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花の道しるべ  作者: 輝 静
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友達と呼べない差

「くうちん〜、そろそろ更衣室行こ〜」


 いつも来られるのは迷惑だと思っているが、今回ばかりはグッドタイミングである。


「ほら紅葉、着替えにいくよ」


 凄いな、もう顔伏せているよ。


「今顔真っ赤だから後で一人で行く」

「駄目だよ。そしたら私こいつらと行かなきゃいけないじゃん」


 それに紅葉の面白い反応見れないじゃん。


「酷い言い方だね〜」

「私紅葉と行くから君らは君らで行って」

「え〜。最近秋野さんばっか〜」


 何一丁前に嫉妬しているのやら。


「そもそも君らとは友達でもなんでもないから」

「秋野さんとは友達なの〜?」


 ……そう言われるとどうなのだろう? 紅葉の事を友達なんて思った事は無かったし、違うのだろうか?

 ……うん、多分違う。夢空は友達と思えるのに。この差は何なのだろう。


「違う」

「えっ⁉︎ 違うの⁉︎ じゃあ何⁉︎」


 さっきまで伏せていた癖にいきなり顔を上げてきた。

 私がもう少し顔を出していたらメガネ割れていたよ。

 フルオーダーメイドだからもし壊れでもしたら流石のお母さんも鬼になるし、危なかった。


「……何だろう? 他人ではない」

「それはそうでしょ」

「……仲の良いクラスメイト?」

「友達以下に感じられて地味に傷ついてるよウチ」


 友達か、そもそも友達って何なのだろう。私はどうやって夢空と友達になったのだろう。


「なあ空瀬、そろそろ着替えに行ってくれね? 俺ら着替えられなくて困るんだけど」

「別に着替えればいいじゃん。見られて困るようなもんないでしょ。強いて言えば情けない身体だけじゃん」

「うるせえ! 一言余計だ! そもそも、女子がいる中で着替えたら俺らがセクハラ扱いされるんだぞ! しかも天乃さん達がいちゃ、俺らもっと酷い目に遭う!」

「良いじゃん別に」

「よくねーよ! いいからさっさと出ろ」

「我儘だな〜」

「お前にだけは言われたくねーよ」


 ジャージを持って各々廊下に出る。


「そういえば、怜は?」

「れーちんさっきトイレに行ったよ〜」

「ふーん。ところで紅葉さん。私に抱きつかないでいただけますか。凄く歩きにくい」

「花恋だけが安心できる存在なの。我慢して。二人に囲まれているこの空間が眩しすぎて耐えられない」

「残念ながら今三人になったよ」


 トイレから帰ってきた怜が真っ直ぐ私に向かって歩いてくる。


「どこ行くの?」

「見りゃわかるでしょ。次体育だから着替えだよ」

「……ジャージ取ってくる」

「怜ちゃんの分も持ってきたから大丈夫だよ」


 優華って割と忍の才能があるのではないかと考える事がある。

 怜のジャージ取ってたの一切気づかなかった。


「ありがとう」


 怜は受け取ってすぐ私に近づいてきたので、引っ付いている紅葉を壁にして対になるように動く。


「花恋お願い、ウチを壁にしないで。そもそもどうしてウチがここにいるの?」

「悪いけど我慢して。私の為に」

「ウチの為にここから解放して」

「それ私がいつも考えていた事」

「誰も捕まえてないよ?」

「そういう意味じゃない」


 紅葉、これを機に怜はクールでもビューティーでもなく、ただの口数少ないアホのコミュ障って事に気づいてくれないかな。無理だよね。

 だって今の紅葉、キャパオーバーで考え事無理そうだし。


◇◆◇◆◇


 紅葉は着替えもまだだというのに息は荒れていて、活力がかなり減っていた。


「紅葉、着いたよ」

「へ……え?」


 紅葉は意識を取り戻すとそそくさと離れようとするので、それについていく。


「もう疲れた」


 紅葉は着替え終わると更衣室のイスに座り、燃え尽きた人みたいになっている。


「お疲れ」


 その隣に私も腰を下ろす。


「花恋のせいだよ」

「でも私は紅葉のおかげで助かったよ」

「そもそもなんで花恋は御三方と関わりたくないの? 向こうから寄ってきてくれるなんて幸せな事じゃん」

「うざったいだけだよ。迷惑。そもそも私は平穏に一人で過ごしたいからね」

「でもウチとはいるじゃん」

「紅葉は特別」

「嬉しいけど複雑。友達じゃないんでしょ」

「そうだよ」

「なんでよ」

「何でだろうね。私、一人だけ友達と思える存在がいるんだよ。その子、めちゃくちゃ性格悪くてさ、中学の時も酷い目にあった。でもね、友達辞めたくないんだよ。不思議だよね。そんな奴よりも紅葉の事を友達と呼ぶべきなのに。分かっているはずなのに、呼べない」

「友達に対する考え方が変わってるのかもね」

「そうかもね」


 紅葉はスマホを見て立ち上がる。

 私も立ち上がり、ロッカーを開いてメガネとサングラスを変える。


「前から思ってたけど、メガネつけなくていいの? 度めっちゃ強いやつでしょ」

「これ伊達だから」

「え⁉︎ そうなの⁉︎ 何で⁉︎」

「顔見られたくない」

「……そっか、なんかごめんね。誰でもコンプレックスの一つや二つあるもんね。言い訳になるけど、悪気は無かったんだよ」


 紅葉が気まずそうに顔を逸らすから、私は思わず笑みが溢れた。


「別に顔に傷があるとか、自信がないとかじゃないよ。ただ、見られると落ち着かないだけ」

「……なんだ、良かった。安心したよ。でもいいな、ウチは眼鏡だから」

「……普段してなくない?」

「まあね。してないと何も見えないってレベルではないから。でも、黒板はしないと見えない」

「大変だね」

「そうだよ。花恋も目は大切にね」

「私は遺伝的に問題ないから大丈夫」

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