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アトリ

第三世界一人旅。

初めての世界で地図も金もなく一人旅。ワイルドだろ? 

嫌だ! 俺は! 俺は! 誰か助けてくれ!

へへへ…… そんなこと言って助けてくれるはずないよな。

あーあ。現実逃避でもするか。

立ち直るのはまだ先でいいよね? 無理する必要もないし。

いつかアンを見つけ出せばいいさ。

でも…… やっぱり一人は嫌だな。怖いしつまらないし寂しい。

エクセル! ハック! アプリン!

誰でもいいから俺を導いてくれよ。

この際贅沢は言わない。きれいなお姉さんでいいからさ。

ははは…… 言ってて虚しくなるぜ。


ただ可能性もある。

第二世界でもエクセルは派遣されてきた。

だから今回だって異人監視役に妖精が姿を見せるはず。

これは願望ではなくこの世界の決まりごと。

だが一向に姿を見せない。

「誰か? 誰かいませんか? 」

未だに妖精どころか第一村人さえ見ない。

最悪第一モンスターでも構わない。誰か相手してよね。


願いが通じたのか遠くの空から光が反射する。

「お待たせしました。妖精のアトリです」

どうやらこの世界でも異人は監視の対象らしい。

余計なことをしないように妖精が見守る。

定期的に報告をする。それが妖精の役割。

第三世界に変わろうとも世界の仕組みは変わらない。

嫌でも受け入れなければならない。

分かっていたことで望んだことでもある。


「来てくれたのか? 俺は言右衛門。ゲンって呼んでくれ」

「はいアトリです。ご主人様の命令は絶対なので何でもお申し付けください」

可愛らしい天然の妖精。俺をご主人様と言い慕ってくれるが油断は禁物。

これは彼らモンスター側が手配した妖精。

裏切ることも頭に入れておく必要があるだろう。


「アトリ? 」

「はい! ご主人様のお世話役のアトリです」

「アトリね…… それはまずくない? どこかで聞いたことがある」

「それはご主人様の大切な大切な思い出。ですがアトリには何のことだか」

「それだけじゃなく…… まあいいか」

言い包められたような気がする。


「ではご主人様。どういたしましょうか? 」

「ここにいても仕方がない。出発しよう! 」

こうして新キャラ妖精のアトリと第三世界を飛び回ることに。


アトリはエクセルと違い可愛らしい妖精さん。

第一印象はどこか抜けた感じがする優しい女の子。

それに何と言っても命令に従う絶対服従の女の子。

元気なアトリに癒される。

「それでご主人様どうしましょう? 」

さっきからずっとこれだ。

「アトリは俺を導いてくれるんじゃないの? 」

「いえアトリはご主人様の命令を忠実に遂行する者です」

何だか大げさなことを言ってるが要するに俺任せって訳だ。

俺は俺で人任せだから気は合う。

だが行動には適してないコンビ。


「よしとりあえずどこに向かえばいいか教えてくれ」

第三世界はもちろん初めて。この妖精は精通してるはず。いわばスペシャリスト。

「さあアトリはそのようにプログラムされていません」

ロボットかよ。

「妖精ってロボットなの? 」

確かにエクセルはそれは電算能力に優れていた。

記憶力もずば抜けていて責任感もあった。頼れるお姉さんだった。

おっとまずい。まずい。今はアトリだ。


「へへ…… それは秘密事項です。これ以上詮索すればロボット法に触れます」

頭のいいフリをするアトリ。ロボット法って言ってますけど。

「それでロボットさん。一つ聞いていい? 」

「ロボットではありません! アトリはアトリです。ご主人様は意地悪ですよ」

「もううるさいな。それよりも製造年を教えてくれ」

こんな風に聞けばたとえお年を召した妖精さんでも答えやすいだろう。

「だからロボットではありません。私は見た目通りご主人様と同年代です」

嫌がりながらもきちんと答えるアトリ。本当に何でも答えるんだな。

ご主人様の命令には逆らえないらしい。そこまでしなくてもいいのに。

「もっと柔軟に。俺たち仲間じゃないか。それじゃまるでロボットだよ」

「だからロボットではありません! しつこいですよご主人様」

ロボット疑惑の妖精アトリ。


「それでお前は何歳なんだよ? 」

とにかく俺よりも上なのか下なのかだけでも教えて欲しい。

エクセルは百歳越えのお婆ちゃんだった。

俺はあまり気にしてなかったが確かに大先輩ではやり辛い部分も。

エクセルには無意識に甘えていた気がする。


                 続く

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