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禁断のモンスター料理

ドンテ六階・怪しげな館。

「分かるんですか? 」

「モテないんだね。うん分かるよ」

「いやそうじゃなくて…… 」

「よし教えてあげよう。東に向かいなさい。さすれば思い人現れるであろう」

胡散臭いインチキ爺の本性が現れた。

「ありがとうございます。でももう一つあるんですが」

「ああいい。私が当てたあげよう」

男は調子をこく。

「うーん。ずばり作り過ぎた。何でも過ぎるのは良くない」

「いえ違います」

何を言ってるんだろう? まったくいい加減なんだから。

「溜め過ぎた? 」

「はいその…… 」

「言わずともよい。当てよう。カードをため込んでお宝が膨れ上がりそう? 」

やはり分かったか。単純だったかな。


「そうじゃないかなと。初めて当てたよ。ははは…… 」

「そうなんですよ。だから困ってるんです。どうすれば…… 」

「君はラッキーだ。私は今無性に人助けがしたくなってね。

よし百枚一万ドットで買い取ってあげよう」

「でも金ないしな…… 」

「よしならばブツブツ交換だ」

あったのはウサギの耳ぐらいなもの。

「おお、これは幻のレアアイテム。本当にいいのかい? 悪いね」

「ありがとうございます。ありがとうございます! 」

ウサギの耳は少しもったいないがゲームオーバーを回避できるなら安いもの。

それに俺にはもうあまり必要ないし。

どうにかこうにか百枚のカードを処分した。

「もうため過ぎないでね」

「ははは…… 分かってますって」


ウサギの耳をつけた店主がさっそくふざける。

「ご注文はウサギですか? 」

一応は女体化してるので気持ち悪くはない。

「お酒で」

「いいよ。サービスだから持って行きな」

モンスターの血の隣にあるワインを一本。

ボジュレーヌーボーの解禁らしい。


宿に戻る。

あれ…… 二人ともまだ帰って来てないや。

バッグの中身も整理できたし後することは…… 

特にないし帰ってくるまで眠るとするか。


うん? もうこんな時間か。

二時間は経ったはず。もう辺りは真っ暗に。

まだ二人は戻らない。クエストがどうとか言ってたけどどうせ言い訳でしょう。

待てよ…… まさか俺を置いて二人で食事にでも行ったか?


ドンドン

ドンドン

エクセルが戻って来たのかと思ったら見知らぬ男が姿を見せる。

「手紙だよ」

どうやら郵便屋か通称ドールと呼ばれる代筆屋辺りだろう。

「これは何? 」

「あなた様宛に預かっていた手紙でございます」

村からの手紙が届いた。あれ…… なぜ滞在場所を知ってるんだ?


母から早く帰ってくるよう督促があった。

どうやらあの押し入れの件が完全には片付いてないのだろう。

それから式の準備について。

まったくどれだかせっかちなんだよ。

まだアンの居場所が判明してないと言うのに。

返信しておくか。


《お父様お母様お元気ですか。私もこちらの生活に慣れてきたところです。

また手紙を書きます》


うんこれくらいでいいだろう。

立派になったと思われるかな?

念の為に付け足しておくか。


《追伸。押し入れは決して覗かないでください。

我が村の英雄。言右衛門より。または名もなきツル》


これだけ念押しすれば問題ないだろう。

もう一度寝るとするか…… いやここは思い切って食事に出かけるとしよう。

今日は何を食べるかな…… 肉か魚か? 

あっさりしたのも良いがやはりここはこってりしたものが良いだろう。


ウサギハウス…… は止めておこう。

妖精の館…… これも興味あるんだけど今は違う。

全世界食堂…… 悪くない。でも食堂はお洒落からほど遠いしな。

どれも決定打に欠ける。


おっとここが良いだろう。

『モンスターハウスしん』


「いらっしゃいだしん」

いかついタコ坊主が姿を見せる。

「お邪魔しました」

「あわわ…… 行かないで! 行かないで! おいしいからしん」

語尾にしんをつけておもてなしをする独特のスタイル。

見た目はいかつくて怖そうだが面白そうな人だ。


取り敢えずワインをもらう。

亭主特製ワインと書かれた看板メニューで味は濃い目だが特におかしな点はない。

「どうですかしん? 」

おお…… お客に感想を求めてくるタイプ。

「ここはおひとりで? 」

話を逸らす。

「そうだしんよ。たまにメンバーの女の子が手伝ってくれる時があるしん」

メンバーの女の子? 気にはなるが…… アンだったりしないか。

うーん。聞いてもいいがこのたこ坊主あまり信用できないしな。


「ごめん。トイレどこ? 」

とりあえずトイレに逃げる。

ふう…… あれよく考えたら金持ってないや。

エンゼルカードもないし。

このまま逃げちまおうかな。

だがさすがに勇者がそんなことする訳にはいかない。


「遅かったしんね」

心配してくれたようだ。

ワインを一口つけただけなのにもう半分になってる。

「お食事はどうするしん? 」

「モンスター尽くしでお願いします」

食ってやる! 後のことは知るもんか!

「モンスター尽くし入りましたしんね」

ご機嫌だ。

さあ何が出てくるかな。


                続く

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