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花の道しるべ  作者: 輝 静
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君らよりはまし

 ついにやってきました、やってきちゃいました文化祭。

 なんで調理オンリーの私まで執事服を着なくちゃならんのか。


「くうちん似合ってるよ〜」

「かっこいいよ花恋ちゃん」

「何一つ嬉しくない」


 でもまあ、男子に比べたらマシだろう。


「おい、哀れみの目を向けるな」

「私がどんな目してるかなんて分からないでしょ」


 今日は調理するから、ちゃんとサングラスヘアピンで休日スタイル。

 何人かに視力のこと聞かれたけど、ことごとく無視をしといた。


「皆、もうすぐで文化祭が始まる。外部の人も来るから、羽目を外しすぎないように楽しんでね。あと、シフト忘れないように」

「はい!」

「じゃあ皆楽しんで。シフト入っている人は準備始めて」


 客側からは見えないようにされた仕切りの内側で、ホットプレート五台を稼働させてパンケーキを焼いていく。

 優華と悠優目当ての客で初っ端から混むのは分かりきっているから、準備段階で作り始める。


「わー空瀬さん焼き上がり綺麗だね。やっぱ推薦されるだけあるよ」

「人の出来見る前に自分の見て。焦げるよ」

「え、わわ!」


 早速不安になってきた。


 チャイムが鳴ると一気に騒がしくなった。

 あらかじめ用意していたパンケーキもすごい勢いで無くなっていく。

 誰だよ席数多くしようって言った奴。世間知らなさすぎでしょ。


「誰か列整理手伝ってくれない? 人押し寄せすぎてやばい」

「こっちも忙しいから無理」

「一人でいいからお願い」

「だから無理って言ってるでしょ」


 忙しいというのに何を言い争っているんだか。

 まだ始まって三十分しか経っていないんだけど。

 ──あ、生地無くなった。


「空瀬さん丁度いい! 生地無くなったならこっち一旦手伝ってくれない?」

「空瀬さん抜けたら詰むからダメ!」

「じゃあ他の誰か」

「だから──」

「もう埒があかないからあんたいきなよ。少しくらい人いなくなったって問題ない」


 そして私はあんたの生地を使う。そうすれば作る手間が省ける。


◇◆◇◆◇


 結局、戻ってくる前に一日分の材料は全て無くなった。

 腕が痛い。


「いや〜ここまでとはな。天乃さんと安蘭樹さん効果まじやべ〜」


 最後のパンケーキを終えた瞬間、皆して椅子に座って腕を限界以上に伸ばした。


「午後シフト決めなくて正解だったね」

「悪いな空瀬、ずっと働かせて」

「君らが上がらせなかったんでしょうが」

「だって空瀬いないと成り立たないんだもん」

「頼りなさすぎるでしょ君ら」

「まあまあ。どうせこのあと天乃さん達と文化祭っていう俺ら血涙案件の羨ましい状況なんだからそれくらいいいだろ」


 何が羨ましいだ。私にとっては鬱陶しい状況が待っているだけだというのに。


「馴れ馴れしく話してるけど、私の事睨んで陰口言ってたの一生忘れないから」

「いや、それはその、まじ悪かった」

「本当、半年でよくもまあここまで変わったと思うよ」

「ああ、それは持無と和木(わき)のおかげじゃないか?」


 ……誰だか一切ピンとこない。持無はなんだか聞いた事ある名前な気がするけど、和木? は分からない。

 まあ知らなくて困る事はない。


「ふーん。で、何やったの?」

「まあ、天乃さん達の弱味を握って近づいたとかいう滓が言ったような事実はなくて、むしろ本気で付き纏われて迷惑そうだったって話。その話を聞いて、俺らも天乃さん達が認めた人なら唇噛み締めて我慢しようぜってなったんだ」


 なんでそっちの方向いくの。私を助けてあげようって動くべきでしょ。


「和木ちゃんからは意外と話しやすいよって聞いた。口と性格は悪いけどって」

「ああ、俺らも持無から性格が悪いし人の事覚えないって聞いたぜ」


 人の事性格悪いって触れ回るのも、本人の前で性格悪いっていうこいつらの方がよっぽど性格悪いでしょ。


「花恋ちゃん、こっちも落ち着いたから文化祭一緒に回ろう」

「嫌だって言ったら?」

「ゆーゆと腕組みだよ〜」

「はぁ。じゃ。性格悪い諸君らは唇を真っ赤に染めてなさい」

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