる事に文句を言うのが今更になったのだろうか。

 そして、いつから周りは私とこいつらをセットで見始めたのやら。


「昔は皆文句言ってたくせにね。はい、あがり」

「イカサマ?」

「運が良かっただけだよ」


 背後がベッドであることをいい事に、はみ出さないように気をつけつつ、ベッドに横になった。


 しばらくして決着がついた。


「質問者花恋とかなんの面白味もないじゃん」

「普段と変わらないからね」

「まあまあ。とりあえず空瀬ちゃんなんでもいいから秋野ちゃんに何か質問して。ね」


 質問も何も対して聞きたい事ないのだけれど。


「……紅葉って何がきっかけでこいつら好きになったの?」

「ウチ面食いだから。一目惚れ」


 まあ、だろうねっていう感想しか出てこない。


「君ら性格に関してはいいとこないからね」

「くうちんにだけは絶対言われたくなーい」


 なんで怜除いた全員大きく頷いているの。せめてもっと小さく頷け。


「でも、よく本人達を前にして顔が好きって言えるよね」

「だ、だって、そういうルールだったじゃん。あくまできっかけだし……。そ、それに、多分御三方とも自覚はしているだろうし……」


 なんで私に隠れて言うの紅葉。三人と目を合わせられないのになぜこの三人がついてくることを了承したの紅葉。

 今からでも追い返しても良いと思うよ紅葉。


「最近花恋が頭で考えている事が分かるようになってきた。余計な事しなくていいよ。推しと目合わせられないのは正常な範囲だから」

「むしろ私のために余計な事したいよ。で、ああ言われたけど君らは顔の事自覚してるの?」

「してるよ〜」

「してないと逆に失礼だしね」

「あんたも自覚してるの?」

「お父さんもお兄ちゃんも可愛いって言ってた」


 つまり自覚してるって事ね。


「ええ⁉︎ 氷冬様まさかの妹⁉︎」


 で、裏切り者は何興奮しているのやら。


「……? お兄ちゃんいるよ」

「クールビューティーが実は妹……尊い」


 紅葉はなんか召されているし。あとクール違う。コミュ障。


「花恋も妹だよ」

「え、そうなの?」


 紅葉なんか怜の時と反応違いすぎない?


「初めて知った」

「言う必要ないもん」

「花恋のお姉さんか。考えただけで同情しちゃう」


 紅葉の中の私って一体どんな存在なのだろう。私紅葉に対しては比較的友好的に接しているはずなんだけど。


「あ、そういえばいたね。お弁当届けに来てたよね。空瀬ちゃんと違って明るい感じの人」

「私が暗い人みたいじゃん」

「花恋ちゃんは暗いというより、雰囲気静かだからね」

「空瀬ちゃんももうちょっと笑顔と声のトーン上げてこう。口数は減ってくれていいから」

「矛盾しているんだけど」

「まあまあ。それよりお姉さんの写真ないの?」


 明らかに話の論点すり替えたな。


「なんでよ。見せないから」

「え〜。顔見たいな〜」

「お弁当届けにきた時見てないのですか?」

「空瀬ちゃん同様サングラス付けてたから。空瀬ちゃんの家って何か顔知られたらまずい事でもあるの?」

「質問は罰ゲームで聞くんでしょ。私から話す事はないよ」


 そうしてまたババ抜きが再開した。

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