エクセルと合流
第二世界突入。
監視役として案内役として妖精が遣わされた。
名前をエクセルンと名乗っていた妖精は何とあのエクセルだった。
俺たちを騙してからかっていたらしい。性格悪いな。
これでようやくメンバーが揃った。
再集結したアン捜索隊は行動を開始する。
「出発! 」
「ちょっと待って! 俺、荷物全部置いてきた。だからさ…… 」
少々情けないがエクセルに頼ることにする。
俺のお世話役なんだから当然だよな。
ただ機嫌が悪いと無視される。
「かわいい妖精さん。お願いしますは? 」
とんでもない要求をする。ここで拒めばこれからの旅が困難になる。
だが言う通りにすればつけあがってこの後がやり辛くなる。
どちらを取ればいいんだ?
ハックに相談しようと振り返るがどこにもいない。
奴め面倒だと隠れたな。逃げ足だけは早いんだから。
以前もそれで酷い目に遭ったもんな。
「かわいい…… 」
意を決して言うが詰まってしまう。これで良いはずないよね?
かわいい妖精は別にそう思わない訳ではないけど。どうも恥ずかしい。
それに自然と言葉にするもので決して強要されるものではない。
支配しようとするから困るんだよね。
「あら選択の余地はないのでは? 」
うわ…… 怖いな。ここで意地を張る必要はない。仰せのままに。
「かわいいアンさん。私と結婚してください! 」
ようやく言えた。アンに会った時には一言も思いつかなかった愛の告白の言葉。
今ついに閃いた。忘れる前にメモしておこう。
「あらあら前回恥ずかしがらずに告白してれば上手く行ったかもしれないのにね」
鋭い指摘。それは俺も思ってるから言わないで欲しい。
「どうしたの言えない? 待ってますよ」
強要する悪魔だか天使だか妖精だか。
仕方ない。旅が快適になるなら。
「かわいい妖精さんお願いします! 」
大量の汗を手で拭い恥ずかしさを堪える。
「もう一度! 感情が全然籠ってないじゃない! 」
こんな風に文句ばかりの妖精がかわいいはずがないじゃないか。
見た目に反して俺を陰からコントロールしようとする恐ろしいエクセル。
「私のかわいい妖精さん。どうかお願いします! どうか! 」
「ちょっと気持ち悪かったけど良いでしょう」
そうやってようやくワードフォルダーとカードとかばんを渡される。
モンスター撃退セット。これで俺はまた世界最強に戻れる。
カードは前回のまま残っていた。
これは大きなプラス材料。
アイテムも新たに揃え直す必要はなさそうだ。
「ほらこれも使って…… 無駄遣いしたらすぐ取り上げるからね」
太っ腹な妖精さんは何とエンゼルカードまで。
相当嬉しかったのと信用しているのがよく分かる。
腹の中に入れてたようでまだ乾いてない。ぐちゃぐちゃで気持ち悪いんですけど。
「あの…… 俺のもお願いします」
いつの間にか戻って来たハックが手を揉む。本当に調子がいいんだから。
「ほら合言葉は? 」
「かわいい妖精さん。どうかお願いします」
笑顔が気持ち悪いと言われそうだがご機嫌なので用意してもらえる。
意外にも煽てられやすいエクセル。
こうしてようやく準備が整った。
後はアンたちを探し出すだけ。
どこにいるか皆目見当がつかないが。
第二世界に入ったばかり。
右も左も分からない状態。
それはハックも同じ。
何度か来たらしいが教えられない上よく覚えてないと情けないことを言う。
結局エクセルに頼ることに。
今エクセルは地図を広げて行き先を決めているところ。
「さあこっちよ。遅れずについてきなさい」
こうして案内役の妖精さんの後について行く。
妖精さんを怒らせないように気をつけるのが俺たちの目標。
今のところのつまらない目標だが。
「こっちに町があるみたい」
エクセルは町のある方向に飛んでいった。
「うわ…… 待ってくれよ! 早いよ。早すぎる! 」
行動が早ければスピードも速い。
俺はついて行くがハックが遅れる。
まったくこんな時に何をしてるんだか。世話が焼ける。
俺は旅をしてきたがハックは仲間と一緒に隠れ住んでいた。
そんなハックにとって歩くことは地獄の苦しみ。
それに加え脱獄で力を使い果たしてもう歩けないそう。
続く




