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ハックと流浪の民

どうにか町まで戻ってこれた。

一時期は砂漠脱出サバイバル生活まで覚悟していた。

囚われのハックを助けるためハニードロップを泣く泣く諦めることに。

これで取引は失敗。流浪の民の情報を掴み損ねる。


「それであなた何者? 」

エクセルはもうすでにお風呂から出ていた。

妖精はお風呂が早い。

小さいのですぐに体が洗える。別に見ていたのではないから想像だが。

それに比べ俺たちは砂だらけでしっかり洗わないとベタベタして気持ち悪い。

奴は呑気に欠伸をしてるがまあ疲れたんだろう。

だからって一台しかないベットを占領するなよな。

「ああ俺は流浪の民。あいつらに捕まっているところを助けてもらった。

感謝しても感謝しきれない」

そう言いながら欠伸をしてるんだから信用ならない奴。


「流浪の民? 本当か? お前は流浪の民なのか? 」

適当に嘘を吐いて俺たちをからかってるとは思えない。

なぜなら奴にまだその話は一切していない。

「そうだ。逆に何で知ってるんだ? 」

「そんなことはどうでもいいの。仲間に田舎から来た芋っ子いなかった? 」

随分酷い言い方をする妖精さん。実物を見てないからってふざけたことを。

確かに妖精のようにとは行かないが俺の幼馴染なんですけど……


「エクセル! 」

「ああごめんなさい。つい興奮しちゃって。何て村だっけ? 」

エクセルは俺の話を適当に聞いてたらしい。

「言の葉村だろうが! 」

「そうそう。未だに旧文化のままの最後のフロンティア。

狩猟と栽培のみの自給自足の生活を送ってるって噂の未開の地」

酷い言われよう。ただの自然豊かな村なのに。

「故郷を馬鹿にするな! こんなイカれた世界よりはマシだ! 」

「あらもう怒っちゃって。私の情報は正確なんですからね。それよりも芋っ子よ」

決めつけにかかる偏見の持ち主のエクセル。何て頭が固いんだ。

「村一番の美少女のアン。俺の幼馴染で将来を誓い合った仲なんだから」

少々大げさに言わなくては伝わらない。


「それであんたの名前は? 」

「だから言右衛門だって。それよりもお前だろうが! 」

脱線しそうになったので何とか元に戻す。

「俺はハック。それでアンって女の子がいたかってことだよな」

ハックはどうにか思い出そうとするが思い当たる節がないそうだ。

「お前は流浪の民なんだろう? 」

「ああ。と言っても元々別だったから。それにまた二つに分かれたからな。

だからお前の言う言の葉村もアンって子も俺は覚えがない。

かわいい子だって言うがそんな子は一人もいなかったぞ」

ハックは記憶にないと言うが実際占いでは世界を旅する流浪の民だと言っていた。

うーん俺にはまったく訳が分からない。


「ちょっと! 言の葉村は覚えてない訳? 故郷の話ぐらいするでしょう? 」

エクセルが鋭い。ハックはハッとする。

「ああそう言えばそんな村の奴がいたような気がする。

ごめん俺あんまり記憶力が良くなくて。興味のないことは特にな」

せっかくの生き証人があまりの役立たずで力が抜ける。


「あなたには失望したわ! 」

妖精さんは見た目に似合わずきついことを言う。それともこれが普通なのか? 

「これ以上ハックを責めるなよ。それよりも流浪の民とどこで別れたの? 」

今日中に新情報を得たい。明日にはドラッグストアで取引がある。

もちろんハニードロップもバニードロップもなければ取引も何もないが。

「三日前だ。俺が小便に行ってると声を掛けられ振り返ったらボコボコにされた。

それで連れ去られたんだ」

「その時はどこに? 」

ああ外れのところを隠れ家にしてたんだ」

流浪の民は誰にも見つからないところでひっそり暮らしてるとのこと。


「あんたらには悪いがすぐにでも合流するつもりだ」

これはラッキー。

案内してくるなら願ってもないチャンス。

「だったらそこまで俺たちを連れて行ってくれ」

「そうね。それが良い」

「だから俺は俺の隊に戻るんだからな。お前の探してた奴がいるとは限らない」

「いいよそれで。アンや村のことを知ってる者がいるかもしれないしな」

「なら勝手にしろ! 責任は持たない」


「それであなたはハニードロップを知ってるわね? 」

「ああ、あいつらが自慢してたぞ。あれで大儲けできると」

「だったらバニードロップを知ってる? 」

「バニードロップ? さあね。俺には何のことだかさっぱり」

やはりたださらわれた身のハックではこれが限界か。

「ゲンはどう思う? 」

「さあ…… あの偽装肉のことじゃないかな? 

バニードロップは完成された偽装肉のことかなと…… 」

「はいはい。そう言うことにしておきましょう」

奴らを絞めあげれば分かること。だがもうその機会はもう二度となさそうだ。


「悪い。疲れたからもう寝るわ」

そう言って勝手にベットを占領しやがった。

そうすると俺は妖精と一緒に床で寝るしかない。

おやすみなさい。


翌朝。事態は急展開を迎える。


                 続く

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