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追跡される追跡者

流浪の民に精通してるペドに会いに霊山へ。

一行は南進。

どうもペドが気になる。良い噂を聞かない。

果たして俺たちは呑気に会いに行っていいのだろうか?

とんでもないトラブルに巻き込まれそうな嫌な予感がする。


「ねえあの人の話信用できるの? 」

「さあね。でもこのバナナの皮に懸けてペドを見つけ出さないと。

まあ俺はあの爺さんの方が当てにならないけどね」


霊山の歴史は古い。

この土地の者にとって神聖な山で遥か昔彼らの祖先が生まれた場所とされている。

それを裏付ける古い文書が数点出土したとかしないとか。

だからこそ神聖視していて土地の者以外を決して近づけないようしてるそう。

だが他所から商人たちがやって来るようになって信仰は廃れて行った。

現在はお年寄り以外は信じようともしない伝説の山。それが霊山である。

それこそモンスターが支配するまでは立ち入り禁止の山であったと言う。


「うーん。霊山は本当にこっち? 」

「大丈夫だって。仙人みたいな人だぜ。嘘を吐くものか」

ハックがなぜか庇う。

「とにかく行きましょう」

エクセルが疑り深いのも知ってるしハックがいい加減なことも理解してる。

アプリンが可愛いのだって見たら分かる。

だからと言って放っておくと取り返しがつかないことに。


霊山。

この辺り天狗が出るから気をつけるようドラスト・キヨシのお姉さんに言われた。

買い物ついでにペドについても聞いてみたが気味が悪いの一言。

なぜか女性から嫌われるペドの裏に隠された真の姿が気になる。


目の前に広がる霊山。そこへ向かう山道を少し登ると例の男の姿があった。

語られた特徴と一致する。恐らく間違いないだろう。

何か訳があってこんな寂しいところに来たのか。不自然な気もする。

「やっぱりあいつじゃないか? 」

ハックが確信。話し掛けようとしたので止める。慎重に慎重に。

奴の後を追いかけ様子を見ることに。

貴重な情報源。今下手に話しかけて機嫌を損なわれては困る。

ゆっくり出るタイミングを見測る。


するとペドはすぐに怪しい行動をとる。

後を振り向いたと思ったら左右を確認。

それを何度も繰り返す。

神経質。異常なほど警戒心が強い。どうしたのだろうか?

俺にはとても真似できない警戒ぶり。この男は何を恐れている? 


「ねえ前を見て。誰かいる」

今まで大人しかったアプリンが口を開く。

「女の子がペドらしき男の前を歩いている」

アプリンはこの手の男が苦手だと言う。

俺はさほど気にならないが珍しくエクセルも同意する。

「それは心配だ。なあアプリン? 」

ハックはもうアプリンに骨抜きにされされるがまま。

昨夜の俺を見てるみたいで嫌な気分。

もしアプリンが悪意を持って接したりモンスターの手下だったらぞっとする。

やはり正体が判明するまでアプリンとはもう少し距離をとるべきだろうか? 

これは俺が単にハックに嫉妬してるから来る感情? 

でもやっぱり気になるんだよな。


女の子の後をつける怪しい男。その後をつける俺たち。

何だかおかしな展開。

振り向いた時に垣間見えたペドの不気味な笑顔が頭から離れない。

あれ? 登りがきつくなってきた。

「あとどれくらいで頂上? 」

計算の得意なエクセルがいるとこう言う時に助かる。

「初めてだから…… 恐らくあと一時間も登れば頂上付近でしょうね」

エクセルは確認に頂上まで飛んでみると言うが尾行に気づかれては元も子もない。

浅はかなエクセルの案を却下する。


徐々に少女と男の距離が縮まっていく。

果たして少女はこの危機を乗り越えることが出来るのか?


きゃあああ!

ついに後ろに迫る男に気づき悲鳴を上げる。

まあ当然か。長いこと後をつけていた怪しい奴。あれ…… 俺たちもか。

エクセルが助けに向かおうとしたので止める。

「ハック! 」

しかしアプリンの掛け声でハックが動き出す。

まるで番犬のように。

「うわ! 何をするこの野郎! 」

男が怯む。その隙にアプリンが保護。


「大丈夫? 」

「お姉さんたちは誰ですか? 」

逆に不審に思われたらしい。

まあそれは仕方ないこと。

俺だってどう言い訳すればいいか迷ってるぐらいだからな。

彼女からしたらどちらも不審人物に変わりはない。


                 続く

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