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エクセルン?

ボケっとしてると視界に何かが入って来た。

虫だな。何かとても懐かしい気がする。


「お待たせしました。私がこの第二世界を案内する妖精のエクセルンです」

元気な道案内人の妖精が姿を見せる。

「初めまして。俺は言右衛門。ゲンでいいよ。

この物語の主人公で恐らく世界を救うはず。

優秀な冒険者だから。皆から期待されて困ってるんだ。ははは…… 」

「冗談はそれくらいで」

あまりに冷たい妖精さん。俺の何を知ってると言うんだ?

威厳がないから舐められてるのかな?

これでも第一世界では大活躍したんだから。


それにしても妖精ってどれも似たようなものだ。

顔はほぼ同じだし。性格もエクセルに近い。

まさか妖精ってプログラムされたロボットとか?

まさかね。でもあまりに似過ぎている。


「ねえ。君に似た兄弟とか親戚に似てる妖精は居ない? 」

「いえ…… 私は一人っ子ですから。ほほほ…… 」

一人っ子って言い張るが妖精だろ? 当然いくらでも兄弟がいるはずだ。

勝手な想像だけどね。


「ちなみに何歳? 」

「あなたと同じ小学生」

うおお…… 完全にばれる嘘を吐きやがる。

小学生のはずないだろう? どう見ても二百は超えてる。

エクセルを基準にするとそう言う結論になる。

これは思い切って指摘すべきか?


「俺はもう十六なんだけどな」

「そうですか。だったらそれでいいです」

デリケートな部分を上手く捌いてるところを見ると相当な年だな。

指摘するのはよそう。危険過ぎる。


「怒ったりはよくするの? 」

豹変された時が怖い。エクセルもたまに、時々、頻繁に。

「いえ穏やかですから。怒らせるようなことしなければ決してそのようなことは」

「そうか。うーん」

「ではそろそろ出発しましょうか」

張り切り過ぎの妖精さん。ハックの存在を忘れてるよ。


「ちょっと待ってくれよ! 俺にも自己紹介させてくれよ! 」

ハックは堪らず前に出てアピールする。

「いえ結構です。流浪の民でピッキングの技術に長けたハックさんですよね」

妖精は引継ぎを受けたらしい。

「へへへ…… そんなに優れてるかな俺って? 」

「はい。かなりのものだと。それから言右衛門さんも悪口が得意だとか」

「そうかな…… 」

「はい。それから浮気癖があって妖精にまで手を出してると評判です」

「いや…… ははは…… 褒められてる気がしないんだけどな」

「へへへ…… 細かいことはいいんじゃないかゲン。俺は気持ちいいよ」

「ふふふ…… 馬鹿なんだからもう…… 」

俺たちが気持ちよくなってるところで妖精さんが本性を現す。


「うん…… どうしたの妖精さん? 」

「緊張してるんだろ? へへへ…… いい気分だぜ」

「馬鹿じゃないの二人とも? 私は正真正銘のエクセル。

悪ふざけもこれくらいにしましょう。日が暮れちゃう。またよろしくね」

どうやら俺たちをからかっていたらしい。

どこか似てるなと思ったらやっぱりエクセルだった。

一ヶ月ぶりの再会を果たす。

エクセルがふざけるから感動の再会とはならなかった。


「エクセル何で君が? 」

「だから無理矢理呼ばれたの。手が余っていたのは私だけだから。

せっかく気持ちよく眠っていたところを叩き起こされてまたあなたたちのお世話。

感謝してよね。最初は無視してたんだから」

面倒臭いと嫌々な態度で迫る。

「本当に体は大丈夫なのエクセル? 」

「心配しないで。疲れはバッチリ。でも二世界連続は感情に少なからず影響が。

妖精特有の病気にかかりやすいって話だからその時はサポートお願いね。

「サポートって具体的に何をすれば? 」

「私を処分してくれればいい。何てね…… 冗談だから気にしないで」

何となく前よりも影がある感じに見える妖精さん。気のせいかな。


「それにしてもよくあの刑務所から脱出したわね。やっぱりあんたでしょう? 」

「へへへ…… 」

ハックの手癖の悪さがようやくプラスに働き脱獄に成功。

もう二度とあんな経験したくない。

「しょうがないわね。また探すとしましょうか。姫探し開始よ! 」

三人揃い俄然やる気が出て来た。それはハックも同じのようだ。

不安だった第二世界も仲間がいれば怖くはない。


「出発! 」


                 続く

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