ハニードロップゲット!
ようやく目的地へ。
ハネムーンと言うミツバチのおよそ倍の大きさの巨大蜂の巣が崖の至るところに。
一つの巣からハニードロップが百個以上作られると言われている。
そもそも一般には出回っておらず特別な者にのみその存在が知られている。
第一世界の支配者のお気に入りで献上させているとの噂も。
当然ながら庶民が口にすることはまずない。
だから噂程度しか伝わってこない。ほぼ幻でその噂事態疑わしいとされている。
それがハニードロップ。
取引を持ち掛けたおじさんもバニードロップとしか知らなかった可能性が。
ここまで詳しいのは山付近の住民だからこそ。
それらの情報を収集したのがエクセルと言う訳だ。
「彼らは人間よ。だけど普通の人間ではないわね」
「ああん? 何が普通の人間じゃないだよ! 」
「そうだそうだ! 傷ついたじゃねえか! 」
「それよりも邪魔なんだよ! お前たちこいつらを追い払え! 」
チンピラ風情と親分の三人組。
これだけの存在感ではさすがに女体化も難しい。
「私たちはただの観光客よ。ハイキングに来たの」
「はあ? ふざけたこと抜かすな! 」
暴走気味な手下。さすがに怪しいか。
「おい妖精! ここを通りたかったらな通行料を払え! 」
通しても帰してもくれそうにない。強引に迫り身ぐるみを剥ぐ気だな。
ここは一旦退散した方がよさそうだ。
逃げる準備を……
だが山の上では隠れる場所はない。
草陰に隠れるにしても隙をついて逃げ出す必要がある。
仮に逃げるにも逃げ切れるものではない。
ここは交渉上手のエクセルに任せるしかない。
「ここの支配者で最高指導者に報告するわよ。それでもいいの? 」
脅しをかけるエクセル。彼らだってただのチンピラじゃない。
これくらいのことは理解してるはずだが…… うーん大丈夫かな?
「へへへ…… いい度胸じゃないか妖精のくせに怖い者知らずだな。
よし気に入った! 通って良いぞ! 」
話の分かる人で助かった。
「あなた方は正しい判断をしました。支配者様もお許しになるでしょう」
「ふん! だが決して邪魔をするな。俺たちはお前らを歓迎した訳じゃない! 」
念を押して脅しをかける周到さ。
さあついにハニードロップを手にする時がやって来た。
実際どう言うものか興味がある。
男たちが通行料を取ると言って抵抗した理由が分かった。
蜂の大量の死骸と共に巣が原型を留めてない。
この姿はさすがに見せられないか。
蜂たちを追い出してから蜜を頂けばいいものを。
確かに駆除する時はある程度仕方ない。
でもここは自然豊かな山の崖。
彼ら蜂は迷惑を掛けてないどころか危険はないはず。
人間の都合で跡形もなく壊すのは違う。
これなら専門のハニーモンスターを雇えばいいだけ。
それをせず金に目が眩んでこんな酷いことをするんだからまったく。
今最大の蜂の巣に挑んでいる。
ハニーハンターたちはこちらに気づいてない様子。
「済みません。この辺りにハニードロップはありませんか? 」
俺の代わりにエクセルが話を聞く。
まだシンの実の効果が残っており女体化する恐れも。
しかも高確率できれいな女の子になるから始末が悪い。
俺は精神修行もしてるし人間も出来てるから本来ならそんなことには動じない。
だがエクセルは危険過ぎると言って取り合ってくれない。
仕方なく俺は後ろを向き目を瞑っている。
エクセルは交渉を続けるがどうもあまり手ごたえを感じてないらしい。
「おい! 邪魔をするんじゃねえよこの虫が! 」
妖精はほぼ蜂みたいなもの。
だから巣を壊し中の蜂を駆除してる様子を見られたくないのだろう。
罪の意識だろうか?
激しい罵りに妖精も冷静さを失う。
「だからハニードロップはどこって聞いてるの? 」
「知るかよ! この後ろ向き男にでも聞いてみろ! 」
どうやら俺のことらしい。まさか俺を馬鹿にする気か?
正気じゃないな。今すぐにでも成敗すべきだろうか?
「ほらどっかに行け! 」
「だからハニードロップはどこよ? どこだって聞いてるの! 」
妖精は一歩も引かない。
大声に対抗する為に叫び続ける。
、
「ああ分かったよ。お目当ての品なら分けてやるから喚くな! 」
根負けした男たち。ついにハニードロップをゲット。
ハニードロップは支配者への献上品であり位の高い者以外に出回ってない。
とは言え現場では簡単に手に入る。
続く




