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アン危うし

緊迫の第二世界終盤。ドラゴン登場。

橋の番人ドラゴン対チームパイソンズ。


アン絶体絶命の大ピンチ!

「早く逃げろ! ドラゴンが迫ってるぞ! 」

声の限り叫び続けるハック。

「第三世界へ逃げれば追えはしない! 急げ! 急ぐんだ! 」

恐らくこのドラゴンは第二世界の番人。怒りを買えば罰が下ることになる。

流浪の民はドラゴンの機嫌を損ねたらしい。

果たしてハックの叫びは流浪の民たちに聞こえただろうか?

強風に加えドラゴンの羽音に雄たけび。これではすぐに掻き消されてしまう。


うわああ!

流浪の民は二手に別れた。

どちらかが囮になり片方を生還させる方法。

残酷のようだがこれが生き残る術。

続けて秘策に出る。

男が左右にくねくね走る。

その間に残りの者が第三世界へとたどり着いた。

これでいい。これで上手く行った。

だがまだ半分が彷徨っている。


「こっちだ! ついて来い! 」

男は捨て身で時間稼ぎをする。

仮に上手く行っても力尽きた男がドラゴンによって処刑されてしまうだろう。

食ったりはしないと思うがその保証はまったくない。

「こっちだ! こっちだって化け物! ふざけるな! 」

なぜかドラゴンは男を追いかけようとしない。

逃げ惑う一人の女性が標的に。

ロックオンされてしまっている。こうなっては逃げるなど不可能。


あれは…… アンじゃないか。なぜアンが狙われるのか? 

「アン! アン! 逃げるんだ! 」

だがもちろんここからでは届くはずもない。それに攻撃もできない。

急いでアンの元へ駆けつける。

だがそう簡単に助けられそうにないようだ。

俺たちが一歩でも近づけば奴は躊躇うことなく襲うだろう。

もちろんドラゴンが説得に応じるはずもない。そもそも言葉が通じない。

「アン! アーン! 止めてくれ! 」

いくら懇願したところでドラゴンでは何の意味もない。

虚しく響き渡るだけ。理解するほどの知能は持ち合わせてないだろう。


ピーピピー

アプリンが笛を吹く。一瞬反応したが無視。翼を広げ臨戦態勢になる。

もうダメだ。間に合わない。

「ゲン! アーン! エクセル! 」

ハックが誰でもいいからと適当に叫ぶ。

再びドラゴンは辺りを見回す。

ハックを見るが一瞬で興味を失う。


なぜか分からないがドラゴンの目は常に女性に向いている。

一番弱いものを狙う狩猟本能? それともアンに何かある?

「ゲン! アーン! アプリン! うおおお! 」

ハックはどうにかして気を引こうとしている。

だがもうこの手は通用しそうにない。


ギャア!

ギャア!

ついに牙をむくドラゴン。あと一歩のところで間に合わずにアンが襲われる。

いやあああ!

アプリンが叫ぶも無意味だ。

やってしまった…… あと少しと言うところでアンを守れなかった。

絶望のあまりその場で倒れ込む。

クソ! もうどうしようもない。アンを守ってやることが出来なかった。

「大丈夫みたいだぞ。アンは避けたよ」

ハックが気休めを言う。そんなはずがない。

世界最強の狩りの天才ドラゴンがしくじるはずがない。

もう見ていたくない。食われてしまったんだ。

ガリガリと耳に残る不快な音を立てて。

しかしここからはそんなおぞましい光景も不快な音もしない。


「本当に大丈夫なんだってゲン! 動けない振りして一瞬で避けた。

さすがはアンだぜ」

「本当かハック? 俺はお前を信じるぞ! 」

悲惨な光景が広があると思いきやハックの言うようにアンは逃げ果せた。

幼いころから逃げ足だけは早かったからな。ドラゴンは騙されたに違いない。

「ははは…… よくやったぞアン! 」

アンは俺たちにはまだ気がついてないようで必死に第三世界へ抜けようとする。


「まずい! ドラゴンが態勢を整えやがった。どうするゲン? 」

あと少しで第三世界へと言うところでドラゴンは再びロックオン。

何て執念深いのだろう。アンに一体何の恨みがあるんだよ?

「まずいもう時間がない! 」

翼を広げた。

化け物に襲われ無我夢中で第三世界へ逃れようとするアン。

だが橋の終点にはもう少し。

百メートルはある。アンなら走り切れそうだが。

化け物の恐怖から転んでしまう。

うわ! もうダメだ!

目を覆うしかない。


「こっちだ化け物! 俺様が倒せるかな? 」

ハックが石を投げ気を引く。

怒り狂うドラゴンは一瞬だけ目を向けるがすぐに元通り。

依然アンのピンチに変わりはない。


                 続く

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