諦めからの現実逃避 ドンテの希望
現在地・ドドド…… ドンテ裏。
問題発生!
押し入れ爆発警報。
それを防ぐには押し入れを整理すること。
だが現実問題故郷には戻れない。
そうすると今出来ることと言えばバックの中身の整理ぐらい。
「ちょっと待って! 俺どうしたらいい? 」
もうエクセルに泣きつくしかない。情けないが今は緊急事態。
「仕方ないわね。そのバックの中身を処分しなさい」
ようやくドンテに到着もバックと押し入れ問題で頭が一杯。ちっとも嬉しくない。
あーあやってられない。もうよくない? 俺は充分戦って来たよ。
どうせアンだって俺のこと忘れてるし。おまけの村人だってもう慣れて来たろ?
無理して連れ戻さなくたって……
失敗は誰にでも。今回は運が悪かっただけ。
そろそろ故郷に戻る身支度でもするかな。
「もういいよ。疲れたよエクセル。そろそろ潮時さ」
旅の疲れとバック容量問題でこちらがキャパオーバー。
諦めモードに入る。
「何を言ってるの? 今さら諦める気? もうすぐなのに! 」
「だから面倒臭いんだって。なあハック。その辺でハッキングして金儲けしよう」
「おいふざけんな! まだ始まったばかりだろうが! 」
ハックは最後まで面倒見てくれるらしいが今更どうでも良い。
「説得はもういいよ。ここで楽しく暮らそう」
「ダメだわ。この人諦めモードから現実逃避モードに移ったみたい」
「嘘だろ? 勘弁してくれよな! 」
「そうよゲン! あなたが失敗すれば弟さんが行かされるのよ」
エクセルが痛いところを突いて来る。
これはまずい。故郷に戻っても尊敬されるどころか白い眼で見られ続ける。
超面倒臭いから諦めモードに浸っていたのに復活するしかないか。
どうやら過酷な現実を直視し続けるしかないらしい。
「分かったよエクセル。ハックも。俺復活するよ。さあ皆で助け合おう! 」
「いいえ。これはあなたの問題。一人で解決するのよ」
ちくしょう! 友情もここまでか。分かってた気もする。
あーあやっぱり現実逃避してればよかった。
「私たちはこの辺りで話を聞くから一人で行ってきなさい」
他の者がバックの処理を手伝うことは禁じられているとのこと。
本当かな? 面倒臭いだけなんじゃないの?
薄情なハッカーと妖精だ。
ドンテの地下に貴金属買い取り店があったので話を聞く。
「いらっしゃい。ドン・ドン・ドンテ! 」
おかしな呼び込みで油断を誘う。
まさかモンスター?
「あのこれ買い取ってくれませんか? 」
「このカードかい? 」
いくらで買い取ってくれるのか期待に胸が膨らむ。でもなぜかお店の人は苦笑い。
これはあまり良い結果になりそうにないな。
「なるべく高く多くお願いします」
鑑定してもらう。
「悪いね。全部買い取り不可だよ。
ポケットにあるモンカならいいんだけどこれただの音声カードだろ?
無価値だね。もし引き取って欲しいなら一枚一万ドットで引き取るよ」
まさか買い取り不可の上に金を出すことになるとは世も末。
さすがにエンゼルカードは使えないし妖精もいない。
もうどうすることもできない。こうなったら仕方がない。
「すみません。この辺にゴミ箱はありませんか」
「あるよその辺に。でもそのカードは捨てられないよ。
もし捨てたら罰金の上にこの船から降りてもらう」
「はあ…… ならトイレは? 」
「破って捨ててもダメだ。罰金の上にこの船から降りてもらう」
さっきから何を言ってんだろうこのおじさん。
エスポワール号でもあるまいし。
「捨てていいのはメモだけ。ほらメモは破って捨てて良いって歌詞あるだろ? 」
とんでもなくふざけた親父だ。そしてふざけにふざけた展開。
「あの…… 」
六階に謎の爺さんが怪しげな商品を売ってると聞かされた。
そこでならもしかしたら買い取ってくれるかもしれないと。
仕方なく向かうことにした。
まったくこんなことしてる暇ないんだけどな。
アン待ってろよ! 今迎えに行くからな。
はあはあ
はあはあ
階段で六階まではさすがの勇者も疲れる。
居た。あの異様な雰囲気なお店ね。実際は近づきたくないけど。
「いらっしゃい。全部一億ドットだよ。安いよ安いよ」
物凄い値段で売ってやがる。だが品物は間違いなく一級品。
あのワイン以外は本物だろう。
「ああこれはワインじゃないよ。モンスターの血だ。
これを呑めばほらあなたも一瞬でモンスター。
日常で疲れたり嫌なことがあったら呑むといい。
後悔はするがどうにもならない。
もし興味があるなら特別にタダで試飲させてあげるよ。
たぶんゲームオーバーになっちゃうけどね」
とんでもない店主だ。しかも違法店主だ。
ただの全国を回る行商にも見えるが。
「ああ君の悩みを当てたあげよう」
いきなり人生相談を始める年齢不詳気味のお爺さん? おじさん?
どうやらすごく暇で世話好きなのだろう。
迷惑だけどまあ話ぐらい聞いてやるか。
続く




