キレキレの妖精さん
昨夜のこともありエクセルとアプリンが一触即発状態。
特にエクセルが不機嫌で俺にまで当たり散らす。
案内役のエクセルにすべてを任せ俺たちは……
ハックを先に行かせてからアプリンと手をつなぐ。
いや…… 俺じゃなくてアプリンが勝手に。
「エクセル本当にこっちでいいの? 」
と言うよりもどこに向かうにしても適当に進むしかないが。
「うん? 」
睨まれた上にため息で返される。
急いで手を放す。危ない危ない。
「だって不安なもので…… 」
ドンドン不機嫌になっていく妖精さんに恐怖する。
「もう少し行くと大きな町が見えてくる」
「そこで聞き込みだねエクセル? 」
気分を害さないように慎重に慎重に。妖精さんの扱いは大変だぜ。
「だったら二組に別れましょう。私はゲンちゃんと」
アプリンが俺が作った良い雰囲気をぶっ壊す。
「ちょっと勝手に決めないでよアプリン! 」
事あるごとに言い争いを始める困った二人。
いい加減もう少し仲良くなってよね。
これでは進むものも進まない。
「俺はアプリンと…… 」
遠慮がちなハック。
「それが良いと思うの。攻撃面でも捜索面でもバランスがいい」
エクセルの計算によれば適性があると。
「冗談じゃない! 私はゲンちゃんと」
譲ろうとしないアプリン。
「よし公平にジャンケンで決めようぜ」
ハックの意見に従う。
結局俺は妖精さんと組むことになった。
うわ…… 機嫌が悪いエクセルを宥めるのが面倒だ。
これなら単独行動にすれば良かったかな。
チーム・パイソンズは再び解散の危機へ。
皆、不満が貯まりだしてきている。
特にエクセルとアプリンの関係が悪化の一途をたどっている。
リーダーの俺が何とかしなくて。
「ではここで別れましょう。一時間後にこの場所で」
二組に分かれて聞き込みを行う。
まずはおばちゃん集団。
どこにでもいるおばちゃんたち。
何を話してるかと思いきやどのモンスターが怖くて危険か。
「やっぱりあの羽根の大きなのが苦手」
「私はどの方も話してみれば紳士的でいいと思いますよ」
井戸端会議に花を咲かせてるところ悪いが遮る。
「あの…… 」
「あら旅のお方。何か御用ですか? 」
眼鏡を掛けた痩せ気味の女性が対応する。
「この辺りに野生のツチノコを見ませんでしたか? 」
「ほほほ…… 何をおっしゃってるのかしらこの人ったら」
笑われてしまった。せっかく勇気を振り絞って謎の生物の行方を探ったのに。
「ほら違うでしょう。いい加減ふざけるのはよしなさい! 」
朝から不機嫌なエクセルに叱られる。
「ははは…… 冗談です。実は我々は流浪の民を探しておりまして」
「あら大変。誰かご存知の方おりませんか? 」
「さあ…… 」
皆が手を広げる。
「ごめんなさい。誰も知らないそう」
やはりそう簡単には行かないか。
空振りに終わる。
次へ。
町は活気づいてるがそのほとんどが行商人。
町から町へ。村から村へ。渡り歩いている。
定住して店を出してる者もいるとのこと。
だがそのほとんどはよそ者。
俺たちと同じと言う訳だ。
「いらっしゃい。この皮はどうだい? 安いよ」
毛皮を売りつける悪徳商人と思いきやただのバナナの皮。これはバナナの皮商人?
「黒っぽいけど」
「お目が高いお客さん。どれでも値段は同じ。好きなだけ買って行きな」
どう考えても食べた後のゴミ。
俺を田舎者だと思ってこんなものを売りつけるとは何て奴だ。
「遠慮します」
言えた。旅をするようになり強くなった気でいた。
だがいざ断るとなると気分を害するのではとはっきりと断れずにいた。
しかし今、躊躇なく断われた。これは俺にとって大きな一歩。成長したと思う。
「ねえお客さん。いいじゃねえか」
しつこく迫るので追い払う。
「ねえあなたこのゴミは売り物じゃないでしょう? 」
交渉上手のエクセルが諭す。
「いや…… お客さんには参ったな。ははは…… 」
もう無理矢理勧められることもないだろう。
俺には不機嫌なエクセルがいる。これだけでも寄ってくる者はいないだろう。
俺がこうならあの二人も危ないな。
特にハックが意外にも押しに弱いから。
アプリンに格好いいところを見せようと張り切って暴走してしまうかも。
ハック気をつけろよ。
「ねえ私たち流浪の民を探してるんだけど」
エクセルが圧を掛ける。
「俺は知らないな…… ははは…… もういいかい妖精さん? 」
「妖精さん? 」
これはまずい。エクセルが切れるか?
妖精を馬鹿にする発言。俺だって思うだけで直接言いはしないのに。
それだけでこの男は処刑もの。
エクセルの鋭い視線が刺さったまま。
しがないバナナの皮売りのおじさんは絶対絶命のピンチに陥る。
この状況では俺の力ではどうすることも出来ない。
ただ様子を見守るのみ。
続く




