暗闇の光
エクセルとハックの意見が割れいつの間にか険悪なムードに。
「まあまあ二人とも仲良くな」
リーダーとして不和は見過ごせない。俺が何とかしなくては。
「ここで足止めは嫌だぜゲン」
「ワガママを言うなよハック。アプリンはどう思う? 」
「ごめんなさい。洞窟は無理です」
アプリンは洞窟の空気も臭いもコウモリも暗さもすべてダメだと。
「あんた馬鹿じゃない? 誰だって苦手よ! 」
「妖精なら問題ないと思いますよ」
アプリンが真っ向から反論する。
「まあまあ。ハックも何か言ってくれよ」
「もう俺はどっちでもいい。洞窟も楽しそうだと思うし好きにしてくれ。疲れた」
アプリン派のハックは刺激しないよう発言。
「ゲンが決めなさいよ。リーダーなんだから」
疲れていつにも増して機嫌が悪い妖精さん。
「もういいんじゃないかな。今日も遅いし。また明日から」
「ゲンちゃんがそう言うなら私も従う」
アプリンが説得に応じるとハックも続く。
これでどうにか揉めごとが収まった。
パンフレットを元に近くの宿へ。
『ようこそ暗闇の光へ』
随分お洒落な名前の宿。雰囲気があっていい。
「いらっしゃいませ。暗闇の光へようこそ」
「あの…… 何か出ませんか? 」
失礼だがお客は俺たちだけのようだし念の為に聞いてみる。
「はい当宿では最高級の料理でお客様をおもてなししております」
これは期待が持てそう。だが話を逸らしたのも事実。大丈夫かな?
「もうお外は真っ暗ですがどうします? 」
脅しをかける女将さん。そう言われては従うしかない。
「お願いします! 」
「はい一組四名様。ご案内! 」
テキパキと荷物が運ばれていく。
これはサービスは期待できそうだ。
地獄の間に通される。
洞窟体験の客には好評の宿。
まさか地獄の間で何が?
ワクワクとドキドキが入り混じる。
お楽しみは後に取っておくとしてまずはお食事から。
暗闇の光特製料理が運ばれてくる。
最初は薄暗闇で。徐々に変化していくそう。
地獄の間とはどう言う意味だろう?
黒糖が一本。
この地域限定でお土産にももってこいだそう。
これで腹ごしらえをしろと言うことらしい。
続けてサラダ。
魚介類をふんだんに使ったシーフードサラダにイカスミソースで仕上げた一品。
続いて一気に二品。
チキンソテーにブラックペッパーを塗したもの。
宿自慢の黒焦げグラタン。
この頃になると部屋はほぼ真っ暗。寂しい感じがし四人もいるのに孤独を感じる。
スプーンとフォークを落とさないように慎重に食す。
グラタンはやけどしないように息を吹く。
難しいようなら隣の部屋で控える専門のお爺さんに吹きかけてもらうことも可能。
メインディッシュは黒牛のステーキ。
黒パンと一緒に。
果物はブラックベリーのアイス。
これで完成。
暗闇尽くし。
「いかかがでしたか? 」
「美味しいんだかまずいんだかよく分からない複雑な感覚です」
「そうですか満足いただけましたか」
女将は勝手に話を進めるがまったく噛みあってない。
美味しいとも満足したとも言ってないのに……
「朝食は黒焦げパンとノリにチョコケーキとなっておりますのでお楽しみに」
随分とマニアックな品々。
もう少し健康に気遣ったものが良いんだけどな。無理な注文か?
ここらは店自体が少ないので選んでなどいられない。
「そうそう。もう一晩お泊りでしたら当店自慢の品をご用意しますが」
自信満々の女将さん。これは期待が持てそう。
「ちなみにどのようなもの? 」
エクセルが興味本位で聞く。
「闇鍋となっております」
うおおお!
ハックが唸る。本当に理解してるのか疑問。
「まさか変なものを入れる気? 」
エクセルの鋭い追及。
「ははは…… 至って普通の食材です」
「そうですよ。ねえ女将さん」
仲居さんと女将さんがごまかすように早口になっていく。これは相当怪しい。
「それを聞いて安心したぜ」
疑うことを知らないハックは闇鍋に期待を寄せる。
「皆さんにはおひとりずつ持ち寄ったものを入れてもらいます。
そう言うルールですのでお忘れなく」
うわ…… 危険極まりない。ここは遠慮するしかなさそう。
お食事を終えお待ちかねのお風呂タイム。
ハックは大喜びで先に行ってしまった。
混浴だそう。
あれ? これって前回もそうだったような……
暗闇の光名物の闇風呂。
服を脱ぐとそこは真っ暗でした。
いや下ネタな訳じゃない…… こともない。
風呂は暗くて誰が誰やらまったく分からない状態。
これではモンスターに襲われたらひとたまりもないな。
さすがにこれはまずい。
どうやら俺たちは引き返せないところまで来てしまったらしい。
続く




