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花の道しるべ  作者: 輝 静
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結局コスプレ

 体育祭の勝利の熱がテストで一気に冷め切ったのも束の間、文化祭の季節がやってきた。


「しゃー! お前ら分かってるな! 絶対売上一位取るぞ! このクラスにはそれだけのポテンシャルがある! さあ、分かりきった答えを聞こうじゃないか! このクラスの出し物を!」

「去年は叶わなかった悲願、今年こそ叶えてみせる。持無、この答えを欲しているのだろう。メイド喫茶」

「ああ。よく言ってくれた心の友よ。てことで、俺らのクラスはメイド喫茶ということで──なんだ空瀬、お前の要望は聞かねーぞ」


 何手を挙げている私の発言を聞く前に却下しているんだお前は。


「メイド喫茶やってもいいけど私は絶対着ないから」

「お前は稼ぎ頭なんだからダメに決まってるだろ」

「じゃあメイド喫茶反対」

「安心しろ、お前一人どうこう言ったところで決定は覆らないから」

「絶対反対。そもそも去年の地獄知らないの? 今年は怜もいるから去年はまだ分散されていたのがここに集約するよ。私が稼ぎ頭っていうなら、私は接客に徹するってことでしょ。誰が主力として作るのさ」


 私の言葉に一人の女子が手を挙げた。


「今のを聞くとあたしもメイド喫茶反対かな。去年は空瀬さんが調理に徹してくれたからギリギリだけどどうにかなったのであって、その空瀬さんがいないとなるとちょっと厳しい。それに、飲食は回転率悪いし、わざと少し残して長居する人も多かったから」

「列整理もきつかったな〜。文句言われたりもしたし。今年はさらに伸びるって考えると、ちょっと荷が重すぎる」


 よっし、これで流れてくれるでしょう。やっぱ何でも言ってみるもんだね。


「分かったよ、じゃあ売上一位は諦めて、評判一位を狙うか!」

「おおー!」


 こうして、今年の文化祭は縁日に決まった。


 縁日になったのはいいけれど、去年に比べて遥かに準備が大変だ。


「今年はちゃんといるんだね」

「え?」

「去年はお迎えがあるとかですぐ帰ってたじゃん」

「うん〜。そうちゃんもう部活引退したからね〜。受験生だけど、推薦受けているから大丈夫なんだって〜」

「ふーん。あ、悠優それとって」

「はーい」


 推薦、もうそんな時期か。ついこの間外に出られるようになったと思ったのに、時間が過ぎるのは早いな。


◇◆◇◆◇


 明日は文化祭。今年は特に何も言われていないから、去年みたいなコスプレはしなくていいと完全に油断していた。


「そういえばうちのクラス、クラスT作っていなかったじゃん。せっかくだから今年の文化祭は各々浴衣を着ない? もし持ってない人いたら貸すよ。親戚が呉服屋でね、ちゃんと許可は取ってるんだ」

「めっちゃいいじゃんそれ! 縁日の雰囲気にも合ってるし!」

「僕持ってないんだけど、借り物を汚しちゃったり破損した時が怖いな……」

「大丈夫大丈夫、貸すのはあくまでレンタル品だからね。汚しても洗えばいいし、破損して取り返しつかなければ生地にするだけだから安心して。どうしても怖ければ新品を買ってくれたら嬉しい。安くていいの教えるよ」


 それならと、いつの間にか浴衣を着ることが決まってしまった。

 どうしてこうなるんだ。メイド服回避できたと思ったのに……。

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