妖精さんどこ?
謎の商人からレアアイテム愛の言霊をゲット。
ウサギ耳のお返しだそう。さすがは俺。善行はするものだ。
エクセルのいない今俺はリーダーとして皆を引っ張って行く立場。
一人…… 一匹いなくなっただけでこんなに違うものなのか?
緊張とプレッシャーで押し潰れそう。
おっと弱音を吐いてる時ではなかったな。
もちろん愛の言霊さえあれば楽勝。
アンを見つけるだけでいい。
雰囲気も何も関係なくアンが俺に気づいてくれればいい。
レアアイテムの力で目標を達成する。
ドラゴン出現。
恐らくドラゴンは第三世界へ行く者を阻む最後の砦。
このドラゴンを倒さなければ無事に第三世界へたどり着けない。
だがなぜか俺たちに興味を示さない。おかしなこともあるもんだ。
勇者である俺たちが無視されるなんて。
「どうするゲン? 」
「とにかく後を追うぞ! 」
もう頼れるエクセルはいない。俺が決断するしかない。
だがいくらリーダーでも修羅場を潜り抜けた経験は僅か。
まだハックの方が経験豊富で適性がありそうだ。
でもそのハックはあまり考えると言うことをしない。
勝手に突っ走ってしまう癖がある。
ハックのコントロールも俺の大切な役目。
「待って! ここは一旦退却した方がいいと思うの」
アプリンの冷静な判断。いつもなら俺だって従うがドラゴン出現は普通じゃない。
「ドラゴンだって不死身じゃない。必ず弱点があるはず」
「アプリンの気持ちは分かるよ。でもここで逃げ出したら後悔する」
「ハックお願い! 」
アプリンが同意を求める。もう三人だから一人味方に付ければ数的優位に立てる。
もちろんすべて多数決で決まる訳ではないが。
「悪いな。俺もゲンと同じだ。ドラゴンを狩りたいんだ! 」
ハックに芽生える狩猟本能。
「そんなハック。私の言うことが聞けないの? 」
泣き落としでハックに迫る。
「済まねえ。男にはやらなければならない時があるのさ」
非情なハック。言い方を見ると格好つけてるのが分かる。まだ余裕がある?
「分かった。でも無理はしないように」
三人で力を合わせドラゴンを倒すしかない。
せこくドラゴンの隙を突いて逃げるのも悪くないが思いっ切り当たるのが勇者。
アプリンには分からないんだろうな。
「さあ急げ! 」
三人は暴言カードのみでドラゴンに立ち向かうことを決意した。
だが果たしてドラゴンに通じるだろうか?
せめて伝説のドラゴンソードでもあれば別だがこの世界には存在しないだろうな。
俺たちは言葉の暴力でここまで来た。だから今更戦い方変えない。変えられない。
ああやっぱりエクセルがいないと不安で仕方がない。
パックの暴走も俺のワガママもアプリンの相手にも不可欠なエクセル。
どこ行ったんだよエクセル。今妖精さんの力が必要なんだ。
どうか俺たちを導いてくれ!
「エクセル! エクセル! 」
もはや叫ばざるを得ない。
情けないことにまだエクセルに頼ろうとしている。
ギャア
ギャア
翼を広げ突撃態勢に入ろうとするドラゴン。
鳴き声がうるさくて他の音が聞こえない。
「いやあ! お願い! 」
橋の奥から悲鳴がする。
これはまさかドラゴンにロックオンされてる者がいるのか?
まさかそれは……
「アプリン? 」
「急ぎましょう。いざとなったらハックが食い止めてくれるでしょう」
アプリンは無茶を言う。奴が本気にしたらどうするつもりだ。
ドラゴンは翼を広げ第三世界へ逃げる者を恐怖に陥れその様を楽しんでいる。
そう見えるだけでただの狩りの仕方なのだろうな。だが残酷さは消えやしない。
「あそこに人影が! 」
ハックは元盗賊だけあって目がいい。俺にはちっとも見えないが。
「七人は居る。まさか奴らは流浪の民? 」
ハックはついに仲間を見つけたらしい。
それは同時にアンを見つけたことになる。
見つけたはいいが絶体絶命のピンチ。
嬉しいんだか悲しいんだか。
もちろんこの危機から切り抜ければ目的は果たせるので大ラッキー。
だがドラゴンを攻略して黙らせなければ俺たちの身さえ危ない。
「早く逃げろ! ドラゴンが迫ってるぞ! 」
声の限り叫び続けるハック。
「第三世界へ逃げれば追えはしない! 急げ! 急ぐんだ! 」
恐らくドラゴンはこの世界の番人で勝手に抜ければ罰が下ることになるだろう。
異人集団である流浪の民をドラゴンは決して見逃してはくれない。
続く




